解説

データベースの障害回復処理に関する解説

選択肢の説明と正誤判定

ア: 「異なるトランザクション処理プログラムが、同一データベースを同時更新することによって生じる論理的な矛盾を防ぐために、データのブロック化が必要となる。」

• 誤りです。
  論理的な矛盾を防ぐために必要なのは「ロック機構」や「トランザクションの分離レベル」の適切な制御であり、データのブロック化（物理的なディスクのブロック単位の取り扱い）は障害回復処理の直接の手段ではありません。

イ: 「システムが媒体障害以外の原因によって停止した場合、チェックポイントの取得以前に終了したトランザクションについての回復作業は不要である。」

• 正しい選択肢です。
  チェックポイントは、回復時にそれ以前の正常に終了したトランザクションのログを無視して良い目印となります。
  つまり、チェックポイント以前に正常終了したトランザクション（コミット済み）は全て反映済みであり、回復処理は不要です。
  一方、媒体障害の場合はバックアップやログを使った別の回復処理が必要ですが、本選択肢は「媒体障害以外の原因」という限定があるため正解となります。

ウ: 「データベースの媒体障害に対して、バックアップファイルをリストアした後、ログファイルの更新前情報を使用してデータの回復処理を行う。」

• 誤りです。
  障害回復の際に使うログファイルは、「更新前情報（UNDOログ）」と「更新後情報（REDOログ）」の両方がありますが、
  媒体障害の復旧後は、更新後情報（REDOログ）を使ってバックアップ以降の更新内容を再適用することが重要です。
  更新前情報はトランザクションの取り消し（ロールバック）に利用されるため、本選択肢は誤りです。

エ: 「トランザクション処理プログラムがデータベースの更新中に異常終了した場合には、ログファイルの更新後情報を使用してデータの回復処理を行う。」

• 誤りです。
  トランザクションが異常終了した場合には、そのトランザクションによる変更をデータベースに反映させないために、
  更新前情報（UNDOログ）を用いてその変更を取り消す回復処理を行います。
  更新後情報（REDOログ）は正常終了したトランザクションの更新を再現するために使われるため、この選択肢は誤りです。

障害回復の基本的な概念

• チェックポイント（Checkpoint）
  データベースのある時点での状態をディスクに反映し、そのポイント以前のログは回復に不要になるため、効率的な回復を可能にします。
• ログファイルの種類
  • UNDOログ（更新前情報）: 更新前のデータを記録し、異常終了トランザクションの取り消しに使用
  • REDOログ（更新後情報）: 更新後のデータを記録し、バックアップ後のデータベースへの適用や正常終了トランザクションの再実行に使用

まとめ