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情報処理安全確保支援士試験 2010年 春期 午前2 問24
情報システムの設計において,フェールソフトが講じられているのはどれか。
ア:UPS装置を設置することで,停電時に手順どおりにシステムを停止できるようにし,データを保全する。
イ:制御プログラムの障害時に,システムの暴走を避け,安全に運転を停止できるようにする。
ウ:ハードウェアの障害時に,パフォーマンスは低下するが,構成を縮小して運転を続けられるようにする。(正解)
エ:利用者の誤操作や誤入力を未然に防ぐことで,システムの誤動作を防止できるようにする。
解説
フェールソフトとは、システムに障害が発生しても完全に停止せず、動作を縮小したり機能を限定して安全に継続運用できる仕組みを指します。つまり、故障が起きても最小限の機能を確保し、サービス停止を回避することが目的です。
選択肢の考察
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ア:UPS装置の設置
UPS(無停電電源装置)は停電時の電力供給を補う装置であり、停電からの安全なシステム停止やデータ保全に役立ちます。これは「障害の発生を回避」したり「安全に停止」するための対策であり、本質的にフェールソフトとは異なります。 -
イ:制御プログラムの障害時に安全停止
システムの暴走防止や安全停止も重要な対策ですが、これもフェールセーフ(fail-safe)の考え方に近いです。障害が起きたら停止して被害を防ぐ方策であり、フェールソフトとは意味が異なります。 -
ウ:ハードウェアの障害時に性能低下を許容して運転継続
これはフェールソフトの典型例です。障害があっても完全停止せず、利用可能な機能だけでサービスを維持し続けることを指します。機能縮小によりパフォーマンスは低下しますが、システム全体の信頼性を高める設計方針です。 -
エ:利用者の誤操作防止
ユーザー操作の誤りを未然に防ぐ仕組みは、信頼性向上に重要ですが、システムの障害発生後の動作保持とは異なります。
まとめ
フェールソフトは、障害が発生しても機能を限定しながらシステムを動作継続させる設計のことです。したがって、ハードウェア障害時に性能が落ちても運転を続けられる選択肢 ウ が正解となります。
フェールソフトとフェールセーフの違い
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フェールソフト(fail-soft)
障害が起きても一部機能を制限しながら動作を続け、サービスの継続を重視する。 -
フェールセーフ(fail-safe)
障害が起きたときに安全に停止して二次被害を防ぐことを重視する。
このように、障害時のシステムの挙動をどのように設計するか理解することは、情報システムの信頼性向上にとても重要です。