解説
解説:和両立な関係 R と S の交差集合 R∩S について
問題の整理
- 関係 R と S は 和両立 である。
- 演算の意味は以下の通り:
- − は 差演算(集合の差)
- ∩ は 共通集合演算(集合の交差)
- 求めるのは R∩S と等しい集合。
和両立な関係とは?
「和両立」とは一般的に「
R と
S が重複しない」、つまり
R∩S=∅
という意味で使われる場合があります。
しかし、問題中で「
R∩S」を求めているため、この解釈とは矛盾します。
したがって、この問題文における「和両立」とは、むしろ
- R と S が「和(合併)」しても特に矛盾しない(何らかの共通部分を持つ可能性あり)
- R と S は 関係であり、それぞれの差集合などを正しく扱える
と読み替え、ここでは単に一般的な集合演算として処理しましょう。
選択肢の計算
1. R−(R−S)
差集合の内側を考えると、
- R−S は、「R にあって S に無いもの」
- さらに R−(R−S) は、
R−(R−S)=R∩(S)=R∩S
これはド・モルガンの法則や集合の基本的な関係より示されます:
R−(R−S)=R∩S
よって、アは R∩S と等しい。
2. R−(S−R)
- S−R は、「S にあって R に無いもの」
- R−(S−R) は R からこれらを取り除くが、R と S−R は交わらないので、
R−(S−R)=R
3. (R−S)−(S−R)
- R−S は「R のうち S に無いもの」
- S−R は「S のうち R に無いもの」
- その差は、 R−S から S−R を引くので、R−S のままです
(R−S)−(S−R)=R−S
4. S−(R−S)
- R−Sは「R のうち S に無いもの」
- S−(R−S) は S から R−S を引きます。S と R−S は重ならないため、
S−(R−S)=S
まとめ
選択肢 | 表現 | 簡略化後 | R∩S と等しいか? |
---|
ア | R−(R−S) | R∩S | はい |
イ | R−(S−R) | R | いいえ |
ウ | (R−S)−(S−R) | R−S | いいえ |
エ | S−(R−S) | S | いいえ |
結論
正解は「ア: R−(R−S)」であり、これは R∩S と等しい。
付録:なぜ R−(R−S)=R∩S なのか?
集合演算の性質を使って示します。
R−(R−S)={x∣x∈R かつ x∈/(R−S)}
ところが、
x∈/(R−S)⟺「x∈/R または x∈S」の否定=(x∈R)かつ(x∈S)
つまり
x は両方の集合に含まれる必要があるため、
R−(R−S)=R∩S
これが基本的な集合演算の性質による証明です。