情報処理安全確保支援士試験 2011年 春期 午前219


TCPのフロー制御に関する記述のうち,適切なものはどれか。
OSI基本参照モデルのネットワーク層の機能である。
ウィンドウ制御はビット単位で行う。
確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う。(正解)
データの順序番号をもたないので,データは受信した順番のままで処理する。

解説

TCPのフロー制御に関する記述【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:TCPのフロー制御は確認応答(ACK)を基に再送処理を行い、データの信頼性を確保します。
  • 根拠:TCPは信頼性の高い通信を実現するため、受信確認がない場合に再送を行う仕組みを持っています。
  • 差がつくポイント:フロー制御はネットワーク層ではなくトランスポート層の機能であり、ウィンドウ制御はビット単位ではなくバイト単位で行われる点を押さえましょう。

正解の理由

選択肢ウ「確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う。」が正解です。
TCPは信頼性のある通信を保証するため、送信したデータに対して受信側から確認応答(ACK)を受け取ります。もしACKが一定時間内に返ってこなければ、送信側はそのデータを再送し、通信の信頼性を維持します。これがTCPの基本的なフロー制御と誤り制御の仕組みです。

よくある誤解

TCPのフロー制御はネットワーク層の機能と誤解されがちですが、実際はトランスポート層の機能です。
また、ウィンドウ制御はビット単位ではなくバイト単位で行われるため、細かい単位の誤解に注意が必要です。

解法ステップ

  1. TCPの役割と階層を確認し、フロー制御がどの層の機能かを理解する。
  2. フロー制御の基本的な動作、特に確認応答(ACK)と再送処理の関係を把握する。
  3. 選択肢の内容をTCPの仕様と照らし合わせて正誤を判断する。
  4. ビット単位かバイト単位か、データの順序管理の有無など細かい点も確認する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: OSI基本参照モデルのネットワーク層の機能である。
    → TCPのフロー制御はトランスポート層の機能であり、ネットワーク層の機能ではありません。
  • イ: ウィンドウ制御はビット単位で行う。
    → TCPのウィンドウ制御はバイト単位で行われ、ビット単位ではありません。
  • ウ: 確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う。
    → 正しい。TCPはACKを受け取れない場合に再送処理を行い信頼性を確保します。
  • エ: データの順序番号をもたないので,データは受信した順番のままで処理する。
    → TCPはシーケンス番号を持ち、受信順序に関係なく正しい順序でデータを再構成します。

補足コラム

TCPのフロー制御は、受信側のバッファ容量を考慮して送信側の送信速度を調整する仕組みも含みます。これにより、受信側が処理しきれないほどのデータが一度に送られることを防ぎ、通信の安定性を保っています。また、再送制御はタイムアウトや重複ACKの検出によってトリガーされ、効率的なデータ伝送を実現しています。

FAQ

Q: TCPのウィンドウ制御はなぜバイト単位で行うのですか?
A: TCPはデータの信頼性を確保するため、送信データをバイト単位で管理し、正確なデータ量を制御する必要があるためです。
Q: 確認応答がない場合、TCPはどのように再送を判断しますか?
A: 一定時間内にACKが返ってこない場合や重複ACKが複数回届いた場合に再送処理を行います。

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