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情報処理安全確保支援士試験 2016年 秋期 午前2 問20
TCPに関する記述のうち、適切なものはどれか。
ア:OSI基本参照モデルのネットワーク層の機能である。
イ:ウィンドウ制御の単位はバイトではなくビットである。
ウ:確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う。(正解)
エ:データの順序番号をもたないのでデータは受信した順番のままで処理する。
解説
TCP(Transmission Control Protocol)は、インターネット通信において信頼性の高いデータ転送を実現するために使われるプロトコルです。問題文の選択肢を踏まえ、TCPの主な特徴と正しい理解について解説します。
選択肢の解説
ア: 「OSI基本参照モデルのネットワーク層の機能である。」
TCPはOSI基本参照モデルでいうところのトランスポート層(第4層)に位置します。ネットワーク層(第3層)にはIPプロトコルなどがあり、経路選択やパケット転送の機能を提供します。TCPは信頼性のある通信を提供し、エンドツーエンドでデータの正確なやり取りを保証する役割ですから、これは誤りです。
イ: 「ウィンドウ制御の単位はバイトではなくビットである。」
TCPのウィンドウ制御は「バイト単位」で行われます。これは、送信側が受信側に対して「まだこれだけのバイト数まで受け入れ可能です」という情報をウィンドウサイズとして伝えます。ビット単位ではありませんので、不適切です。
ウ: 「確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う。」
TCPは信頼性向上のために確認応答(ACK)を受信し、確認が取れない場合には再送処理を行います。この仕組みを「正確なデータ到達保証」といい、パケットの損失やエラーを検出してデータの再送を行います。問題文の中でこの選択肢が正しいです。
エ: 「データの順序番号をもたないのでデータは受信した順番のままで処理する。」
TCPはデータに順序番号(シーケンス番号)を付けて送信し、受信側で正しい順番に並べ替えます。これにより、ネットワークでパケットが順序入れ替わっても正しいデータの順序を保てます。したがって、順序番号を持たないというこの記述は誤りです。
TCPの基本機能まとめ
- 信頼性の確保:送ったデータが正しく届いたかを確認応答(ACK)で確認し、届かなければ再送。
- 順序制御:送信データにシーケンス番号を付けて、受信側で正しい順番に並び替え。
- フロー制御(ウィンドウ制御):受信側の処理能力に合わせて送信量を調整。単位はバイト。
- コネクション型通信:通信開始時に接続確立(3ウェイハンドシェイク)を行い、終了時に切断処理。
まとめ
今回の問題で正しいのは、「確認応答がない場合は再送処理によってデータ回復を行う」という選択肢(ウ)です。TCPの信頼性を支える重要な機能を示しており、理解しておくべき基本的なポイントです。