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ITストラテジスト試験 2013年 午前2 問02
TCOの策定に当たって適切なものはどれか。
ア:エンドユーザコンピューティングにおけるユーザ部門の運用コストを考慮する必要はない。
イ:システム監査における監査対象データの収集コストや管理コストを考慮する必要はない。
ウ:システム障害の発生などによって仕入先企業が被るおそれのある、将来的な損失額も考慮する必要がある。
エ:ユーザ部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えないコストも考慮する必要がある。(正解)
解説
TCOの策定に当たって適切なものはどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:TCO(総所有コスト)策定では、ユーザ部門の埋没原価など見えにくいコストも含めて考慮する必要があります。
- 根拠:TCOはシステム導入から運用終了までの全コストを把握し、経営判断に役立てるため、直接費用だけでなく間接費用も含めることが重要です。
- 差がつくポイント:表面上のコストだけでなく、ユーザ部門の隠れた負担や運用に伴う見えにくいコストを見逃さない視点が求められます。
正解の理由
選択肢エは「ユーザ部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えないコストも考慮する必要がある」と述べています。TCOは単なる購入費用や運用費用だけでなく、ユーザ部門の作業効率低下や教育コスト、埋没原価などの間接的なコストも含めて総合的に評価するものです。これにより、真のコスト負担を把握し、適切な投資判断が可能となります。
よくある誤解
TCOは単に目に見える直接費用だけを計算すればよいと誤解されがちですが、実際には隠れたコストも含めて評価することが重要です。
解法ステップ
- TCOの定義を確認し、「総所有コスト=導入から廃棄までの全コスト」であることを理解する。
- 直接費用(購入費用、運用費用)だけでなく間接費用(教育コスト、運用負担、埋没原価など)も含むことを認識する。
- 各選択肢の内容がTCOの範囲に合致しているかを検討する。
- ユーザ部門の見えにくいコストを考慮している選択肢を正解と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: ユーザ部門の運用コストを考慮しないのは誤り。ユーザ部門の負担もTCOに含まれます。
- イ: 監査対象データの収集や管理コストもシステム運用に関わる重要なコストであり、無視できません。
- ウ: 仕入先企業の将来的な損失額はTCOの範囲外であり、企業内部の総所有コストとは異なります。
- エ: ユーザ部門の埋没原価など見えないコストも含める点がTCOの本質に合致しています。
補足コラム
TCO(Total Cost of Ownership)は、ITシステムや設備の導入にかかる全ての費用を包括的に評価する手法です。初期導入費用だけでなく、運用保守費用、教育費用、システム停止による損失なども含めることで、長期的なコスト管理と投資効果の最大化を目指します。
FAQ
Q: TCOに含まれる「埋没原価」とは何ですか?
A: 埋没原価は既に支出され回収不能な費用で、将来の意思決定には直接影響しませんが、システム利用に伴う見えにくいコストとして考慮されます。
A: 埋没原価は既に支出され回収不能な費用で、将来の意思決定には直接影響しませんが、システム利用に伴う見えにくいコストとして考慮されます。
Q: なぜ仕入先企業の損失はTCOに含めないのですか?
A: TCOは自社の総所有コストを評価するものであり、取引先の損失は自社のコストではないため含めません。
A: TCOは自社の総所有コストを評価するものであり、取引先の損失は自社のコストではないため含めません。
関連キーワード: TCO, 総所有コスト, 埋没原価, ITコスト管理, システム運用コスト