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データベーススペシャリスト試験 2018年 午後1 問01
データベース設計に関する次の記述を読んで, 設問1〜3に答えよ。
コピー機メーカの系列販売会社の X 社では,販売管理システムのデータベース設計を行っている。
〔業務の概要〕
1.地域
日本全国を幾つかの地域に分割し、地域コードで識別する。
2.顧客
(1) 顧客(見込み客を含む) は,顧客コードで識別し, 名称,住所,電話番号を登録する。
(2) 設置事業所 (コピー機を設置する顧客の事業所) は,顧客コードと設置事業所コードで識別し,名称,住所, その住所を基にした地域コードを登録する。
3.組織
(1) 組織は,組織コードで識別する。
(2) 組織には,コピー機を販売する営業所と, コピー機の設置と保守を行うサービスセンタ(以下, SC という)があり, 組織区分で分類する。
(3) 顧客ごとに,担当営業所を決めている。 担当営業所は,組織変更によって変更する場合がある。
(4) 地域ごとに, 担当 SC を決めている。
4.営業担当者
(1) 営業担当者は, X社の社員であり, 社員番号で識別する。
(2) 営業担当者は,いずれか一つの営業所に所属する。 所属する営業所は,人事異動によって変更する場合がある。
5.商品
(1) 商品は,商品コードで識別する。
(2) 商品には,製品と設置サービスがあり, 商品区分で分類する。 製品は,コピー機メーカの物流センタから出荷し、設置サービスは, X社の SC が提供する。
(3) 製品には,単体製品とセット製品がある。
① 単体製品かセット製品かは,単体セット製品区分で分類する。
② 単体製品には,製品サイズを登録する。
(4) 単体製品には,本体製品(コピー機本体)とオプション製品がある。
① 本体製品かオプション製品かは,製品区分で分類する。
② 本体製品には,製品のシリーズを表すシリーズコードを登録する。
③ オプション製品には,給紙オプション, 排紙オプションなどがあり, オプション区分で分類する。
(5) セット製品は,X社が販売用に登録する。 セット製品は,一つの本体製品と一つ以上のオプション製品を組み合わせたもので,どのオプション製品で構成されるかについて, セット製品構成に登録する。
(6) 設置サービスには複数種類があり、製品ごとに,どの設置サービスを適用するかを決めている。 設置サービスには標準設置時間を登録する。 セット製品の場合, セット製品自体で決まる設置サービスを適用し, セット製品を構成する単体製品で決まる設置サービスは適用しない。
6.見積り
(1) 顧客から見積依頼があると, 担当営業所の営業担当者が見積りを行う。
(2) 見積りは,見積番号で識別し, 案件名, 顧客コード, 担当営業所の組織コード,営業担当者の社員番号, 見積年月日, 納期年月日, 見積有効期限年月日,商品コード,商品コードごとの数量, 見積単価を登録する。
7.受注
(1) 成約に至ったときに, 見積りと同じ単位で受注登録を行う。
(2) 受注は,受注番号で識別し, 該当する見積番号, 受注年月日を登録する。
(3) 受注明細は,設置の単位であり, 本体製品 1台単位,又はセット製品1セット単位に作成し, 設置事業所, 設置場所詳細 (設置する階 部屋の位置), 設置補足(設置に関する注意事項など) を登録する。 (5) に後述する受注明細内訳番号を登録する。
(4) 受注明細内訳には, 商品コードと数量を登録する。 ただし, 商品がセット製品の場合、そのセット製品自体と, セット製品を構成する製品を展開した内訳を登録する。
① 受注明細が本体製品 1台単位の場合,単体製品である本体製品とオプション製品,及び必要な設置サービスをそれぞれ登録する。
② 受注明細がセット製品1セット単位の場合,次のように登録する。
・セット製品と, セット製品に必要な設置サービスをそれぞれ登録する。
・セット製品を構成する単体製品に展開し、単体製品の商品コード, 展開元受注明細内訳番号 (セット製品の商品コードを登録した受注明細内訳番号)を登録する。
(5) 本体製品の受注明細内訳番号を受注明細に登録する。
〔概念データモデルと関係スキーマの設計〕
