ITストラテジスト試験 2012年 午前223


投資評価方法の説明のうち、IRR(Internal Rate of Return)法はどれか。
“将来に期待されるキャッシュインフローの現在価値の総額 - 初期投資額”を算出し、評価する。
“投下された資本 = 将来に期待される各期のキャッシュインフローの累計”になるまでの期間を算出し、評価する。
“投資案のキャッシュアウトフローの現在価値の総額 = 将来に期待されるキャッシュインフローの現在価値の総額”になるような割引率を算出し、評価する。(正解)
“投資案の効果が及ぶ最終年までの平均年間純利益 ÷ 投資総額”で利回りを算出し、評価する。

解説

投資評価方法の説明のうち、IRR(Internal Rate of Return)法はどれか【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:IRR法は「投資案のキャッシュアウトフローの現在価値の総額とインフローの現在価値の総額が等しくなる割引率」を求める手法です。
  • 根拠:この割引率は投資の収益性を示し、プロジェクトの採否判断に使われます。
  • 差がつくポイント:IRRは単なる利益や回収期間ではなく、キャッシュフローの時間的価値を考慮した割引率である点を理解することが重要です。

正解の理由

選択肢ウは「投資案のキャッシュアウトフローの現在価値の総額=将来に期待されるキャッシュインフローの現在価値の総額」になる割引率を算出すると説明しています。これはIRRの定義そのものであり、投資の収益率を示す内部収益率を求める方法です。IRRは投資案の収益性を評価する際に、割引率を変化させて正味現在価値(NPV)がゼロになる点を探します。したがって、ウが正解です。

よくある誤解

IRRは単に利益の割合や回収期間を示すものではなく、キャッシュフローの時間価値を考慮した割引率であることを誤解しやすいです。

解法ステップ

  1. IRRの定義を確認し、「NPVがゼロになる割引率」であることを理解する。
  2. 選択肢の説明文を読み、NPVの計算に関する内容かどうかを判断する。
  3. 「現在価値の総額が等しくなる割引率」を示す選択肢を探す。
  4. 他の選択肢がNPV以外の評価方法(回収期間法、利益率法など)であることを確認する。
  5. IRRの定義に合致する選択肢ウを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「将来のキャッシュインフローの現在価値の総額 - 初期投資額」を算出するのはNPV法であり、IRR法の説明ではありません。
  • イ: 「投下資本が回収されるまでの期間」を算出するのは回収期間法で、IRRとは異なります。
  • ウ: IRRの定義通り、NPVがゼロになる割引率を求める方法で正解です。
  • エ: 「平均年間純利益 ÷ 投資総額」で利回りを算出するのは会計利回り法であり、IRR法ではありません。

補足コラム

IRR法は投資案の収益性を割引率の形で示すため、複数の投資案の比較に便利です。ただし、複数のIRRが存在する場合や、キャッシュフローが非定常的な場合には注意が必要です。NPV法と併用して総合的に判断することが推奨されます。

FAQ

Q: IRRが高いほど投資は良いのですか?
A: 一般にIRRが資本コストを上回れば投資は有利ですが、他の要因も考慮すべきです。
Q: IRR法とNPV法はどちらが優れている?
A: NPV法は絶対的な価値増加を示し、IRR法は収益率を示すため、両者を併用するのが望ましいです。

関連キーワード: IRR, 内部収益率, 投資評価, 正味現在価値, 回収期間法, 会計利回り法
← 前の問題へ次の問題へ →

©︎2025 情報処理技術者試験対策アプリ