データベーススペシャリスト試験(DB) 試験概要
データベーススペシャリスト試験(DB)は、レベル4の高度試験として「データベース全体計画から設計・構築・運用・性能チューニング・監査まで一貫してリードできるプロフェッショナル」を対象に実施される国家試験。最新シラバス Ver.4.1 では、クラウド/NoSQL/生成AI などの動向も踏まえ、全社的データ利活用を支える戦略立案力と実装・運用の実務力の双方が問われる。
- 区分DB
- レベルレベル4
- 実施期秋期
- 実施セクション午前Ⅰ / 午前Ⅱ / 午後Ⅰ / 午後Ⅱ
- 公式情報IPA公式ページ
- シラバスシラバス Ver.4.1(2023-12-25 公開)
試験の特徴・概要
- 組織の情報化戦略を踏まえた中長期的データベース全体計画と標準化を推進し、グローバル最適化を実現する。
- 業務・システムの現状調査から課題分析を行い、データベース要件(データ/容量/性能/セキュリティ/運用・保守/災害対策など)を定義する。
- 概念→論理→物理データモデルを一貫して設計し、正規化/非正規化・ER図・UML などのモデル表現とレビューを主導する。
- RDBMS とその他データマネジメント(NoSQL、分散DB、クラウド DB 等)を比較検討し、最適な製品選定・導入を実施する。
- 物理設計ではトランザクション特性分析、バックアップ/レプリケーション、排他制御、ストレージ/仮想化構成などを踏まえ性能と可用性を最適化する。
- 実装・テストでは定義・ロード・シミュレーション・障害復旧演習を行い、移行・バージョンアップ計画を策定・遂行する。
- 運用・保守計画を策定し、性能監視・キャパシティ管理・災害対策・監査対応・利用者支援・改善提案まで持続的に実践する。
試験構成
- 午前Ⅰ:共通知識(多肢選択式30問・50分)※一定条件で免除可
- 午前Ⅱ:データベース技術基礎(四択25問・40分)
- 午後Ⅰ:記述式(3問中2問選択・90分)
- 午後Ⅱ:論述式(2問中1問選択・120分)
合格基準各科目 60% 以上で合格(いずれか未達で不合格)
対象者像
- 高度IT人材として確立した専門分野をもち、データベースに関係する固有技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画・要件定義・開発・運用・保守において中心的な役割を果たすとともに、固有技術の専門家として、情報システムの企画・要件定義・開発・運用・保守への技術支援を行う者
求められる主な能力・役割
- 中長期的データベース全体計画とデータ定義標準化を策定・推進するリーダーシップ
- 業務・データ現状分析から問題抽出・課題解決策を創出し、要件定義を合意形成する力
- 概念/論理/物理モデリングを通じた最適なテーブル・インデックス・ビュー設計力
- RDBMS/NoSQL/クラウド DB 等の比較評価・導入・移行を主導する技術選定力
- 性能チューニング(SQL 最適化・索引/パーティション設計・資源見積り)と障害対策の実践力
- 運用・保守・監査・災害対策を含む DB ライフサイクル全体のマネジメント力
求められる知識
- データベース基礎理論(関係モデル、正規化、ER/UML、ドメイン設計、メタデータ管理)
- SQL・トランザクション制御・ロック/多版方式・排他制御理論
- RDBMS/NoSQL(ドキュメント、キーバリュ、列指向、グラフ)/分散 DB/クラウド DB の特徴
- 物理設計(圧縮、パーティショニング、インデックス、ストレージ/仮想化、RAID)と容量・性能見積り
- バックアップ/リカバリ/レプリケーション/HA クラスタ設計、災害対策 DR 設計
- 性能評価・ベンチマーク・ボトルネック分析・キャパシティ管理手法
- 情報セキュリティ(アクセス制御、暗号化、マスキング)と監査/コンプライアンス基準
- クラウドネイティブ設計・IaC、AI/ビッグデータ基盤との連携・データ品質/クレンジング手法
求められる技能
- 全社 DB 計画策定・標準化・リポジトリ運用
- 業務部門ヒアリング・現状調査から課題分析→要件定義書作成・レビュー
- 概念→論理→物理モデル変換、正規化/非正規化判断、インテグリティ制約設計
- RDBMS/NoSQL 製品比較・PoC・導入、クラウド DB 移行設計
- SQL/ユーティリティ/統計処理を用いた性能測定・チューニング
- バックアップ・リカバリ計画/レプリケーション方式設計と検証
- 運用監視・ログ分析・キャパシティ予測・資源増強計画の立案