〔業務の概要〕に基づいて設計した概念データモデルを図1に, 関係スキーマを図2に示す。


〔出荷指示の追加〕
販売管理システムに, 次のように出荷指示の機能を追加することにした。
(1) 受注後,営業所で次のように出荷指示ができるようにする。
① 出荷指示は,コピー機メーカの物流センタから出荷する製品を対象とする。
② 同じ設置事業所, 同じタイミングで出荷できる場合は, 受注明細をまとめて出荷指示を行う。
(2) 出荷指示は,出荷指示番号で識別し, 出荷指示年月日を登録する。
解答に当たっては, 巻頭の表記ルールに従うこと。 エンティティタイプ間の対応関係にゼロを含むか否かの表記は必要ない。
なお,関係スキーマの表記では, 主キー及び外部キーを明記せよ。
設問1(1):図 1,2について(1),(2)に答えよ。
図2 中の(a)〜(k)に入れる適切な属性名を答えよ。 また, 主キーを構成する属性の場合は実線の下線を、外部キーを構成する属性の場合は破線の下線を付けること。
なお,属性が組織コードの場合は,営業所組織コード, SC 組織コードを区別すること。(f, eおよびg, h, iは順不同)
模範解答
a:組織区分
b:SC_組織コード
c:営業所組織コード
d:営業所コード
e:顧客コード
f:地域コード
g:社員番号
h:営業所組織コード
i:顧客コード
j:見積番号
k:顧客コード
解説
キーワード整理
本問の (a)~(k) は、概念データモデル中に不足している「属性名」を、業務要件に即して補完し、さらに主キー/外部キーを明示する問題です。
特に重要な論点は次の3つです。
特に重要な論点は次の3つです。
- 「組織区分」「SC_組織コード」「営業所組織コード」など、組織を表す属性をどう区別するか
- 顧客・設置事業所・請求・受注明細など、多段階で参照される外部キーを正しく設定すること
- 設置事業所や受注明細における複合主キーと複合外部キーの取り扱い
解答と根拠
以下に (a)~(k) の補完属性名および主キー/外部キー指定を示します。
根拠の引用と説明
-
a:組織区分
「組織には,…組織区分で分類する」【問題文「3.(2)」】
→ 組織テーブルに「組織区分」を持つ -
b:SC_組織コード
「地域ごとに, 担当 SC を決めている」【問題文「3.(4)」】
→ 地域テーブルに SC の組織コードを外部キーとして持つ -
c:営業所組織コード
「営業担当者は,いずれか一つの営業所に所属する」【問題文「4.(2)」】
→ 営業担当者テーブルに営業所を参照する組織コードを持つ -
d:営業所コード
「顧客ごとに,担当営業所を決めている」【問題文「3.(3)」】
→ 顧客テーブルに担当営業所を参照する外部キーを持つ
(※営業所は組織のサブタイプだが、属性名は「営業所コード」で識別) -
e:顧客コード(主キー)
「設置事業所は,顧客コードと設置事業所コードで識別する」【問題文「2.(2)」】
→ 設置事業所テーブルの主キーの一部 -
f:地域コード
「設置事業所…その住所を基にした地域コードを登録する」【問題文「2.(2)」】
→ 設置事業所テーブルの外部キー -
g:社員番号
「見積…営業担当者の社員番号を登録する」【問題文「6.(2)」】
→ 見積テーブルの外部キー -
h:営業所組織コード
「見積…担当営業所の組織コードを登録する」【問題文「6.(2)」】
→ 見積テーブルの外部キー -
i:顧客コード
「見積…顧客コード…登録する」【問題文「6.(2)」】
→ 見積テーブルの外部キー -
j:見積番号
「受注…該当する見積番号を登録する」【問題文「7.(2)」】
→ 受注テーブルの外部キー -
k:顧客コード
受注明細は「設置事業所」を参照する際に、主キー(顧客コード+設置事業所コード)を外部キーとして持つ必要がある【問題文「7.(3)」】
受験者が誤りやすいポイント
- 営業所コード vs. 営業所組織コード
営業所は「組織」のサブタイプであり、組織コード(営業所組織コード)を用いる一方、顧客テーブル側の外部キー名は「営業所コード」と区別されている。 - 設置事業所の複合キー
設置事業所は「顧客コード+設置事業所コード」で識別。外部参照側も同様に複合キーを揃えなければならない。 - 見積/受注の複数外部キー
