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データベーススペシャリスト試験 2015年 午前2 問01
データベースの3層スキーマアーキテクチャに関する記述として、適切なものはどれか。
ア:概念スキーマは, 内部スキーマと外部スキーマの間に位置し, エンティティやデータ項目相互の関係に関する情報をもつ。(正解)
イ:外部スキーマは, 概念スキーマをコンピュータ上に具体的に実現させるための記述であり, データベースに対して, ただ一つ存在する。
ウ:サブスキーマは, 複数のデータベースを結合した内部スキーマの一部を表す。
エ:内部スキーマは, 個々のプログラム又はユーザの立場から見たデータベースの記述である。
解説
データベースの3層スキーマアーキテクチャの解説
データベース管理システム(DBMS)では、データの抽象化を行うために3層スキーマアーキテクチャが採用されています。このアーキテクチャは、データの見え方や管理の役割を3つの層に分けることで、システムの柔軟性や独立性を高めています。
3層スキーマの構成
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外部スキーマ(ユーザビュー)
- 個々のユーザやアプリケーションがデータベースをどのように見るかを定義したもの。
- 複数存在可能で、ユーザ毎に異なる視点や必要な部分だけを抽出したサブスキーマとも言えます。
- 例:ある部署の従業員データビュー、営業用の顧客情報ビューなど。
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概念スキーマ(論理スキーマ)
- データベース全体の論理的な構造を定義する層。
- エンティティ、属性、リレーションシップ(関係)の定義や制約条件が含まれます。
- データの意味や相互の関係を表現する層で、ひとつだけ存在します。
- 例えば、「社員」エンティティと「部署」エンティティの関係性を記述。
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内部スキーマ(物理スキーマ)
- データの実際の保存方法やアクセス手法など物理的な構造を定義する層。
- ファイル構造やインデックス、記憶装置の管理などが含まれます。
- DBMSの性能やストレージ効率化に関わる情報を持ちます。
選択肢の解説
ア:概念スキーマは内部スキーマと外部スキーマの間に位置し、エンティティやデータ項目相互の関係に関する情報をもつ。
- 正しい記述です。
- まさに、概念スキーマは3層の真ん中の層で、内部スキーマの物理的詳細と外部スキーマのユーザ視点の間の抽象化を提供します。
- エンティティや属性、関連関係などデータベースの全体的な論理構造を表します。
イ:外部スキーマは概念スキーマをコンピュータ上に具体的に実現させるための記述であり、データベースに対して、ただ一つ存在する。
- 誤り。
- 外部スキーマはユーザ毎に異なる視点(ビュー)を提供し、複数存在することが一般的です。
- 具体的に実現させるのは「内部スキーマ」の役割です。
- 「ただ一つ存在する」のは概念スキーマです。
ウ:サブスキーマは複数のデータベースを結合した内部スキーマの一部を表す。
- 誤り。
- サブスキーマとは「外部スキーマ」の別名で、あるユーザまたはアプリケーションから見た概念スキーマの一部を指します。
- 複数のデータベースを結合するのは分散データベースの話で、内部スキーマの役割ではありません。
エ:内部スキーマは個々のプログラム又はユーザの立場から見たデータベースの記述である。
- 誤り。
- 内部スキーマは物理的なデータ記述であり、ユーザの視点ではなくストレージレベルのデータ構造を記述します。
- 個々のプログラムやユーザの立場の記述は外部スキーマ(サブスキーマ)に当たります。
まとめ
今回の正解はアであり、概念スキーマは外部スキーマと内部スキーマの中間に位置し、エンティティとその関係を表す層であることを理解しましょう。