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ITストラテジスト試験 2016年 午前2 問14
図は,SECIモデルの知識変換プロセスに基づき、製造現場において、熟練工の技能を若手技能者に伝承する例を示したものである。dに該当する活動はどれか。ここで,ア~エは、a~dのいずれかに該当する。

イ:熟練工がもつ技能のうち、文章、図表、数式によって表現が可能なものを熟練エと若手技能者間において確認しながら作業手順書などの文書にまとめる。
ウ:若手技能者が、得られた知識をデータベースに記録し、これらを整理・分類し、組み合わせることによって、新しい作業手順を生み出す。
エ:若手技能者が、得られた知識を基に実際の作業を繰り返し経験することによって、知識を自分の技能として体得する。(正解)
ア:現場作業やOJTを通じて、熟練工と若手技能者間において製造のための知識や課題を確認するとともに、文書化されていない技能の存在を認識する。
解説
SECIモデルの知識変換プロセスに基づく製造現場の技能伝承【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:dに該当する活動は「内面化(Internalization)」で、知識を実践で体得する行動です。
- 根拠:SECIモデルは知識の4段階変換を示し、内面化は形式知を暗黙知に変えるプロセスに該当します。
- 差がつくポイント:各プロセスの特徴を正確に理解し、具体的な現場活動と結びつけて判断することが重要です。
正解の理由
dの位置は「内面化(Internalization)」の矢印の下にあり、これは形式知を実際の経験を通じて暗黙知に変換する段階です。選択肢エは「若手技能者が得られた知識を基に実際の作業を繰り返し経験し、技能として体得する」と記述しており、まさに内面化の活動を示しています。したがって、dに該当するのは選択肢エです。
よくある誤解
内面化を単なる知識の習得や文書化と混同しやすいですが、実際には経験を通じて知識を自分のものにするプロセスです。文書化は表出化や連結化に該当します。
解法ステップ
- SECIモデルの4つの知識変換プロセス(共同化、表出化、連結化、内面化)を理解する。
- 図の矢印と位置関係から、a~dがどのプロセスに対応するかを確認する。
- 各選択肢の内容をプロセスの特徴と照らし合わせる。
- 「実際の作業を繰り返し経験する」活動が内面化に該当することを見極める。
- 正解を選択肢エと確定する。
選択肢別の誤答解説
- ア:共同化(Socialization)に該当し、暗黙知の共有を指すためdではなく左→上の矢印に対応。
- イ:表出化(Externalization)で、暗黙知を形式知に変換し文書化する活動。dではなく上→右の矢印に対応。
- ウ:連結化(Combination)で、形式知の整理・統合を指す。dではなく右→下の矢印に対応。
- エ:内面化(Internalization)で、形式知を実践で体得し暗黙知に変換する活動。dに該当。
補足コラム
SECIモデルは野中郁次郎氏が提唱した知識創造理論で、組織内の知識が暗黙知と形式知の間で循環しながら新たな知識を生み出すプロセスを示します。製造現場の技能伝承では、単にマニュアルを作るだけでなく、実際の経験を通じて技能を体得する内面化が極めて重要です。
FAQ
Q: SECIモデルの「共同化」とは何ですか?
A: 暗黙知同士が直接交流し、経験や感覚を共有するプロセスです。
A: 暗黙知同士が直接交流し、経験や感覚を共有するプロセスです。
Q: 「表出化」と「連結化」の違いは何ですか?
A: 表出化は暗黙知を形式知に変換することで、連結化は複数の形式知を整理・統合して新たな知識を作ることです。
A: 表出化は暗黙知を形式知に変換することで、連結化は複数の形式知を整理・統合して新たな知識を作ることです。
Q: なぜ内面化は経験が重要なのですか?
A: 形式知を自分の技能として体得するためには、実際の行動や反復経験が不可欠だからです。
A: 形式知を自分の技能として体得するためには、実際の行動や反復経験が不可欠だからです。
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