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ITストラテジスト試験 2012年 午前2 問05
情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
エ:全社のデータとその処理過程を分析し、重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に、基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとして捉え、適切な識別名を与える。さらに、基本エンティティと関係あるデー夕を属性とし、全社のデータモデルを作成する。
ア:管理層の業務から機能を抽出し、機能をエンティティとする。次に、機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義むする。さらに、全社の帳票類を調査して整理し、正規化された項目に基づいて属性を定義し、全社のデータモデルとする。
ウ:業務層の現状システムを分析し、エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め.これらを基にE-R図を作成し、それを抽象化して、全社のデータモデルを作成する。
イ:企業の全体像を把握するために、主要なエンティティだけを抽出し、それらの相互問のリレーションシップを含めて、鳥瞰図を作成する。次に、エンティティを詳細化し、全てのりリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。(正解)
解説
情報システムの全体計画立案におけるE-Rモデル作成手順【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:全社のデータモデル作成は、主要エンティティの鳥瞰図作成から詳細化し、全リレーションシップを明確にする手順が適切です。
- 根拠:E-Rモデルは企業全体のデータ構造を抽象化し、段階的に詳細化することで全体像と詳細の両方を把握できるためです。
- 差がつくポイント:機能や現状システムからの抽出ではなく、全体像を把握し主要エンティティを抽出する「トップダウン」アプローチが正しい理解です。
正解の理由
選択肢イは、まず企業全体の主要なエンティティを抽出し、それらの関係(リレーションシップ)を含めた鳥瞰図を作成します。これにより全体像を把握した上で、エンティティを詳細化し、全てのリレーションシップを明確にする段階的な手順を踏んでいます。E-Rモデルは全社のデータ構造を体系的に表現するため、トップダウンで全体像を捉えた後に詳細化する方法が最も適切です。
よくある誤解
機能や現行システムの分析から直接エンティティを抽出する方法は、部分的な視点に偏りやすく全社的な整合性を欠くことがあります。
帳票や処理過程から属性を定義するのは詳細設計の段階であり、全体計画立案には不向きです。
帳票や処理過程から属性を定義するのは詳細設計の段階であり、全体計画立案には不向きです。
解法ステップ
- 企業全体の業務や組織構造を把握し、主要なエンティティを抽出する。
- 抽出したエンティティ間のリレーションシップを明確にし、鳥瞰図(概要図)を作成する。
- 鳥瞰図を基にエンティティを詳細化し、全てのリレーションシップを明確にする。
- 詳細化したE-R図を全社のデータモデルとして確定する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 機能をエンティティとするのは誤り。エンティティは「物」や「事象」を表し、機能は業務プロセスの一部であるためE-Rモデルの対象外です。
- イ: 企業全体の主要エンティティを抽出し鳥瞰図を作成、詳細化する段階的手順で正解。
- ウ: 現状システム分析から始めるのは部分最適に陥りやすく、全社的な視点が不足します。
- エ: 処理過程や業務をエンティティとするのは誤りで、エンティティはデータの対象物であり処理ではありません。
補足コラム
E-Rモデル(Entity-Relationshipモデル)は、データベース設計の基礎であり、エンティティ(実体)、リレーションシップ(関係)、属性(特性)で構成されます。全社のデータモデル作成では、まず抽象的な全体像を把握し、段階的に詳細化するトップダウンアプローチが推奨されます。これにより、データの重複や矛盾を防ぎ、整合性の高い設計が可能になります。
FAQ
Q: なぜ機能や業務プロセスをエンティティにしないのですか?
A: エンティティは「物」や「事象」を表すため、機能や業務プロセスは対象外であり、E-Rモデルの構成要素として適切ではありません。
A: エンティティは「物」や「事象」を表すため、機能や業務プロセスは対象外であり、E-Rモデルの構成要素として適切ではありません。
Q: 鳥瞰図とは何ですか?
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、主要なエンティティとその関係を簡潔に示し、全体像を把握するために用います。
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、主要なエンティティとその関係を簡潔に示し、全体像を把握するために用います。
Q: 現状システム分析から始める方法の問題点は?
A: 現状システムは部分的な視点に偏るため、全社的な整合性や将来の拡張性を考慮したモデル作成には不向きです。
A: 現状システムは部分的な視点に偏るため、全社的な整合性や将来の拡張性を考慮したモデル作成には不向きです。
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