見積テーブルには「顧客コード」「担当営業所の組織コード」「営業担当者の社員番号」の3つを忘れず設定する。
試験対策ポイント
- 業務要件を正確に引用し、そこから「どのエンティティに」「どの属性を」「キーとして持たせるか」を明確にするクセをつける。
- サブタイプ/スーパタイプ設計時は、親テーブル(組織)と子テーブル(営業所・SC)で用いるキー名を混同しない。
- 複合主キーを持つエンティティを参照する際は、必ず 全て の構成要素を外部キーとして設定する。
- ER図→リレーショナル変換では、主キーには実線の下線、外部キーには破線の下線を忘れずに。
設問1(2):図 1,2について(1),(2)に答えよ。
図1のリレーションシップは未完成である。 必要なリレーションシップを全て記入し、図を完成させよ。
模範解答

解説
主要キーワードと論点整理
以下の関係(リレーションシップ)が図1に未記入となっており,これらを補完する必要があります。
- 組織 ←─▶ 営業所/サービスセンタ(スーパタイプ/サブタイプ)
- 営業所 ←─▶ 営業担当者
- 顧客 ←─▶ 営業所(担当営業所)
- 顧客 ←─▶ 見積
- 見積 ←─▶ 見積明細
- 見積明細 ←─▶ 受注明細
- 受注 ←─▶ 受注明細
- 受注明細 ←─▶ 受注明細内訳
- 受注明細内訳 ←─▶ 商品
- 商品 ←─▶ セット製品構成
- 地域 ←─▶ サービスセンタ(担当SC)
- 地域 ←─▶ 設置事業所
(本設問での論点は「業務の概要」に書かれた各所属関係・参照関係を,漏れなく概念モデル上に矢印で表現することです。)
解答の理由と論理的説明
-
【組織⇔営業所/サービスセンタ】
問題文に「(2) 組織には,コピー機を販売する営業所と,コピー機の設置と保守を行うサービスセンタ(以下, SC という)があり, 組織区分で分類する。」とあります。
→ 組織(スーパタイプ)と営業所/サービスセンタ(サブタイプ)の間にスーパタイプ/サブタイプ関係を表すリレーションシップを記入します。 -
【営業所⇔営業担当者】
「(2) 営業担当者は,いずれか一つの営業所に所属する。」
→ 営業担当者が「所属する営業所」を参照する1対多の関係を追加します。 -
【顧客⇔営業所(担当営業所)】
「(3) 顧客ごとに,担当営業所を決めている。担当営業所は,組織変更によって変更する場合がある。」
→ 顧客エンティティから営業所エンティティへの参照リレーションを追加します。 -
【顧客⇔見積】
「(1) 顧客から見積依頼があると, 担当営業所の営業担当者が見積りを行う。」
→ 顧客を起点に見積エンティティへ向かうリレーションシップを追加します。 -
【見積⇔見積明細】
「見積りは,見積番号で識別し…商品コード,商品コードごとの数量,見積単価を登録する。」
→ 見積(ヘッダ)と見積明細の間に親子リレーション(1対多)を記入します。 -
【見積明細⇔受注明細】
「(1) 成約に至ったときに,見積りと同じ単位で受注登録を行う。」
→ 見積明細から受注明細への変換関係を表すリレーションを追加します。 -
【受注⇔受注明細】
「受注は,受注番号で識別し…受注明細は,設置の単位であり…登録する。」
→ 受注(ヘッダ)と受注明細(明細)の間に親子リレーションを追加します。 -
【受注明細⇔受注明細内訳】
「(4) 受注明細内訳には, 商品コードと数量を登録する。ただし…」
→ 受注明細と,その内訳となる受注明細内訳間に親子関係を追加します。 -
【受注明細内訳⇔商品】
「受注明細内訳には, 商品コードと数量を登録する。」
→ 受注明細内訳が商品を参照する関係を追加します。 -
【商品⇔セット製品構成】
「(5) セット製品は…セット製品構成に登録する。」
→ 商品エンティティの自己参照部分(セット製品と構成オプション)に対応して,セット製品構成との双方向リレーションを追加します。 -
【地域⇔サービスセンタ(担当SC)】
「(4) 地域ごとに, 担当 SC を決めている。」
→ 地域から SC への参照リレーションを追加します。 -
【地域⇔設置事業所】
「(2) 設置事業所…その住所を基にした地域コードを登録する。」
→ 設置事業所が地域を参照する1対多リレーションを追加します。
関係スキーマ上の外部キー対応例
