ITストラテジスト試験 2019年 午前205


システム開発における発注者と受注者であるベンダとの契約方法のうち、実費償還型契約はどれか。
委託業務の進行中に発生するリスクはベンダが負い、発注者は注文時に合意した価格を支払う。
インフレ率や特定の製品の調達コストの変化に応じて、あらかじめ取り決められた契約金額を調整する。
契約時に、目標とするコスト、利益、利益配分率、上限額を合意し、目標とするコストと実際に発生したコストの差異に基づいて利益を配分する。
ベンダの役務や技術に対する報酬に加え、委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う(正解)

解説

システム開発における実費償還型契約とは【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:実費償還型契約は、ベンダがかかった費用全額を発注者が支払う契約形態です。
  • 根拠:ベンダの役務報酬に加え、実際にかかった費用を全て償還するため、費用の変動リスクは発注者が負います。
  • 差がつくポイント:契約時に費用上限が設定されないことや、ベンダのリスク負担の有無を正確に理解することが重要です。

正解の理由

選択肢エは「ベンダの役務や技術に対する報酬に加え、委託業務の遂行に要した費用の全てをベンダに支払う」とあり、これは実費償還型契約の定義に合致します。実費償還型契約では、ベンダは実際にかかった費用を発注者に請求し、発注者はその全額を支払うため、費用の増減リスクは発注者側にあります。したがって、エが正解です。

よくある誤解

実費償還型契約は費用が全て償還されるため、ベンダがリスクを負わないと誤解されがちですが、実際は費用管理の責任はベンダにあります。

解法ステップ

  1. 契約形態の基本的な特徴を確認する。
  2. 実費償還型契約は「実際にかかった費用を全額支払う」契約であることを理解する。
  3. 選択肢の説明文と契約形態の特徴を照合する。
  4. ベンダが費用リスクを負うか、発注者が負うかを判断する。
  5. 最も契約形態の定義に合致する選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 固定価格契約の特徴であり、ベンダがリスクを負うため実費償還型ではない。
  • イ: 価格調整契約の説明で、インフレやコスト変動に応じて契約金額を調整する形態。
  • ウ: 目標コスト契約の説明で、コスト差異に基づき利益を配分するため実費償還型とは異なる。
  • : 実費償還型契約の定義に合致し、正解。

補足コラム

実費償還型契約は、プロジェクトの要件が不確定でコスト見積もりが困難な場合に用いられます。発注者は費用増加リスクを負いますが、ベンダの透明性が求められ、費用管理のための詳細な報告が必要です。

FAQ

Q: 実費償還型契約はベンダにとってリスクがないのですか?
A: ベンダは費用を全額請求できますが、費用管理責任はベンダにあり、無駄なコストが発生すると信頼を損ないます。
Q: 固定価格契約と実費償還型契約の違いは何ですか?
A: 固定価格契約は契約時に価格が決まりベンダがリスクを負うのに対し、実費償還型は実費を発注者が負担しリスクは発注者側にあります。

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