情報処理安全確保支援士試験 2009年 秋期 午前223


開発した製品で利用している新規技術に関して特許の出願を行った。日本において特許権の取得が可能なものはどれか。
学会で技術内容を発表した日から11か月目に出願した。
顧客と守秘義務の確認を取った上で技術内容を説明した後、製品発表前に出願した。(正解)
製品に使用した暗号の生成式を出願した。
製品を販売した後に出願した。

解説

新規技術の特許出願に関する問題【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:特許権を取得するには、公開前に出願することが必須であり、顧客に守秘義務を確認した上で説明し、製品発表前に出願したイが正解です。
  • 根拠:日本の特許法では、発明の新規性を保つために公知・公用前の出願が求められ、学会発表や販売後の出願は新規性を失います。
  • 差がつくポイント:守秘義務のある説明は「秘密保持された情報の共有」とみなされ、新規性を損なわないため、出願前の適切な管理が重要です。

正解の理由

イの選択肢は、顧客に対して守秘義務を確認した上で技術内容を説明し、その後に製品発表前に特許出願を行っています。これは技術内容が公知になる前に出願しているため、新規性が保たれ、特許権の取得が可能です。守秘義務契約により技術内容は秘密扱いとなり、特許法上の「公知」には該当しません。

よくある誤解

学会発表や製品販売後の出願は新規性を失うため特許取得は困難ですが、守秘義務のある説明は秘密保持されているため新規性を損ないません。

解法ステップ

  1. 特許法における「新規性」の要件を確認する。
  2. 公知・公用のタイミングを特定し、出願時期と比較する。
  3. 守秘義務の有無を判断し、秘密保持された説明かどうかを見極める。
  4. 各選択肢の出願時期と公開状況を照らし合わせる。
  5. 新規性を保ち、かつ適切な出願時期の選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 学会で技術内容を発表した日から11か月目に出願したため、発表によって新規性が失われており特許取得は不可。
  • イ: 守秘義務の確認後に説明し、製品発表前に出願しているため新規性が保たれ特許取得可能。
  • ウ: 暗号の生成式は「数学的な理論や計算法」に該当し、特許法上の発明として認められない場合が多い。
  • エ: 製品販売後の出願は既に公知となっているため新規性を失い、特許取得はできない。

補足コラム

日本の特許法では、発明の新規性を保つために「公知・公用前の出願」が原則です。学会発表や製品販売は公知に該当し、出願前に行うと特許権取得が困難になります。一方、守秘義務契約の下での技術説明は秘密保持されているため、新規性を損なわずに出願可能です。また、数学的な理論や単なるアイデアは特許対象外となるため、技術的な具体的発明であることも重要です。

FAQ

Q: 守秘義務契約がない場合、顧客への技術説明はどうなる?
A: 守秘義務契約がない場合は技術内容が公知となり、新規性を失うため特許取得は難しくなります。
Q: 製品販売後に出願しても特許は取れますか?
A: 製品販売後は技術が公知となっているため、原則として新規性を失い特許取得はできません。
Q: 学会発表後でも特許出願できる例外はありますか?
A: 日本では発表後1年以内の出願は「特例期間」として認められますが、問題文の11か月目はギリギリであり、発表内容の詳細によっては新規性が否定されることもあります。

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