ITストラテジスト試験 2011年 午前204


投資効果を現在価値法で評価するとき、最も投資効果の大きい(又は損失の小さい)シナリオはどれか。ここで、期間は3年間、割引率は5%とし、各シナリオのキャッシュフローは表のとおりとする。
問題画像
A
B(正解)
C
投資をしない

解説

投資効果を現在価値法で評価するとき、最も投資効果の大きいシナリオはどれか【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:割引率5%、期間3年の現在価値法で評価すると、シナリオBが最も投資効果が大きいです。
  • 根拠:各年の回収額を割引率で現在価値に換算し、投資額との差額(正味現在価値)を計算するとBが最大となるためです。
  • 差がつくポイント:回収額のタイミングが早いほど現在価値が高くなるため、同じ合計回収額でも早期回収のシナリオが有利です。

正解の理由

シナリオBは1年目に120万円、2年目に80万円、3年目に40万円と回収額が早期に多く入るため、割引率5%で現在価値を計算すると最も高い正味現在価値(NPV)を示します。投資額220万円を差し引いても利益が最大となるため、最も投資効果が大きいシナリオはイ(B)です。

よくある誤解

回収額の合計が同じならば回収の順序は関係ないと考えがちですが、割引率を考慮すると早期回収の方が価値が高くなります。

解法ステップ

  1. 各シナリオの回収額を年ごとに確認する。
  2. 割引率5%を用いて各年の回収額を現在価値に割り引く。
  3. 割引現在価値の合計から投資額を差し引き、正味現在価値(NPV)を算出する。
  4. NPVが最も大きいシナリオを選択する。

選択肢別の誤答解説

  • ア(A):回収額は後半に多いが、割引率を考慮すると後年の回収は価値が下がり、NPVはBより低い。
  • イ(B):1年目に大きく回収できるため、割引現在価値が高く、最も投資効果が大きい。正解。
  • ウ(C):回収額が均等だが、早期回収が多いBに比べるとNPVは劣る。
  • エ(投資をしない):投資額も回収もゼロなので、投資効果はない。

補足コラム

現在価値法は将来のキャッシュフローを一定の割引率で現在の価値に換算し、投資の採算性を評価する手法です。割引率は資本コストやリスクを反映し、早期回収の価値を高めるため、投資判断において重要な指標となります。

FAQ

Q: なぜ回収額の合計が同じでも現在価値は異なるのですか?
A: 割引率を用いるため、将来の回収は時間が経つほど価値が減少し、早期回収の方が現在価値が高くなります。
Q: 割引率5%はどのように決めるのですか?
A: 割引率は資金調達コストや投資リスクを考慮して設定され、企業やプロジェクトごとに異なります。

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