受験者が誤りやすいポイント
試験対策として覚えておくべきポイント
- 業務の概要に出てくる「所属」「担当」「○○ごとに決める」は,全て参照関係(外部キー/リレーションシップ)になる。
- スーパタイプ/サブタイプの記号(白抜き三角)を見たら必ず“全てのサブタイプ”とのリレーションを書き加える。
- ヘッダ/明細構造は,見積‐見積明細,受注‐受注明細,明細‐内訳の3段階が基本形。
- 自己参照や橋渡しテーブル(ここではセット製品構成)も,図中に空欄の線があれば必ず埋める。
- 問題文の「( )」内番号を拾い読みし,リレーション要件を1つずつチェックして図に落とし込む習慣をつける。
設問2(1):商品について,(1),(2)に答えよ。
商品をサブタイプに分割することにした。 図2に示した商品の属性について,サブタイプ分割後の, どのエンティティタイプに固有の属性となるかを表1にまとめた。商品名の例に倣って, 太枠内に○印を付けて, 表1を完成させよ。ただし,各エンティティタイプのデータ構造は,第3正規形を満たすようにすること。


模範解答

解説
1. ここが本問のキモ(キーワード&論点)
2. 解答に至る論理展開
2.1 スーパタイプ/サブタイプ構造を整理
商品
├─ 製品 (商品区分=製品)
│ ├─ 単体製品 (単体セット製品区分=単体)
│ │ ├─ 本体製品 (製品区分=本体)
│ │ └─ オプション製品 (製品区分=オプション)
│ └─ セット製品 (単体セット製品区分=セット)
└─ 設置サービス (商品区分=設置サービス)
区分値で“横串”に分かれるので、その区分属性は 区分が付く直上のエンティティ に残します。
2.2 属性を一つずつ精査
2.3 3NF との整合性チェック
例)「設置サービス商品コード」は
・主キー=製品の “商品コード” のみに従属し、部分従属無し
・他の非キー(例:単体セット製品区分)には従属しない
→ 3NF OK
・主キー=製品の “商品コード” のみに従属し、部分従属無し
・他の非キー(例:単体セット製品区分)には従属しない
→ 3NF OK
同様に他属性も「そのサブタイプの主キー(=商品コード)」にのみ依存するので 3NF が保たれる。
3. 受験者がつまずきやすいポイント
4. 試験対策まとめ
- 区分(分類)で枝分かれするときは
─ 区分属性は 枝分かれ直前のエンティティ に置く。 - 「○○コード」は大抵“外部キー”。
─ 参照元側(今回なら製品)が保持。 - 3NF 確認フレームワーク
「その属性値は,主キー だけ を見れば一意に決まるか?」 - スーパタイプ/サブタイプの典型パターン
• 商品/製品/サービス
• 社員/技術者/営業 - 本問レベルでは ER図の文章化 ができれば得点源。
問題文の “対象”“登録する”“分類する”“決めている” に線を引いておくと属性整理が早い。
設問2(2):商品について,(1),(2)に答えよ。
図1 中の商品とセット製品構成を対象に, 商品をサブタイプに分割した概念データモデルを図3に示す。図3 中の太枠内にエンティティタイプ名を入れ、欠落しているリレーションシップを補って図を完成させよ。
なお、リレーションシップは、スーパタイプ又はサブタイプのいずれか適切な方との間に設定すること。


模範解答

解説
1. 模範解答の核心キーワード・論点整理
ポイントは
①「商品区分」「単体セット製品区分」「製品区分」という3段階の区分属性を、そのまま3段階のサブタイプ構造に落とし込むこと。
② サブタイプ/スーパタイプどちらにリレーションを張るべきかを、業務記述の粒度で判断すること。
①「商品区分」「単体セット製品区分」「製品区分」という3段階の区分属性を、そのまま3段階のサブタイプ構造に落とし込むこと。
② サブタイプ/スーパタイプどちらにリレーションを張るべきかを、業務記述の粒度で判断すること。
2. なぜその解答になるのか ― 論理的な導出手順
2.1 サブタイプ階層の決定
-
まず商品全体を「製品」と「設置サービス」に分ける必要がある。
– 根拠:問題文5.(2)
“商品には, 製品と設置サービスがあり, 商品区分で分類する。” -
「製品」はさらに “単体製品” と “セット製品” に分類される。
– 根拠:問題文5.(3)
