データベーススペシャリスト試験 2024年 午前219


システムで利用できるパスワードの仕様を, 数字16桁から, 英数字記号及び空白文字(計95種の文字とする)から成る決まった長さのものに変更する。このとき利用できるパスワードの総数を変更前よりも多くするために必要な新しいパスワードの最小桁数はどれか。ここで, log1095=1.98\log_{10} 95 = 1.98とする。
6
7
8
9(正解)

解説

システムで利用できるパスワードの仕様変更に伴う最小桁数の計算【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:新しいパスワードの最小桁数は9桁以上でなければ、総数は変更前の16桁数字より多くならない。
  • 根拠:数字16桁の総数は101610^{16}、新仕様は95n95^nで、log1095=1.98\log_{10} 95 = 1.98を用いて比較する。
  • 差がつくポイント:対数を使った指数比較の理解と、桁数の最小値を正確に求める計算力が重要。

正解の理由

変更前のパスワードは数字16桁で、総数は101610^{16}通りです。
変更後は95種類の文字からなる長さnnのパスワードで、総数は95n95^n通りとなります。
総数が多くなる条件は、95n>101695^n > 10^{16}です。
両辺の常用対数を取ると、
nlog1095>16n \log_{10} 95 > 16
n×1.98>16n \times 1.98 > 16
n>161.988.08n > \frac{16}{1.98} \approx 8.08
したがって、nnは9以上でなければなりません。
よって、選択肢の中で最小の9(エ)が正解です。

よくある誤解

  • 「95の対数が2に近いから8桁で十分」と考えがちですが、実際は8桁では総数が不足します。
  • 桁数の単純比較だけで判断し、指数の違いを見落とすことがあります。

解法ステップ

  1. 変更前のパスワード総数を計算:101610^{16}
  2. 変更後のパスワード総数を計算:95n95^n
  3. 不等式を立てる:95n>101695^n > 10^{16}
  4. 両辺の常用対数を取る:nlog1095>16n \log_{10} 95 > 16
  5. log1095=1.98\log_{10} 95 = 1.98を代入し、n>161.98n > \frac{16}{1.98}を計算
  6. nnの最小整数値を求めて9と判定

選択肢別の誤答解説

  • ア(6):95695^6106×1.98=1011.8810^{6 \times 1.98} = 10^{11.88}101610^{16}に遠く及ばない。
  • イ(7):1013.8610^{13.86}でまだ101610^{16}未満。
  • ウ(8):1015.8410^{15.84}101610^{16}に届かず不十分。
  • エ(9):1017.8210^{17.82}101610^{16}を超え、条件を満たす。

補足コラム

パスワードの総数は「文字種の数の桁数乗」で表され、セキュリティ強度の指標となります。
対数を使うことで指数の大小比較が容易になり、桁数の最小値を効率的に求められます。
また、空白文字を含めた95種はASCIIの印刷可能文字セットに近く、実務でもよく使われます。

FAQ

Q: なぜ対数を使うのですか?
A: 大きな指数の比較を簡単にするためで、指数の掛け算を対数の足し算に変換できます。
Q: 95種の文字はどのように決まるのですか?
A: 英数字、記号、空白を含む印刷可能なASCII文字の合計で、一般的に95文字とされます。
Q: 8桁ではなぜダメなのですか?
A: 8桁の総数は1015.8410^{15.84}101610^{16}未満のため、変更前より少なくなります。

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