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ITストラテジスト試験 2016年 午前2 問05
情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
ウ:業務層の現状システムを分析し、エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め、これらを基にE-R図を作成し、それを抽象化して、全社のデータモデルを作成する。
エ:全社のデータとその処理過程を分析し、重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に、基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとして捉え、適切な識別名を与える。さらに、基本エンティティと関係があるデータを属性とし、全社のデータモデルを作成する。
ア:管理層の業務から機能を抽出し、機能をエンティティとする。次に、機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに、全社の帳票類を調査して整理し、正規化された項目に基づいて属性を定義し、全社のデータモデルとする。
イ:企業の全体像を把握するために、主要なエンティティだけを抽出し、それらの相互間のリレーションシップを含めて、鳥瞰図を作成する。次に、エンティティを詳細化し、全てのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。(正解)
解説
情報システムの全体計画立案におけるE-Rモデル作成手順【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:全社のデータモデル作成では、主要エンティティの鳥瞰図を作成し詳細化する手順が適切です。
- 根拠:E-Rモデルは企業全体のデータ構造を俯瞰し、エンティティ間の関係を明確にすることが重要だからです。
- 差がつくポイント:機能や現行システムに偏らず、全体像から段階的に詳細化するアプローチが正解の鍵となります。
正解の理由
選択肢イは、企業全体の主要エンティティを抽出し、それらの関係を鳥瞰図として把握した後、詳細化して全社のデータモデルを完成させる手順を示しています。これはE-Rモデルの基本的な作成手順に合致し、全社的な視点でデータ構造を整理するために最も適切です。全体像を把握してから詳細に落とし込むことで、抜け漏れや矛盾を防ぎ、整合性の高いモデルが作成できます。
よくある誤解
機能や現行システムの分析から直接エンティティを抽出する方法は、部分最適に陥りやすく全社的な整合性を欠くことがあります。
解法ステップ
- 企業全体の主要なエンティティを抽出し、全体像を把握する。
- 抽出したエンティティ間のリレーションシップを明確にし、鳥瞰図を作成する。
- 鳥瞰図を基にエンティティやリレーションシップを詳細化する。
- 全てのリレーションシップを明確にし、整合性のある全社データモデルを完成させる。
選択肢別の誤答解説
- ア:機能をエンティティとするのは誤り。エンティティは業務対象の「もの」や「事象」であり、機能は対象外です。
- イ:正解。全体像の把握から詳細化まで段階的に進める正しい手順です。
- ウ:現状システム分析から始めるのは部分最適化の恐れがあり、全社的な視点が不足しています。
- エ:処理過程や業務をエンティティとするのは誤りで、データモデルの本質から外れています。
補足コラム
E-Rモデル(エンティティ・リレーションシップモデル)は、データベース設計の基礎であり、エンティティ(実体)、リレーションシップ(関係)、属性(特性)を用いて業務データの構造を表現します。全社的なデータモデルは、システム開発の上流工程での共通理解を促進し、後続の詳細設計や実装の品質向上に寄与します。
FAQ
Q: なぜ機能をエンティティにしてはいけないのですか?
A: エンティティは「もの」や「事象」を表し、機能は業務の動作や処理であるため、データモデルの対象外です。
A: エンティティは「もの」や「事象」を表し、機能は業務の動作や処理であるため、データモデルの対象外です。
Q: 鳥瞰図とは何ですか?
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、主要なエンティティとその関係を大まかに示したものです。
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、主要なエンティティとその関係を大まかに示したものです。
関連キーワード: E-Rモデル, データモデリング, 全社データモデル, エンティティ, リレーションシップ, 情報システム設計