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ITストラテジスト試験 2015年 午前2 問02
TCOの算定に当たって、適切なものはどれか。
エ:利用部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えない費用も考慮する。(正解)
イ:システム監査における監査対象データの収集費用や管理費用は考慮しない。
ア:エンドユーザコンピューティングにおける利用部門の運用費用は考慮しない。
ウ:システム障害の発生などによって、その障害とは直接関係のない仕入先企業が被るおそれがある、将来的な損失額も考慮する。
解説
TCOの算定に当たって、適切なものはどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:TCO(総所有コスト)算定では、利用部門におけるシステム利用に起因する埋没原価などの見えない費用も考慮すべきです。
- 根拠:TCOはシステム導入から運用、廃棄までの全費用を包括的に評価するため、直接費用だけでなく間接費用や埋没原価も含める必要があります。
- 差がつくポイント:単に目に見えるコストだけでなく、利用部門の隠れたコストや埋没原価を見逃さずに評価できるかが重要です。
正解の理由
選択肢エは、TCO算定において「利用部門におけるシステム利用に起因する埋没原価などの見えない費用も考慮する」と述べています。TCOは単なる購入費用や運用費用だけでなく、システム利用に伴うあらゆるコストを総合的に評価する概念です。埋没原価(既に支出され回収不能な費用)も含めて考慮することで、より正確なコスト評価が可能となります。したがって、エが正解です。
よくある誤解
TCOは目に見える直接費用だけを評価するものと誤解されがちですが、実際には間接費用や埋没原価も含めて総合的に算定します。
解法ステップ
- TCOの定義を確認し、「総所有コスト=購入費用+運用費用+間接費用+埋没原価」などを理解する。
- 各選択肢がTCOの範囲に含まれる費用かどうかを判断する。
- 直接費用だけでなく、間接的・見えにくい費用も含める選択肢を選ぶ。
- システム監査や仕入先の将来的損失はTCOの範囲外であることを確認する。
- 最終的に埋没原価などの見えない費用を考慮する選択肢を正解とする。
選択肢別の誤答解説
- ア: エンドユーザコンピューティングの利用部門の運用費用はTCOに含まれるため、考慮しないのは誤りです。
- イ: システム監査の監査対象データの収集費用や管理費用はTCOの直接範囲外であり、考慮しないのは正しいが、TCO全体の説明としては不十分です。
- ウ: 仕入先企業の将来的な損失額はTCOの範囲外であり、考慮しないのが正しいため誤りです。
- エ: 利用部門におけるシステム利用に起因する埋没原価などの見えない費用も考慮する点がTCOの本質を捉えており正解です。
補足コラム
TCO(Total Cost of Ownership)は、ITシステムや設備の導入から廃棄までにかかる全ての費用を評価する手法です。初期導入費用だけでなく、運用保守費用、教育費用、障害対応費用、さらには埋没原価や機会損失も含めて総合的に評価することで、真のコストを把握し、経営判断に役立てます。
FAQ
Q: TCOに含まれる「埋没原価」とは何ですか?
A: 埋没原価とは、既に支出され回収不能な費用のことで、将来の意思決定に影響を与えない費用ですが、TCO算定では過去の投資も含めて総合的に評価します。
A: 埋没原価とは、既に支出され回収不能な費用のことで、将来の意思決定に影響を与えない費用ですが、TCO算定では過去の投資も含めて総合的に評価します。
Q: システム監査の費用はTCOに含まれますか?
A: システム監査の費用は通常、TCOの範囲外であり、監査目的の費用として別途管理されます。
A: システム監査の費用は通常、TCOの範囲外であり、監査目的の費用として別途管理されます。
関連キーワード: TCO, 総所有コスト, 埋没原価, ITコスト管理, システム運用費用