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ITストラテジスト試験 2010年 午前2 問11
市場で競合する二つの銘柄A, B間の推移確率行列は、表のとおりである。例えば、今回Aを購入した人が次回にBを購入する確率は、20%である。AとBの市場シェアが、それぞれ50%であるとき、全員が2回購入した後の市場シェアはどうなるか。

ア:Aのシェアは10%上がり、Bのシェアは10%下がる。
イ:Aのシェアは10%下がり、Bのシェアは10%上がる。
エ:Aのシェアは14%下がり、Bのシェアは14%上がる。
ウ:Aのシェアは14%上がり、Bのシェアは14%下がる。(正解)
解説
市場シェアの推移確率行列による2回購入後の市場シェア変化【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:2回購入後の市場シェアはAが約64%、Bが約36%となり、Aのシェアは14%上昇する。
- 根拠:初期シェアに推移確率行列を2回掛けて計算し、2回目の購入時の分布を求める。
- 差がつくポイント:行列の累乗計算と初期分布の正しい掛け合わせを理解し、確率の変化を正確に追うこと。
正解の理由
今回の市場シェアはAとBがそれぞれ50%ずつです。推移確率行列を用いて2回購入後のシェアを計算すると、
1回目の購入後シェアは
2回目の購入後シェアは
よって、Aのシェアは50%から64%へ14%上昇し、Bは36%に減少します。これが選択肢ウの内容と一致します。
1回目の購入後シェアは
2回目の購入後シェアは
よって、Aのシェアは50%から64%へ14%上昇し、Bは36%に減少します。これが選択肢ウの内容と一致します。
よくある誤解
推移確率行列を1回だけ掛けて終わりにしたり、初期シェアを単純に加減するだけで計算してしまう誤りが多いです。
解法ステップ
- 初期市場シェアをベクトルで表す:
- 推移確率行列を確認する:
- 1回目の購入後のシェアを計算:初期シェア × 推移確率行列
- 2回目の購入後のシェアを計算:1回目の結果 × 推移確率行列
- 2回目のシェアと初期シェアの差を求め、変化率を確認する
選択肢別の誤答解説
- ア: Aのシェアが10%上昇とあるが、実際は14%上昇で誤差が大きい。
- イ: Aのシェアが10%下がると誤認。推移確率からAのシェアは増加する。
- ウ: 正解。計算通りAのシェアが14%上昇し、Bが14%減少する。
- エ: Aのシェアが14%下がると誤り。推移確率行列の影響でAは増加傾向。
補足コラム
この問題はマルコフ連鎖の基本的な応用例です。市場シェアの推移を確率行列で表し、状態の変化を行列の累乗で求める手法は、マーケティング分析や顧客行動分析に広く使われています。長期的には定常分布に収束することも理解しておくと良いでしょう。
FAQ
Q: なぜ2回購入後のシェアを計算するのに行列の2乗を使うのですか?
A: 1回の購入での遷移を行列で表し、2回目の購入はその遷移を2回繰り返すため、行列の累乗で表現します。
A: 1回の購入での遷移を行列で表し、2回目の購入はその遷移を2回繰り返すため、行列の累乗で表現します。
Q: 初期シェアが異なる場合も同じ方法で計算できますか?
A: はい、初期シェアのベクトルを変えるだけで同様に計算可能です。
A: はい、初期シェアのベクトルを変えるだけで同様に計算可能です。
関連キーワード: マルコフ連鎖, 推移確率行列, 市場シェア推移, 確率行列の累乗, 顧客行動分析