“製品には,単体製品とセット製品がある。単体製品かセット製品かは単体セット製品区分で分類する。” -
さらに “単体製品” は “本体製品” と “オプション製品” に分かれる。
– 根拠:問題文5.(4)
“単体製品には,本体製品(コピー機本体) とオプション製品がある。…製品区分で分類する。”
よって下図のような3階層サブタイプになる(○はスーパタイプ)。
商品○
├─ 設置サービス
└─ 製品○
├─ セット製品
└─ 単体製品○
├─ 本体製品
└─ オプション製品
2.2 リレーションシップの配置
(1) 製品―設置サービス
・製品ごとに適用する設置サービスを決める → 「製品」から「設置サービス」へ 1:1 または 1:0..1 の関係。
スーパタイプである「商品」ではなく、実際にサービスを選択する“製品”サブタイプに張るのが妥当。
・製品ごとに適用する設置サービスを決める → 「製品」から「設置サービス」へ 1:1 または 1:0..1 の関係。
スーパタイプである「商品」ではなく、実際にサービスを選択する“製品”サブタイプに張るのが妥当。
(2) セット製品―本体製品
・“セット製品は、1 つの本体製品と…組み合わせたもの” → セット製品側 1:1、本体製品側 0..*。
リレーションは「本体製品 → セット製品」とすることで「同一本体を流用した複数セット」を許容できる。
・“セット製品は、1 つの本体製品と…組み合わせたもの” → セット製品側 1:1、本体製品側 0..*。
リレーションは「本体製品 → セット製品」とすることで「同一本体を流用した複数セット」を許容できる。
(3) セット製品―セット製品構成
・セット製品ごとに明細行を複数持つ → セット製品 1 : セット製品構成 0..*。
構成テーブルは純粋な関連エンティティ。
・セット製品ごとに明細行を複数持つ → セット製品 1 : セット製品構成 0..*。
構成テーブルは純粋な関連エンティティ。
(4) オプション製品―セット製品構成
・構成明細に登録できるのはオプション製品のみ → リレーションは「オプション製品 → セット製品構成」。
本体製品は構成明細に含まれないため、こちらには張らない点がポイント。
・構成明細に登録できるのはオプション製品のみ → リレーションは「オプション製品 → セット製品構成」。
本体製品は構成明細に含まれないため、こちらには張らない点がポイント。
以上を図3に当てはめると、模範解答図のようになる。
3. 受験者が誤りやすいポイント
4. 試験対策:覚えておくべき知識・テクニック
-
区分(タイプ)属性が複数段階で与えられているとき
→ そのまま多段階のサブタイプ/スーパタイプ階層に落とすのが基本形。 -
サブタイプ化した場合のリレーションの張り先
→「意味が発生する最下位レベル」で張る。上位に張ると不必要な NULL が増える。 -
“◯◯ごとに××を決定する”という文言
→ 決定する側が主キー(1 側)、決定される側が外部キー(n 側)になることが多い。 -
“必ず 1 つ含む”/“1 つ以上含む”
-
設置サービスなど「サービス」も商品マスタで管理するケース
→ “モノ+サービスを同一マスタで管理し、区分で差別化”は業務系システムで頻出。 -
セット品の構成表現
→ 中間エンティティ(セット製品構成)を置き、親(セット)と子(部品)を多対多で結合させるのが定石。
これらのパターンを押さえておけば、類似のモデリング問題にも柔軟に対応できます。
設問3(1):〔出荷指示の追加〕 について,(1),(2)に答えよ。
〔出荷指示の追加〕 に対応するために、 新たな関係を一つ追加し, 既存の関係に属性を一つ追加することにした。 新たに追加する関係の主キー及び外部キーを明記した関係スキーマ, 属性を追加する関係名及び追加する属性名を答えよ。
模範解答
関係スキーマ:出荷指示(出荷指示番号, 出荷指示年月日)
関係名:受注明細
属性名:出荷指示番号
解説
キーワード・論点整理
- 新たに追加する関係スキーマ:出荷指示
- 主キー:出荷指示番号
- 属性:出荷指示年月日
- 既存の関係に追加する属性
- 関係名:受注明細
- 追加属性:出荷指示番号
- 根拠となる業務要件
- 「出荷指示は, 出荷指示番号で識別し, 出荷指示年月日を登録する。」
