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ITストラテジスト試験 2016年 午前2 問23
ソフトウェア開発を下請事業者に委託する場合、下請代金支払遅延等防止法に照らして、禁止されている行為はどれか。
イ:顧客が求める仕様が確定していなかったので、発注の際に、下請事業者に仕様が未記載の書面を交付し、仕様が確定した時点では、内容を書面ではなく口頭で伝えた。(正解)
ウ:顧客の都合で、仕様変更の必要が生じたので、下請事業者と協議の上、発生する費用の増加分を下請代金に加算することで仕様変更に応じてもらう。
エ:振込手数料を下請事業者が負担する旨を発注前に書面で合意したので、親事業者が負担した実費の範囲内で振込手数料を差し引いて下請代金を支払う。
ア:継続的な取引が行われているので、支払条件、支払期日等を記載した書面をあらかじめ交付し、個々の発注書面にはその事項の記載を省略する。
解説
ソフトウェア開発の下請代金支払遅延等防止法違反行為はどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:仕様未確定の発注書面に仕様未記載で、確定後も口頭伝達のみは法で禁止されています。
- 根拠:下請代金支払遅延等防止法は書面交付義務を定め、重要事項は書面で明示しなければなりません。
- 差がつくポイント:仕様変更や支払条件は必ず書面で通知し、口頭のみの伝達は違法となる点を押さえましょう。
正解の理由
選択肢イは、仕様が未確定の状態で仕様未記載の書面を交付し、確定後の仕様変更を口頭で伝えた点が問題です。下請代金支払遅延等防止法では、発注内容の重要事項は書面で明示する義務があり、口頭のみの通知は認められていません。これにより下請事業者の権利保護が損なわれるため禁止されています。
よくある誤解
「口頭でのやり取りは柔軟で便利だから問題ない」と考えがちですが、法的には書面での明示が必須です。
「継続取引なら書面省略も許される」と誤解しやすいですが、重要事項は例外なく書面で通知が必要です。
「継続取引なら書面省略も許される」と誤解しやすいですが、重要事項は例外なく書面で通知が必要です。
解法ステップ
- 下請代金支払遅延等防止法の目的と書面交付義務を確認する。
- 発注時の書面に仕様や支払条件が記載されているかをチェック。
- 仕様変更や重要事項の通知方法が書面か口頭かを判別。
- 書面交付義務違反がある選択肢を特定。
- 禁止行為に該当するものを正解とする。
選択肢別の誤答解説
- ア: 継続取引であっても支払条件等をあらかじめ書面で交付し、個別発注書に省略は認められるため問題なし。
- イ: 仕様未記載の書面交付と確定後の口頭通知は書面交付義務違反で禁止される。
- ウ: 仕様変更に伴う費用増加分を協議し書面で合意しているため適法。
- エ: 振込手数料の負担を事前に書面合意し、実費範囲内で差し引くのは認められている。
補足コラム
下請代金支払遅延等防止法は、親事業者による下請事業者への不当な支払遅延や不利益な取扱いを防止するための法律です。特に書面交付義務は、取引内容の透明化とトラブル防止に重要な役割を果たしています。IT業界のように仕様変更が頻繁な分野では、書面管理の徹底が信頼関係構築の鍵となります。
FAQ
Q: 書面交付義務はどのような内容に適用されますか?
A: 支払条件、支払期日、仕様など取引の重要事項すべてに適用されます。
A: 支払条件、支払期日、仕様など取引の重要事項すべてに適用されます。
Q: 口頭での仕様変更通知は一切認められませんか?
A: 法律上は書面での通知が必須であり、口頭のみは違法です。
A: 法律上は書面での通知が必須であり、口頭のみは違法です。
Q: 継続取引の場合、書面交付は省略できますか?
A: 重要事項の書面交付は継続取引でも省略できませんが、あらかじめ書面で通知していれば個別発注書で省略可能です。
A: 重要事項の書面交付は継続取引でも省略できませんが、あらかじめ書面で通知していれば個別発注書で省略可能です。
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