ITストラテジスト試験 2010年 午前205


情報システムの全体計画立案のために、E-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
全社のデータとその処理過程を分析し、重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に、基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとしてとらえ、適切な識別名を与える。さらに、基本エンティティと関係あるデータを属性とし、全社のデータモデルを作成する。
企業の全体像を把握するために、基本的なエンティティだけを抽出し、それらの相互間のリレーションシップを含めて、鳥瞰図を作成する。次に、エンティティを詳細化し、すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。(正解)
管理層の業務から機能を抽出し、機能をエンティティとする。次に、機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに、全社の帳票類を調査して調査して、正規化された項目に基づいて属性を定義し、全社のデータモデルとする。
業務層の現状システムを分析し、エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め、これらを基にE-R図を作成し、それを抽象化して、全社のデータモデルを作成する。

解説

情報システムの全体計画立案におけるE-Rモデル作成手順【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:全社のデータモデル作成は、基本的なエンティティを抽出し鳥瞰図を作成、詳細化して完成させる手順が正しいです。
  • 根拠:E-Rモデルは企業全体のデータ構造を俯瞰し、段階的に詳細化することで整合性と網羅性を確保します。
  • 差がつくポイント:最初に全体像を把握し、基本エンティティとリレーションシップを明確にした上で詳細化する段階的アプローチが重要です。

正解の理由

選択肢イは、企業全体の基本的なエンティティを抽出し、それらの相互関係を含めた鳥瞰図を作成することで全体像を把握しています。次に、エンティティを詳細化し、すべてのリレーションシップを明確にすることで、全社のデータモデルとしての完成度を高めています。この段階的なアプローチは、E-Rモデルの作成における標準的かつ効果的な手順であり、全社的な整合性を保つために不可欠です。

よくある誤解

E-Rモデル作成は単に現状システムの分析や帳票の調査だけで完結するものではありません。全体像の把握と段階的な詳細化が欠けると、部分最適に陥りやすいです。

解法ステップ

  1. 企業全体の基本的なエンティティを抽出し、全体像を把握する。
  2. 抽出したエンティティ間のリレーションシップを含めた鳥瞰図を作成する。
  3. 鳥瞰図を基にエンティティを詳細化し、リレーションシップを明確にする。
  4. 詳細化したモデルを全社のデータモデルとして完成させる。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 機能をエンティティとする点が誤り。E-Rモデルは業務機能ではなくデータ(エンティティ)を中心に設計します。
  • : 正解。全体像の把握から詳細化まで段階的に進める正しい手順です。
  • ウ: 現状システム分析から始めるのは部分最適に陥る恐れがあり、全社的な鳥瞰図作成が欠けています。
  • エ: 処理過程や業務をエンティティとするのはE-Rモデルの本質から外れており、データ中心の設計ではありません。

補足コラム

E-Rモデル(Entity-Relationshipモデル)は、データベース設計の基礎であり、エンティティ(実体)、リレーションシップ(関係)、属性(特性)を用いてデータ構造を視覚的に表現します。全社的なデータモデル作成では、まず大枠のエンティティを抽出し、関係性を明確にした鳥瞰図を作成することが重要です。これにより、後の詳細設計やシステム開発での整合性が保たれます。

FAQ

Q: なぜ最初に基本的なエンティティだけを抽出するのですか?
A: 全体像を把握し、複雑な詳細に入る前に大枠の構造を理解することで、設計の方向性を誤らずに進められるためです。
Q: E-Rモデルで機能や業務をエンティティにしてはいけないのですか?
A: はい。E-Rモデルはデータの構造を表現するものであり、機能や業務は別のモデル(例:業務フロー図)で表現します。

関連キーワード: E-Rモデル, データモデリング, 全社データモデル, エンティティ, リレーションシップ, 情報システム設計
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