情報処理安全確保支援士試験 2012年 秋期 午前222


オブジェクト指向における情報隠蔽に関する記述として,適切なものはどれか。
オブジェクトの特性(属性,関連,操作)をまとめて抽象化する。
オブジェクトは,メッセージによってだけアクセス可能となる。(正解)
親クラスに定義されたメソッドを,実行時に子クラスに引き継ぐ。
同一メッセージでも,実行時の受信クラスに基づいて適用されるメソッドが決まる。

解説

オブジェクト指向における情報隠蔽に関する記述【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:情報隠蔽とは、オブジェクトの内部状態や実装を外部から隠し、メッセージ(メソッド呼び出し)によってのみアクセスを許可することです。
  • 根拠:これにより、オブジェクトの内部構造を変更しても外部に影響を与えず、保守性や再利用性が向上します。
  • 差がつくポイント:情報隠蔽は「アクセス制御」と「メッセージによる操作」の理解が重要であり、抽象化や継承、ポリモーフィズムと混同しないことが鍵です。

正解の理由

選択肢イ「オブジェクトは、メッセージによってだけアクセス可能となる。」が正解です。
情報隠蔽はオブジェクトの内部データや処理を外部から直接操作できないようにし、メッセージ(メソッド呼び出し)を介してのみアクセスを許可する設計思想です。これにより、内部実装の変更が外部に影響を及ぼさず、堅牢なシステム構築が可能になります。

よくある誤解

情報隠蔽は「抽象化」や「継承」と混同されやすいですが、抽象化はオブジェクトの共通点をまとめることであり、継承は親クラスの機能を引き継ぐ仕組みです。情報隠蔽はアクセス制御に関する概念です。

解法ステップ

  1. 問題文の「情報隠蔽」の意味を正確に理解する。
  2. 各選択肢の内容が情報隠蔽の定義に合致しているか確認する。
  3. 抽象化、継承、ポリモーフィズムの説明と混同していないか注意する。
  4. 「メッセージによるアクセス制御」という表現が情報隠蔽の本質であることを見極める。
  5. 最も適切な選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: オブジェクトの特性をまとめて抽象化するのは「抽象化」の説明であり、情報隠蔽とは異なります。
  • イ: 正解。情報隠蔽はメッセージ(メソッド呼び出し)によるアクセス制御を指します。
  • ウ: 親クラスのメソッドを子クラスに引き継ぐのは「継承」の説明であり、情報隠蔽とは関係ありません。
  • エ: 同一メッセージに対して実行時に受信クラスに基づくメソッドが決まるのは「ポリモーフィズム(多態性)」の説明であり、情報隠蔽ではありません。

補足コラム

情報隠蔽はオブジェクト指向の三大特徴の一つであり、他の二つは「継承」と「ポリモーフィズム」です。情報隠蔽により、オブジェクトの内部実装を隠し、外部からの不正なアクセスや依存を防ぎます。これにより、ソフトウェアの保守性や拡張性が大幅に向上します。

FAQ

Q: 情報隠蔽と抽象化は同じですか?
A: いいえ。抽象化は共通の特徴をまとめることであり、情報隠蔽は内部実装を隠すことです。両者は関連しますが異なる概念です。
Q: メッセージとは何ですか?
A: オブジェクトに対する操作要求のことで、通常はメソッド呼び出しを指します。情報隠蔽では、このメッセージを通じてのみオブジェクトにアクセスします。

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