データベーススペシャリスト試験 2010年 午前223


コンピュータシステムにおいて, 性能改善手法を適用した機能部分の全体に対する割合をR (0 <R< 1), その部分の性能改善手法適用前に対する適用後の性能比をA とする。このとき, システム全体の性能改善手法適用前に対する適用後の性能比を表す式はどれか。
1(1R)×A\frac{1}{(1-R)\times A}
1(1R)+RA\frac{1}{(1-R)+\frac{R}{A}}(正解)
1R+1RA\frac{1}{R+\frac{1-R}{A}}
1RA\frac{1}{\frac{R}{A}}

解説

コンピュータシステムの性能改善比率計算【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:システム全体の性能改善比は、改善部分の割合Rと性能比Aを用いて
    1(1R)+RA\frac{1}{(1-R)+\frac{R}{A}}
    で表される。
  • 根拠:改善されていない部分は性能変化なし、改善部分は性能比Aで高速化されるため、全体の処理時間は加重平均で計算する。
  • 差がつくポイント:性能比の逆数を使い、改善部分と非改善部分の処理時間割合を正しく合算することが重要。

正解の理由

性能改善手法を適用した部分の割合をRR、その部分の性能比をAAとすると、システム全体の処理時間は以下のように分けられます。
  • 改善されていない部分の処理時間割合:1R1-R(性能比は1)
  • 改善された部分の処理時間割合:RR(性能比はAA
性能比は処理時間の逆数であるため、全体の処理時間比は
(1R)×1+R×1A=(1R)+RA(1-R) \times 1 + R \times \frac{1}{A} = (1-R) + \frac{R}{A}
となります。
したがって、全体の性能比はこの逆数で表され、
1(1R)+RA\frac{1}{(1-R)+\frac{R}{A}}
となり、選択肢イが正解です。

よくある誤解

性能比AAをそのまま加算したり、改善部分の割合RRを逆数の分母に入れ忘れることが多いです。
また、性能比と処理時間比の違いを混同しやすい点に注意が必要です。

解法ステップ

  1. 性能改善前の処理時間を1と仮定する。
  2. 改善されていない部分の処理時間割合は1R1-R、性能比は1。
  3. 改善された部分の処理時間割合はRR、性能比はAAなので処理時間はRA\frac{R}{A}
  4. 全体の処理時間比は(1R)+RA(1-R) + \frac{R}{A}
  5. 性能比は処理時間の逆数なので、1(1R)+RA\frac{1}{(1-R)+\frac{R}{A}}が答え。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 1(1R)×A\frac{1}{(1-R)\times A}
    改善されていない部分に性能比AAを掛けており誤り。改善部分にのみAAが適用される。
  • イ: 1(1R)+RA\frac{1}{(1-R)+\frac{R}{A}}
    正解。改善部分と非改善部分の処理時間比を正しく加算し、その逆数を取っている。
  • ウ: 1R+1RA\frac{1}{R+\frac{1-R}{A}}
    改善部分と非改善部分の割合を逆に扱っているため誤り。
  • エ: 1RA\frac{1}{\frac{R}{A}}
    改善部分のみを考慮しており、非改善部分を無視している。

補足コラム

この問題は「アムダールの法則」と呼ばれる性能改善の基本原理に基づいています。
アムダールの法則は、システム全体の性能向上は改善できる部分の割合とその改善度合いに依存し、改善できない部分がボトルネックになることを示しています。
この法則は並列処理やハードウェアの高速化効果を評価する際に非常に重要です。

FAQ

Q: 性能比AAが2の場合、改善部分が50%なら全体の性能比は?
A: R=0.5,A=2R=0.5, A=2なので、全体の処理時間比は(10.5)+0.52=0.5+0.25=0.75(1-0.5)+\frac{0.5}{2}=0.5+0.25=0.75。性能比はその逆数で10.75=1.33\frac{1}{0.75}=1.33倍。
Q: 性能比と処理時間比はどう違う?
A: 性能比は処理速度の比率で、処理時間比は処理にかかる時間の比率。性能比は処理時間比の逆数です。

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