ITストラテジスト試験 2009年 午前219


日本の技術経営における課題のうち、“死の谷”を説明したものはどれか。
基礎研究の成果を製品化に結び付けることができた製品が、市場の過当競争に巻き込まれ、価値利益化ができなくなる問題
製品が市場に浸透していくライフサイクルにおいて、ターゲットとすべき顧客が異なった属性の層へ替わっていき、価値利益化ができなくなる問題
製品のコモディティ化が進んだ結果、製品の差別化ができなくなり、価値利益化ができなくなる問題
基礎研究と製品開発との間をつなぐ研究開発に資金投入が行われなかった結果、基礎研究が製品化に結び付かず、価値利益化ができなくなる問題(正解)

解説

日本の技術経営における課題のうち、“死の谷”を説明したものはどれか【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:「死の谷」とは基礎研究と製品開発の間で資金不足により技術が製品化できない問題です。
  • 根拠:基礎研究は成果が出ても、次の段階である応用研究や製品化に必要な資金や支援が不足しやすい点が課題となっています。
  • 差がつくポイント:単なる市場競争や製品の差別化問題ではなく、研究開発の初期段階の資金・連携不足に焦点を当てることが重要です。

正解の理由

「死の谷」とは、基礎研究で得られた技術や知見が、製品開発や事業化の段階に進む際に資金や支援が不足し、技術が市場に出せずに埋もれてしまう現象を指します。選択肢アはこの定義に合致しており、基礎研究と製品開発の間の資金投入不足が原因で価値利益化ができなくなる問題を正確に説明しています。

よくある誤解

「死の谷」は単なる市場競争や製品の差別化の問題ではなく、技術の事業化初期段階における資金や支援の不足を指します。市場の過当競争や顧客層の変化は別の課題です。

解法ステップ

  1. 問題文の「死の谷」の意味を確認する。
  2. 「死の谷」は技術経営で基礎研究から製品化への橋渡しが難しい段階を指すことを理解する。
  3. 選択肢の内容を基礎研究と製品開発の関係に照らし合わせる。
  4. 資金不足や連携不足により技術が製品化できない問題を説明している選択肢を選ぶ。
  5. 他の選択肢は市場競争や製品差別化の問題であるため除外する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 正解。基礎研究と製品開発の間の資金不足による技術の事業化困難を正しく説明。
  • イ: 市場の過当競争による利益化困難の問題であり、「死の谷」の定義とは異なる。
  • ウ: 顧客層の変化による製品ライフサイクルの問題で、「死の谷」とは無関係。
  • エ: 製品のコモディティ化による差別化困難の問題であり、「死の谷」とは異なる課題。

補足コラム

「死の谷(Valley of Death)」は技術経営やイノベーションマネジメントでよく使われる用語で、基礎研究の成果を実用化・事業化する過程で資金や人材、ノウハウが不足し、技術が市場に届かないリスクを指します。日本の技術経営ではこの問題を克服するために、産学連携やベンチャー支援、政府の助成金制度などが整備されています。

FAQ

Q: 「死の谷」はどの段階の問題ですか?
A: 基礎研究と製品開発の間、つまり技術の実用化・事業化初期段階の資金や支援不足の問題です。
Q: 「死の谷」と市場競争の問題は同じですか?
A: いいえ。市場競争は製品が市場に出た後の問題であり、「死の谷」は技術が製品化される前の段階の問題です。
Q: 「死の谷」を克服する方法はありますか?
A: 産学連携の強化やベンチャー支援、政府の助成金制度などで資金や技術移転の支援を行うことが有効です。

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