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データベーススペシャリスト試験 2024年 午前2 問23
Webアプリケーションサーバの可用性設計方式のうち, セッションを共有する負荷分散方式の説明はどれか。
ア:CPUやメモリなどの各装置を二重化した1台のサーバを使用し, 各装置が処理を分担する。故障時には故障が発生していない装置がセッションを処理するので, サービスは継続される。
イ:稼働しているサーバと同一機能をもつサーバを待機系として用意し, 故障時には待機系に手動で切り替えることによってセッションを引き継ぎ, サービスを復旧させる。
ウ:同一機能と共通のディスク領域をもつ複数台のサーバでクラスタを構成することによって処理を分担し, 故障時には故障が発生していない他のサーバがセッションを引き継ぎ, サービスを継続させる。(正解)
エ:同一機能をもつ複数台のサーバで処理を分担し, 故障時には故障が発生したサーバを切り離す。故障時に行っていた処理は消失するが, 新規にセッションを開始して, サービスを復旧させる。
解説
Webアプリケーションサーバの可用性設計方式のうち, セッションを共有する負荷分散方式の説明はどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:セッションを共有しつつ負荷分散を行う方式は、複数台のサーバが共通ディスク領域を持ちクラスタを構成する方式である。
- 根拠:共通のディスク領域にセッション情報を保存することで、どのサーバでもセッションを引き継げるため、故障時もサービス継続が可能となる。
- 差がつくポイント:単一サーバの二重化や待機系切り替えはセッション共有が難しく、セッション消失のリスクや手動切替の手間が発生する点を理解すること。
正解の理由
選択肢ウは、複数台のサーバが共通のディスク領域を持ちクラスタを構成しているため、セッション情報を共有できます。これにより、どのサーバが処理しても同じセッション状態を維持でき、故障時には他のサーバがセッションを引き継いでサービスを継続可能です。これはセッション共有型の負荷分散方式の典型的な構成であり、可用性と負荷分散の両立を実現しています。
よくある誤解
単一サーバの二重化(ア)や待機系切り替え(イ)はセッション共有が難しく、故障時にセッションが失われるか手動切替が必要になるため、負荷分散方式とは異なります。
解法ステップ
- 問題文の「セッションを共有する負荷分散方式」に注目する。
- セッション共有のためには、セッション情報を複数サーバ間で共有できる仕組みが必要と理解する。
- 選択肢を読み、共通ディスク領域やクラスタ構成があるかを確認する。
- 故障時に他サーバがセッションを引き継ぐ説明がある選択肢を探す。
- それが選択肢ウであることを確認し、正解とする。
選択肢別の誤答解説
- ア: 単一サーバ内の装置二重化であり、負荷分散やセッション共有はできない。故障時も処理分担の範囲内で対応するため、負荷分散方式とは異なる。
- イ: 待機系サーバへの手動切替方式で、セッション共有は自動的に行われず、切替に時間と手間がかかる。負荷分散ではない。
- ウ: 正解。複数台サーバのクラスタ構成で共通ディスクによりセッション共有し、負荷分散と可用性を両立。故障時も他サーバがセッションを引き継ぐ。
- エ: 複数台で処理分担するが、故障時にセッション消失し新規開始となるため、セッション共有型負荷分散ではない。
補足コラム
セッション共有の負荷分散方式は、Webアプリケーションのスケーラビリティと可用性を高めるために重要です。共通ディスクを使う方式のほか、分散キャッシュやデータベースを利用してセッション情報を管理する方法もあります。近年はステートレス設計やJWT(JSON Web Token)を用いたセッション管理も増えていますが、クラスタ構成は依然として多くのシステムで採用されています。
FAQ
Q: なぜ単一サーバの二重化は負荷分散方式ではないのですか?
A: 単一サーバ内の装置二重化は故障耐性を高める手法であり、複数サーバ間で処理を分散する負荷分散とは異なります。
A: 単一サーバ内の装置二重化は故障耐性を高める手法であり、複数サーバ間で処理を分散する負荷分散とは異なります。
Q: 待機系サーバ方式はなぜセッション共有が難しいのですか?
A: 待機系サーバは通常、稼働系の状態をリアルタイムで共有しないため、切替時にセッション情報が引き継がれず手動対応が必要です。
A: 待機系サーバは通常、稼働系の状態をリアルタイムで共有しないため、切替時にセッション情報が引き継がれず手動対応が必要です。
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