ホーム > 情報処理安全確保支援士試験 > 2011年 秋期
情報処理安全確保支援士試験 2011年 秋期 午前2 問18
コンピュータとスイッチングハブの間, 又は 2 台のスイッチングハブの間を接続する複数の物理回線を論理的に1本の回線に束ねる技術はどれか。
ア:スパニングツリー
イ:ブリッジ
ウ:マルチホーミング
エ:リンクアグリゲーション(正解)
解説
情報処理技術者試験の午前2問題で問われている「複数の物理回線を論理的に1本の回線に束ねる技術」について、わかりやすく解説します。
問題のポイント
- 複数の物理回線がある状態で、それらを一つにまとめて論理的に扱いたい。
- 接続対象は、「コンピュータとスイッチングハブ間」または「2台のスイッチングハブ間」。
- 目的は、回線の帯域幅拡張や冗長化(信頼性向上)です。
各選択肢の解説
ア:スパニングツリー(Spanning Tree Protocol)
スパニングツリーは、ネットワーク内にループ(ループ状の接続)がある場合、ループを防止するために冗長回線の一部を一時的にブロックし、ネットワークをループフリーに保つプロトコルです。
物理回線を束ねて一本化する技術ではありません。
物理回線を束ねて一本化する技術ではありません。
イ:ブリッジ(Bridge)
ブリッジは、異なるネットワークセグメントを接続し、MACアドレスに基づいてデータ転送を制御する装置です。
物理回線をまとめる技術ではなく、ネットワークの分割や中継を行います。
物理回線をまとめる技術ではなく、ネットワークの分割や中継を行います。
ウ:マルチホーミング(Multihoming)
マルチホーミングは、1台の機器やネットワークが複数のネットワーク接続やISPに同時に接続している状態を指します。
回線を1本にまとめる技術ではなく、複数回線の同時利用やフェイルオーバーに関する概念です。
回線を1本にまとめる技術ではなく、複数回線の同時利用やフェイルオーバーに関する概念です。
エ:リンクアグリゲーション(Link Aggregation)
リンクアグリゲーションは、複数の物理リンクを束ねて論理的に1本のリンクとして扱う技術です。
複数の回線を束ねることで、帯域幅の増加や回線障害時の冗長性が実現できます。IEEE 802.3ad(現在は802.1AXとして標準化)で定められています。
複数の回線を束ねることで、帯域幅の増加や回線障害時の冗長性が実現できます。IEEE 802.3ad(現在は802.1AXとして標準化)で定められています。
なぜ「リンクアグリゲーション」が正解か?
- 物理的に複数ある回線をまとめて、高速な通信回線を仮想的に作れる。
- 仮に1本の回線が故障しても他の回線で通信を維持できるので、信頼性も向上。
- ネットワーク機器(スイッチングハブ)やコンピュータ側で対応していれば追加の設定で利用できる。
補足:リンクアグリゲーションのイメージ
例えば、3本の100 Mbps回線を束ねると、理論的には3 × 100 Mbps = 300 Mbpsの帯域幅として扱えます。
ただし、実際の通信速度は、フレームの分割やハッシュ関数による振り分けなどによって決まり、単純な足し算より少し効率が落ちることがあります。
ただし、実際の通信速度は、フレームの分割やハッシュ関数による振り分けなどによって決まり、単純な足し算より少し効率が落ちることがあります。
まとめ
- リンクアグリゲーションは、複数の物理回線をまとめて効率的に通信し、帯域幅増強や信頼性向上を図る技術です。
- スパニングツリーやブリッジ、マルチホーミングとは目的や働きが異なりますので混同しないようにしましょう。
このように理解すると、「複数の物理回線を論理的に1本にまとめる技術」は「リンクアグリゲーション」であると確信できるでしょう。