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情報処理安全確保支援士試験 2011年 秋期 午前222


バグ埋込み法において, 埋め込まれたバグ数を S, 埋め込まれたバグのうち発見されたバグ数を m, 埋め込まれたバグを含まないテスト開始前の潜在バグ数を T,発見された総バグ数を n としたとき,S,T, m, n の関係を表す式はどれか。
mS=nmT\frac{m}{S} = \frac{n-m}{T}(正解)
mS=Tnm\frac{m}{S} = \frac{T}{n-m}
mS=nT\frac{m}{S} = \frac{n}{T}
mS=Tn\frac{m}{S} = \frac{T}{n}

解説

バグ埋込み法(バグ注入法)は、ソフトウェアのテストにおける品質評価技法の一つです。この方法では、既知のバグ(埋め込まれたバグ)をテスト対象に意図的に埋め込み、そのバグをテスターがどれだけ発見できるかを観察します。これにより、テストの検出能力を推定し、ソフトウェア中の未発見の潜在バグ数を推定することが可能になります。

用語の整理

  • SS:意図的に埋め込んだバグの数
  • mm:埋め込んだバグのうち、実際に発見されたバグの数
  • TT:埋め込み開始前に存在していた潜在的な未発見バグの数(未知のバグ)
  • nn:テストによって発見された総バグ数(埋め込みバグと元の潜在バグの両方を含む)

問題の本質

バグ埋込み法の基本的な考え方は、発見された埋め込みバグの割合と発見された元々のバグの割合は同じであると仮定することです。つまり、
  • 「埋め込んだバグのうち発見されたバグの割合」=mS= \frac{m}{S}
  • 「元々あった潜在バグのうち発見されたバグの割合」=発見された元のバグ数元の潜在バグの総数=nmT= \frac{\text{発見された元のバグ数}}{\text{元の潜在バグの総数}} = \frac{n - m}{T}
ここで、nmn - m は発見された総バグ数 nn から埋め込みバグの発見数 mm を引いた、元のソフトウェアに存在した潜在バグの中で発見された数です。

したがって、次の関係式が成り立ちます。

mS=nmT\frac{m}{S} = \frac{n - m}{T}
この関係から、元々の潜在バグ数 TT を推定することができ、
T=S×nmmT = S \times \frac{n - m}{m}
となります。

まとめ

  • バグ埋込み法は、発見率の高低を比較することで潜在バグ数を推定する技術です。
  • 発見率が同じと仮定して、( \frac{m}{S} = \frac{n-m}{T} )となります。
  • 与えられた選択肢の中でこれを表しているのは「ア」です。

これにより、選択肢「ア」が正解となる理由が理解できると思います。バグ埋込み法は実際のテスト現場でも品質評価の根拠として用いられている大切な技法ですので、ぜひ覚えておいてください。
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