- 「同じ設置事業所, 同じタイミングで出荷できる場合は, 受注明細をまとめて出荷指示を行う。」
解答が導かれる論理的説明
-
【業務の概要】で追加された要件受注後, 営業所で次のように出荷指示ができるようにする。
① 出荷指示は, コピー機メーカの物流センタから出荷する製品を対象とする。
② 同じ設置事業所, 同じタイミングで出荷できる場合は, 受注明細をまとめて出荷指示を行う。
(2) 出荷指示は, 出荷指示番号で識別し, 出荷指示年月日を登録する。 -
新たにエンティティが必要な理由
- 「出荷指示番号で識別し, 出荷指示年月日を登録する」ためには、独立した関係スキーマが必要。
- 出荷指示と受注明細は多対多ではなく、ひとつの出荷指示に対して複数の受注明細が紐づく(一対多)構造。
-
既存スキーマへの属性追加
- 受注明細を「まとめて出荷指示」するためには、受注明細テーブルにどの出荷指示に紐づくかを示す外部キー(出荷指示番号)が必要。
- したがって、受注明細関係に「出荷指示番号」を追加。
-
関係スキーマの記述例
受験者が誤りやすいポイント
-
「出荷指示」を既存のどこかのテーブルに属性として追加してしまう
- 誤)見積明細や受注明細内訳に「出荷指示番号」を追加
- 正)出荷指示自体が新たな関係エンティティであるため、独立テーブルが必要。
-
外部キーの関係先を間違える
- 出荷指示番号を「受注」テーブルに追加してしまうと、受注明細のまとめ単位が表現できない。
- 出荷指示は明細単位でまとめるため、「受注明細」に外部キーを追加。
-
主キーの取り忘れ
- 出荷指示テーブルに主キー定義(出荷指示番号)を明記しない。
試験対策として覚えておくべきポイント
- 業務要件に「識別子で識別し、登録する」とあれば、通常は独立エンティティ(テーブル)が必要
- まとめて処理する場合、その単位の関係先に外部キーを持たせる
- 関係スキーマでは、必ず主キーと外部キーを明示する
- ERモデルからリレーションへの変換では、1対多の「多」の側に外部キーを持たせるルールを徹底する
- 要件変更時は「どのテーブルを追加し」「どこに外部キーを持たせるか」を整理する練習を日頃から行うこと
設問3(2):〔出荷指示の追加: について,(1),(2)に答えよ。
受注明細内訳のうち, 出荷指示の対象とならない場合が二つある。 どのような場合か,それぞれ15字以内で具体的に述べよ。
模範解答
①:セット製品の場合
②:設置サービスの場合
解説
解答キーワードと論点整理
- キーワード
① セット製品
② 設置サービス - 論点
「出荷指示」の対象は「コピー機メーカの物流センタから出荷する製品」のみであり,それ以外は対象外となる点。
解答根拠の引用と説明
問題文中の次の記述から論理的に導きます。
「(1) 出荷指示は,コピー機メーカの物流センタから出荷する製品を対象とする。」
さらに,商品区分の説明では,製品と設置サービスを明確に区別しています。
「(2) 商品には,製品と設置サービスがあり,商品区分で分類する。製品は,コピー機メーカの物流センタから出荷し,設置サービスは,X社のSCが提供する。」
「(3) 製品には,単体製品とセット製品がある。」
以上より,受注明細内訳の商品コードのうち,次の2種類は「物流センタから出荷しない」ため出荷指示の対象とならないと判断します。
受験者が誤りやすいポイント
- 「製品はすべて出荷対象」と誤解し,セット製品を含める
→ 問題文に「セット製品はX社が販売用に登録する」ものとあり,あくまで構成情報の登録対象で,物流センタから直接出荷される単体製品とは性質が異なります。 - 「受注明細内訳に展開された単体製品だけが対象」と解釈して,内訳展開前のセット製品を取り逃す
→ 出荷指示の対象/非対象は「商品区分」として明示的に区別されているため,内訳展開の有無にかかわらず,セット製品そのものは対象外です。
まとめ(試験対策ポイント)
- 出荷指示の対象範囲は必ず問題文冒頭の定義文から確認する。
- 「商品区分」「製品区分」「単体セット製品区分」「オプション区分」など,分類キーワードを混同しない。
- 概念モデルや関係スキーマ設計の文脈では,「業務上出荷しないもの」は明示的に例外として記述される。問題文で挙げられている例外は漏らさず拾うこと。