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情報処理安全確保支援士試験 2011年 秋期 午前2 問19
電源オフ時に IP アドレスを保持することができない装置が,電源オン時に自装置のMAC アドレスから自装置に割り当てられている IP アドレスを知るために用いるデータリンク層のプロトコルで, ブロードキャストを利用するものはどれか。
ア:ARP
イ:DHCP
ウ:DNS
エ:RARP(正解)
解説
電源オフ時にIPアドレスの情報を保持できない装置が、電源オン時に自分のMACアドレスから自分に割り当てられているIPアドレスを知る際に使われるプロトコルについて説明します。
問題のポイント
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装置がIPアドレスを保持できない
電源が切れている間、IPアドレスの情報を保存しない、または保持できない状態です。 -
電源オン時に自装置のIPアドレスを知りたい
自分のMACアドレスは知っているが、IPアドレスがわからないので取得したい。 -
データリンク層のプロトコルでブロードキャストを使うもの
MACアドレスはOSI参照モデルのデータリンク層で扱われるため、ここで使われるプロトコルを選ぶ必要があります。
各選択肢の解説
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ア: ARP (Address Resolution Protocol)
ARPはIPアドレスから対応するMACアドレスを問い合わせるプロトコルです。具体的には、ネットワーク上のあるIPアドレスに対応するMACアドレスを知りたいときに使います。
※今回は逆方向(MACアドレスからIPアドレスを得る)なので適しません。 -
イ: DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol)
DHCPはIPアドレスを自動的に割り当てるプロトコルで、IPアドレスを取得するために利用されますが、ネットワーク層以上のプロトコルです。
また、DHCPはMACアドレスを元にIPアドレスを割り当てますが、ここで求められているのはデータリンク層のプロトコルではありません。 -
ウ: DNS (Domain Name System)
DNSはドメイン名とIPアドレスを相互に変換するプロトコルです。MACアドレスとは関係がありません。 -
エ: RARP (Reverse Address Resolution Protocol)
RARPは名前のとおり、「ARPの逆」で、自分のMACアドレスを使ってIPアドレスを問い合わせるプロトコルです。
電源オフ時にIPアドレスを保持できない端末が電源オン後に自分のIPアドレスを知るために使います。
これもデータリンク層のプロトコルで、ブロードキャストでMACアドレスをネットワークに問い合わせます。
まとめ
- 問題の条件に合致するのは「エ:RARP」です。
- RARPはMACアドレスからIPアドレスを取得する逆引きのためのプロトコルであり、電源オン直後の端末が自分のIPアドレスを知るために使われます。
- 対してARPはIPアドレスからMACアドレスを求めるためのものであり、DHCPは上位層のIPアドレス自動割り当て、DNSは名前解決用です。
補足
近年ではRARPの代わりにDHCPが広く使われていますが、問題文のようなデータリンク層のプロトコルでMACアドレスを元にIPアドレスを求めるのはRARPの役割です。
このように考えると、「電源オフ時にIPアドレスを保持できない装置が、自分のMACアドレスからIPアドレスを知るために使うデータリンク層のプロトコル」は RARP であることがわかります。