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情報処理安全確保支援士試験 2011年 秋期 午前2 問24
情報システムの設計において, フェールソフトが講じられているのはどれか。
ア:UPS 装置を設置することで,停電時に手順どおりにシステムを停止できるようにし, データを保全する。
イ:制御プログラムの障害時に, システムの暴走を避け、安全に運転を停止できるようにする。
ウ:ハードウェアの障害時に,パフォーマンスは低下するが, 構成を縮小して運転を続けられるようにする。(正解)
エ:利用者の誤操作や誤入力を未然に防ぐことで,システムの誤動作を防止できるようにする。
解説
情報システムの設計において「フェールソフト(fail-soft)」とは、システムの一部に障害が発生した場合でも、完全に停止するのではなく、性能や機能が低下しても可能な範囲でシステムの稼働を継続できる仕組みを指します。これに対して、「フェールセーフ(fail-safe)」は、障害発生時に安全に停止することを重視した設計です。
選択肢の解説
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ア: UPS装置によって停電時に手順通り停止する
これは「安全な停止」を目的とする設計で、フェールソフトではなくフェールセーフに近い考え方です。UPSは停電に備えたバックアップ電源であり、システムの継続稼働を保証するものではありません。 -
イ: 制御プログラム障害時に安全に運転停止する
こちらもフェールセーフの考え方です。障害時に暴走を防ぎ、安全に停止させることが目的となっています。 -
ウ: ハードウェア障害時にパフォーマンスは低下するが縮小して運転を継続する
これはフェールソフトの典型的な例です。故障があってもサービスを完全に止めず、利用可能な機能・リソースだけで動作を続けることで、システム全体のサービス停止を回避します。 -
エ: 利用者の誤操作を未然に防ぐ
これは障害予防や入力検証によるヒューマンエラー対策であり、フェールソフトの概念とは異なります。
フェールソフトの重要性
システムに障害が起きた場合、全停止(フェールセーフ)も一つの方法ですが、サービス停止が許されない場面では部分的に機能を維持するフェールソフトの設計が必須です。たとえばサーバーの一部が故障しても、他の部分で処理を続けサービスを提供し続けることで、ユーザーへの影響を最小限に抑えられます。
まとめ
フェールソフトとは
- 障害発生時も、縮小や機能限定でシステムを動かし続けること
- パフォーマンス低下は許容するがサービス停止は避ける
- 正解は「ウ」です。
この考え方は、システム設計においてサービスの継続性を重視する場合に非常に重要なポイントとなります。