- 監査資料作成・システム監査対応・災害対策訓練の主導
- 利用者サポート・教育、データ利活用・新ビジネスへの改善提案
攻略ポイント・学習アドバイス
- シラバス大項目をマッピングした学習計画を立て、過去問と照合しながら弱点を可視化する。
- 午後Ⅰは「正規化・インデックス設計・障害復旧・性能改善」など頻出テーマで答案テンプレを作り、設問パターンごとに時間配分を訓練。
- 午後Ⅱは自身の経験を軸に、全体計画→要件定義→設計→実装→運用・改善の流れ/成果/リスクを論理立てて記述できるよう構成メモを常備する。
- クラウド DB/分散 DB/NoSQL の比較評価や生成 AI の活用等、Ver.4.1 追加トピックを整理し、最新動向を事例で説明できるようにする。
- ベンチマーク結果の読み取り・資源見積り・チューニング手順は実機やクラウド・ラボ環境で体験し、数値根拠を示せるよう準備する。
シラバス概要
- 全社 DB 計画(中長期/短期)の策定とグローバル最適化
- データ定義・コード体系・マスタ統合・リポジトリ管理標準化
- 業務プロセス・データ調査と課題抽出、作業範囲確定
- データ要件・容量・性能・セキュリティ・運用・災害対策要件定義
- 要件レビュー(利用者/開発者/運用者参加)
- 概念データモデル作成・検証(ER/UML・ビジネスルール整合)
- 論理モデル変換・正規化・インデックス/ビュー設計・検証
- 物理設計:トランザクション分析・容量算出・排他制御・分散/クラウド配置・性能最適化
- RDBMS/NoSQL 選定・導入、DB 定義・ロード・ユーティリティ活用
- 応答シミュレーション/障害復旧演習、データ移行・バージョンアップ計画と実施
- テスト/移行時のマスキング・データ品質・クレンジング・性能測定
- 運用・保守計画、監視(性能/障害/セキュリティ)とキャパシティ管理
- ボトルネック分析・リソース最適化・SQL/索引/物理配置チューニング
- バックアップ/DR、監査対応、災害対策演習、利用者支援・改善提案
1. データベース全体計画・標準化
2. 要件定義(現状調査・課題分析~要件書レビュー)
3. 分析・設計(概念/論理/物理)
4. 実装・テスト・移行
5. 運用・管理・性能チューニング・利用者サポート
年度別 統計データ(表形式)
各年度ごとの合格率・平均年齢・合格者数などの推移です。
※ 表は横にスクロールできます
年度 | 受験申込者数(人) | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | 合格者平均年齢(才) |
---|---|---|---|---|---|
2009 春期 | 18538 | 11887 | 1912 | 16.1 | 30.6 |
2010 春期 | 20529 | 13523 | 2142 | 15.8 | 31.8 |
2011 春期 | 20207 | 12689 | 2304 | 18.2 | 31.4 |
2012 春期 | 18799 | 12187 | 1963 | 16.1 | 31.8 |
2013 春期 | 17489 | 11342 | 1845 | 16.3 | 31.8 |
2014 春期 | 15807 | 10016 | 1671 | 16.7 | 32.4 |
2015 春期 | 15355 | 10049 | 1767 | 17.6 | 31.9 |
2016 春期 | 13980 | 9238 | 1620 | 17.5 | 32.4 |
2017 春期 | 17706 | 11775 | 1709 | 14.5 | 31.5 |
2018 春期 | 17165 | 11116 | 1548 | 13.9 | 31.9 |
2019 春期 | 16831 | 11066 | 1591 | 14.4 | 31.3 |
2020 秋期 | 9468 | 6536 | 1031 | 15.8 | 30.9 |
2021 秋期 | 10648 | 7409 | 1269 | 17.1 | 30.4 |
2022 秋期 | 12399 | 8445 | 1486 | 17.6 | 31.0 |
2023 秋期 | 13121 | 8980 | 1664 | 18.5 | 30.8 |
2024 秋期 | 14549 | 10120 | 1744 | 17.2 | 30.9 |
年度別 統計推移グラフ
各年度ごとの合格者数・受験者数・合格率・平均年齢の推移
合格者数

受験者数

合格率(%)

合格者平均年齢
