情報処理安全確保支援士試験 2009年 春期 午前215


TCPヘッダ中のウィンドウサイズの説明として、適切なものはどれか。
受信エラー時の再送に備えて送信側が保持しているデータのサイズを受信側に知らせるために使用される。
受信側からの確認応答を待たずに,データを続けて送信できるかどうかの判断に使用される。(正解)
送信側と受信側の最適なバッファサイズを接続開始時のハンドシェイクで決定するために使用される。
複数セグメントから成るデータの送信時,後続するセグメント数を受信側に知らせるために使用される。

解説

TCPヘッダ中のウィンドウサイズの説明として、適切なものはどれか。【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:TCPのウィンドウサイズは受信側が送信側に送る「受信可能なバッファ容量」を示し、送信側が確認応答を待たずに送信できるデータ量を制御します。
  • 根拠:TCPはフロー制御機能を持ち、ウィンドウサイズはこの制御の中心であり、受信側の処理能力に応じて送信量を調整します。
  • 差がつくポイント:ウィンドウサイズは「受信側から送信側への通知」であり、再送制御やセグメント数の通知ではない点を正確に理解することが重要です。

正解の理由

イ: 受信側からの確認応答を待たずに、データを続けて送信できるかどうかの判断に使用される。
TCPのウィンドウサイズは、受信側が現在受け入れ可能なバッファ容量を示し、送信側はこの値を基に送信可能なデータ量を決定します。これにより、送信側は確認応答(ACK)を待たずにウィンドウ内のデータを連続送信でき、効率的な通信が可能となります。

よくある誤解

ウィンドウサイズは再送用のデータサイズやセグメント数を示すものではなく、あくまで受信側の受け入れ可能な容量を示す指標です。

解法ステップ

  1. TCPの基本機能として「フロー制御」があることを思い出す。
  2. フロー制御は送信側が受信側の処理能力に合わせて送信量を調整する仕組みである。
  3. ウィンドウサイズは受信側が送信側に通知する「受信可能なバッファ容量」であることを確認する。
  4. 選択肢の説明と照らし合わせ、ウィンドウサイズの役割に合致するものを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 受信エラー時の再送に備えて送信側が保持しているデータのサイズを知らせるのは誤り。再送は確認応答の欠如で判断し、ウィンドウサイズはバッファ容量の通知である。
  • イ: 正解。受信側のバッファ容量を示し、送信側が確認応答を待たずに送信可能なデータ量を決定する。
  • ウ: バッファサイズの最適化は接続開始時に交渉されるが、ウィンドウサイズは動的に変化し続ける値であり、ハンドシェイクだけで決定されるものではない。
  • エ: 後続セグメント数を知らせる機能はTCPにはなく、ウィンドウサイズはバッファ容量の通知であるため誤り。

補足コラム

TCPのウィンドウサイズは16ビットのフィールドで最大65535バイトまで指定可能です。近年はウィンドウスケーリングオプションにより、より大きなウィンドウサイズを扱うことも可能となっています。これにより高速・長距離通信でも効率的なフロー制御が実現されています。

FAQ

Q: ウィンドウサイズが0になるとどうなる?
A: 送信側は受信側がバッファ不足のため一時的にデータ送信を停止し、ウィンドウが再び開くまで待機します。
Q: ウィンドウサイズとスライディングウィンドウの関係は?
A: ウィンドウサイズはスライディングウィンドウの大きさを示し、送信側はこの範囲内で連続したデータを送信します。

関連キーワード: TCP, フロー制御, ウィンドウサイズ, スライディングウィンドウ, ネットワーク通信, 再送制御
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