データベーススペシャリスト試験 2019年 午前201


分散型データベースシステムにおいては, 一貫性・可用性・分断耐性の三つの特性のうち, 同時には最大二つまでしか満たすことができないとする理論はどれか。
BASE特性
CAP定理(正解)
アムダールの法則
ベイズの定理

解説

分散型データベースシステムの一貫性・可用性・分断耐性の理論【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:分散型データベースでは、一貫性・可用性・分断耐性の三つの特性を同時にすべて満たすことはできず、最大で二つまでしか保証できない理論はCAP定理です。
  • 根拠:CAP定理は、分散システムの設計において、ネットワーク分断が発生した場合に一貫性(Consistency)、可用性(Availability)、分断耐性(Partition tolerance)のうち二つしか同時に満たせないことを示しています。
  • 差がつくポイント:BASE特性やアムダールの法則、ベイズの定理と混同しないこと。CAP定理は分散システムの特性制約を示す理論である点を正確に理解しましょう。

正解の理由

選択肢イのCAP定理は、分散型データベースシステムにおける「一貫性(Consistency)」「可用性(Availability)」「分断耐性(Partition tolerance)」の三つの特性のうち、ネットワーク分断が起きた際に同時にすべてを満たすことは不可能で、最大二つまでしか保証できないことを示す理論です。これにより、設計者はどの特性を優先するかを選択しなければならないことが明確になります。

よくある誤解

CAP定理は「三つの特性のうちどれか二つを選ぶ」という意味であり、三つすべてを部分的に満たせるという誤解があります。実際には分断が起きた場合、三つすべてを同時に完全に満たすことは不可能です。

解法ステップ

  1. 問題文の「一貫性・可用性・分断耐性」の三つの特性を確認する。
  2. これらの特性を同時に満たせるかどうかを問う理論を思い出す。
  3. 選択肢の中で分散システムの特性制約を示す理論を選ぶ。
  4. CAP定理が該当することを確認し、正解とする。

選択肢別の誤答解説

  • ア: BASE特性
    BASEは「Basically Available, Soft state, Eventual consistency」の略で、CAP定理の一貫性を緩和した分散システムの設計思想であり、三つの特性の同時保証に関する理論ではありません。
  • イ: CAP定理
    正解。分散システムにおける一貫性・可用性・分断耐性の三つの特性のうち、同時に最大二つまでしか満たせないことを示す理論です。
  • ウ: アムダールの法則
    並列処理の性能向上に関する法則であり、分散システムの特性制約とは無関係です。
  • エ: ベイズの定理
    確率論の基本定理であり、分散システムの特性とは関係ありません。

補足コラム

CAP定理は2000年にエリック・ブルーワーによって提唱され、その後ギル・パクマンらによって形式的に証明されました。分散システムの設計では、ネットワーク分断が発生した際にどの特性を優先するかが重要な判断基準となります。例えば、金融システムでは一貫性を重視し、SNSなどでは可用性を優先するケースがあります。

FAQ

Q: CAP定理の「分断耐性」とは何ですか?
A: 分断耐性はネットワークが分断(通信障害)してもシステムが動作を続ける能力を指します。分断が起きた場合に一貫性や可用性のどちらかを犠牲にする必要があります。
Q: BASE特性はCAP定理とどう違いますか?
A: BASE特性はCAP定理の一貫性を緩和し、最終的に整合性を保つ設計思想です。CAP定理は三つの特性の同時保証が不可能であることを示す理論です。

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