ITストラテジスト試験 2024年 午前222


公衆への提供などが行われた他人の著作物をAIの学習データとして利用する行為に関して、著作権法に照らして適切なものはどれか。ただし、著作物の利用は、ATによる情報解析の範囲で行われ、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的とするものではない。また、日本国内で作成された著作物を日本国内で利用する場合であり、利用者と著作権者との間で特段の契約は存在しないものとする。
著作権者の利益を不当に害する場合及び商業利用の場合を除いて、著作権者の許諾なくAIの学習に利用できる。
他人の著作物から情報を抽出してAIに学習させる行為は、どのような条件においても、一切禁止されている。
著作権者の許諾が得られた場合に限って、著作権者との合意の範囲内において、AIの学習に利用できる。
著作権者の利益を不当に害さない場合、その必要と認められる限度において、商業利用であるか否かを問わず、著作権者の許諾なくATの学習に利用できる。(正解)

解説

公衆への提供などが行われた他人の著作物をAIの学習データとして利用する行為に関する著作権法の適切な対応【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:著作権者の利益を不当に害さない範囲であれば、許諾なくAI学習に利用可能です。
  • 根拠:著作権法第30条の「私的使用のための複製」や第32条の「引用」など、一定の条件下での利用が認められています。
  • 差がつくポイント:商業利用の有無にかかわらず、著作権者の利益を不当に害さないかどうかが判断基準となる点を理解することが重要です。

正解の理由

選択肢ウは、著作権法の趣旨に沿って「著作権者の利益を不当に害さない範囲で、必要な限度において許諾なく利用できる」と明確に述べています。AIの学習における利用は、著作物の思想や感情を享受する目的ではなく、情報解析のための複製や利用に該当し、著作権法上の例外規定に該当する場合があります。したがって、著作権者の利益を不当に害さない限り、許諾なしに利用可能である点が正解の根拠です。

よくある誤解

著作権法はすべての利用を禁止しているわけではなく、AI学習のような情報解析目的での利用は一定の条件下で認められています。商業利用だからといって必ず許諾が必要とは限りません。

解法ステップ

  1. 問題文の条件(日本国内著作物、国内利用、契約なし)を確認する。
  2. AI学習の目的が「思想や感情の享受ではなく情報解析」であることを理解する。
  3. 著作権法の例外規定(私的使用、引用、情報解析など)を思い出す。
  4. 商業利用の有無にかかわらず、著作権者の利益を不当に害さないかが判断基準であることを確認する。
  5. 選択肢の中でこの条件を満たすものを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア:著作物の利用が「どのような条件でも一切禁止」と断定しているが、著作権法には例外規定があり誤り。
  • イ:許諾が必要と限定しているが、著作権者の利益を不当に害さない範囲では許諾なしの利用も認められるため不正解。
  • :著作権者の利益を不当に害さない限度で許諾なく利用できると正しく述べている。
  • エ:商業利用の場合は許諾が必要と限定しているが、商業利用であっても利益を不当に害さなければ許諾不要の可能性があるため不正解。

補足コラム

著作権法改正により、AIの学習利用に関する規定が注目されています。特に「情報解析のための複製」については、著作権者の利益を不当に害さない範囲での利用が認められ、AI技術の発展と著作権保護のバランスを図る動きが進んでいます。今後も法改正や判例の動向に注意が必要です。

FAQ

Q: AIの学習に使うために著作物を複製するのは必ず許諾が必要ですか?
A: いいえ。著作権者の利益を不当に害さない範囲であれば、許諾なく利用できる場合があります。
Q: 商業利用の場合は必ず許諾が必要ですか?
A: 商業利用であっても、著作権者の利益を不当に害さなければ許諾なしで利用可能な場合があります。
Q: AI学習で著作物の思想や感情を享受することは許されますか?
A: いいえ。AI学習は情報解析が目的であり、思想や感情の享受を目的とする利用は著作権法の例外に該当しません。

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