情報処理安全確保支援士試験 2015年 秋期 午前223


特許権に関する記述のうち,適切なものはどれか。
A社が特許を出願するよりも前にB社が独自に開発して日本国内で発売した製品は,A社の特許権の侵害にならない。(正解)
組込み機器におけるハードウェアは特許権で保護されるが,ソフトウェアは保護されない。
審査を受けて特許権を取得した後に,特許権が無効となることはない。
先行特許と同一の技術であっても,独自に開発した技術であれば特許権の侵害にならない。

解説

特許権に関する記述のうち,適切なものはどれか。【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:アの「先に発売された製品は後の特許権侵害にならない」が正しいです。
  • 根拠:特許権は出願日以降の権利であり、先に公知・発売された技術は特許権の対象外となります。
  • 差がつくポイント:特許権の効力範囲と先使用権の理解、ソフトウェア特許の保護範囲、特許権の無効制度の存在を押さえましょう。

正解の理由

アは、B社がA社の特許出願前に独自に開発し日本国内で製品を発売しているため、B社の行為は「先使用権」として特許権侵害になりません。特許権は出願日以降の権利であり、先に公知・使用されていた技術は保護対象外です。したがって、アが適切な記述です。

よくある誤解

特許権は取得後は絶対に無効にならないと思い込む人が多いですが、無効審判や訴訟で取り消されることがあります。ソフトウェアは特許で保護される場合もあるため、単純に「保護されない」と誤解しやすいです。

解法ステップ

  1. 特許権の効力発生日を確認する(出願日以降)。
  2. 先使用権の概念を理解し、出願前の使用は侵害にならないことを確認。
  3. ソフトウェア特許の保護範囲を把握し、「保護されない」は誤りと判断。
  4. 特許権の無効制度があることを知り、「無効にならない」は誤りと判断。
  5. 先行技術の独自開発でも特許権侵害になる場合があることを理解。

選択肢別の誤答解説

  • : 正解。先に日本国内で発売された製品は先使用権により特許権侵害にならない。
  • イ: 誤り。ソフトウェアも特許の対象となる場合があり、保護されないとは限らない。
  • ウ: 誤り。特許権は無効審判や訴訟で無効になる可能性がある。
  • エ: 誤り。先行特許と同一技術であれば、独自開発でも特許権侵害となる場合がある。

補足コラム

特許権は「新規性」「進歩性」「産業上の利用可能性」が要件です。先に公知の技術は新規性を欠くため特許になりません。先使用権は、特許出願前に日本国内でその技術を使用していた者が、引き続きその技術を使用できる権利です。ソフトウェア特許はアルゴリズムそのものは保護されませんが、具体的な技術的手法や装置としての実施形態は特許対象となります。

FAQ

Q: 先使用権はどのような場合に認められますか?
A: 特許出願前に日本国内でその技術を独自に使用していた場合に認められ、特許権侵害の免責となります。
Q: ソフトウェアは特許で保護されますか?
A: ソフトウェア自体のアイデアは保護されませんが、技術的手法や装置としての実施形態は特許の対象となります。
Q: 特許権は取得後に無効になることがありますか?
A: はい。無効審判や裁判で特許権が取り消されることがあります。

関連キーワード: 特許権, 先使用権, 無効審判, ソフトウェア特許, 新規性, 進歩性
← 前の問題へ次の問題へ →

©︎2025 情報処理技術者試験対策アプリ