データベーススペシャリスト試験 2012年 午前223


分散処理システムにおける障害透明性(透過性)の説明として, 適切なものはどれか。
管理者は, システム全体の状況を常に把握でき, システムを構成する個々のコンピュータで起きた障害をリアルタイムに知ることができること
個々のコンピュータでの障害がシステム全体に影響を及ぼすことを防ぐために, データは1か所に集中した管理をすること
どのコンピュータで障害が起きてもすぐ対処できるように、均一なシステムとなっていること
利用者は, システムに障害が起きていることを意識せずに, システムを利用できること(正解)

解説

分散処理システムにおける障害透明性(透過性)の説明【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:障害透明性とは利用者が障害を意識せずにシステムを利用できることです。
  • 根拠:分散処理システムは複数のコンピュータで構成されるため、障害があっても利用者に影響を与えない設計が求められます。
  • 差がつくポイント:障害の検知や管理は内部的な話であり、利用者視点で「障害を感じさせない」ことが透明性の本質です。

正解の理由

選択肢エは「利用者はシステムに障害が起きていることを意識せずに利用できること」と述べており、障害透明性の定義に最も合致しています。障害透明性は、障害が発生してもシステムが自動的に復旧や切り替えを行い、利用者に障害の影響を見せないことを意味します。これにより、利用者はシステムの障害を意識せずにサービスを継続利用可能です。

よくある誤解

障害透明性は「管理者が障害をリアルタイムに把握すること」や「データを集中管理すること」ではありません。これらは管理や設計の手法であり、利用者の視点とは異なります。

解法ステップ

  1. 「障害透明性」の意味を正確に理解する。
  2. 利用者視点で「障害を感じさせない」ことがポイントであると確認。
  3. 選択肢の中で利用者の意識に関する記述を探す。
  4. 利用者が障害を意識しないことを示す選択肢を選ぶ。
  5. 他の選択肢が管理者視点やシステム構成の説明であることを確認し除外。

選択肢別の誤答解説

  • ア:管理者が障害をリアルタイムに把握することは「障害管理」の話であり、透明性の定義とは異なります。
  • イ:データを1か所に集中管理することは分散処理の利点を損なうため、障害透明性とは逆の設計です。
  • ウ:均一なシステム構成は管理のしやすさに関係しますが、利用者が障害を意識しないこととは直接関係ありません。
  • エ:利用者が障害を意識せずに利用できることが障害透明性の本質であり正解です。

補足コラム

障害透明性は分散システムの「透明性」の一種で、他にも「場所透明性」「移動透明性」「複製透明性」などがあります。これらは利用者やプログラマがシステムの複雑さを意識せずに利用できるようにする設計思想です。障害透明性は特に信頼性向上に寄与し、システムの可用性を高めます。

FAQ

Q: 障害透明性と障害管理は同じですか?
A: いいえ。障害透明性は利用者が障害を感じないこと、障害管理は障害の検知や対応を指します。
Q: 障害透明性を実現する技術例はありますか?
A: 冗長化やフェイルオーバー、自動復旧機能などが障害透明性を支えます。

関連キーワード: 障害透明性, 分散処理システム, フェイルオーバー, 冗長化, 可用性
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