ホーム > データベーススペシャリスト試験 > 2016年
データベーススペシャリスト試験 2016年 午前2 問23
1台のサーバと3台のクライアントが接続されたシステムがある。システムを利用するためには, サーバと少なくともいずれか1台のクライアントが稼働していればよい。サーバの稼働していない確率をα, 各クライアントの稼働していない確率をいずれもとすると, このシステムが利用できない確率を表す式はどれか。
ア:1-(1-a)(1-b³)(正解)
イ:1-(1-a)(1-b)³
ウ:(1-a)(1-b)³
エ:1-ab³
解説
問題の整理
- サーバが1台ある。
- クライアントは3台ある。
- システムが利用可能な条件:
「サーバが稼働していて、かつ少なくとも1台のクライアントが稼働している」
と読み取ることも考えられますが、問題文は
「サーバと少なくともいずれか1台のクライアントが稼働していればよい」
とあります。これは、「サーバが稼働している」または「少なくとも1台のクライアントが稼働している」という意味と解釈できます。
ここで重要なのは「または」の関係です。
問題の意味するシステム利用可能条件
- 「サーバが稼働している」 ⇨ 確率で言うと がサーバ稼働確率
- 「クライアントが少なくとも1台稼働している」 ⇨ クライアント3台のうち少なくとも1台稼働
各クライアントが稼働していない確率が なので、稼働している確率は 。
システム利用不可の状態を考える
システムが利用できないのは、次の両方が成り立つ状態です。
- サーバが稼働していない(確率 )
- 3台のクライアントがすべて稼働していない(各クライアント非稼働確率 なので、3台とも非稼働は )
つまり、利用できない確率は
選択肢の検証
-
ア:
これは全体の確率1から「サーバ稼働かつ全クライアント停止していない」確率を引いています。
実際に計算すると、ここで、 は「全クライアント停止」確率、 はサーバ停止確率であり、
は
「サーバが停止しているか、全クライアントが停止しているか、またはその両方」
つまり、サーバもクライアントも両方稼働していない(利用不可)状態を含んでいて適切です。 -
イ:
は「3台すべてが稼働している確率」であって「1台以上稼働している確率」ではないため不適切。 -
ウ:
これも「サーバ稼働かつ3台すべてのクライアント稼働」であって、
「いずれか1台のクライアントが稼働」という条件とは合いません。 -
エ:
これは「利用不可の確率」の補数である「利用可能の確率」に関する式なので、このままでは不適切。
まとめ
-
利用不可の確率は
すなわちサーバが停止していて、かつ3台すべてのクライアントが停止している確率。 -
選択肢アはこれを利用可能確率として考え、全体1から補数をとった形で表現されている。
したがって、正しい式は 選択肢ア です。
補足:理由の確認
問題文が「サーバと少なくともいずれか1台のクライアントが稼働していれば良い」が「サーバとクライアントが同時に稼働する必要がある」と解釈する人もいるかもしれませんが、選択肢から判断して「サーバが稼働している、または少なくとも1台クライアントが稼働している」のどちらかが稼働していれば良い、つまり利用可能条件は
であると考えるのが妥当です。すると利用不可はその補集合であり、
となります。
この確率は であり、これが利用不可の確率であるため、
つまり、選択肢アの式はこれの補集合を利用可能確率として表しています。
【まとめ】
したがって、正解は ア: となります。