情報処理安全確保支援士試験 2022年 秋期 午前225


被監査企業がSaaSをサービス利用契約して業務を実施している場合、被監査企業のシステム監査人がSaaSの利用者環境からSaaSへのアクセスコントロールを評価できる対象のIDはどれか。
DBMSの管理者ID
アプリケーションの利用者ID(正解)
サーバのOSの利用者ID
ストレージデバイスの管理者ID

解説

SaaS利用環境におけるアクセスコントロール評価対象ID【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:SaaS利用者環境から評価できるアクセスコントロール対象は「アプリケーションの利用者ID」です。
  • 根拠:SaaSはサービス提供者がインフラやOSを管理し、利用者はアプリケーション層のIDでアクセス制御を行うためです。
  • 差がつくポイント:監査対象のIDがどの層に属するかを理解し、SaaSの責任分界点を正確に把握することが重要です。

正解の理由

SaaS(Software as a Service)はクラウドサービスの一形態であり、利用者はインフラやOSの管理権限を持ちません。したがって、監査人が評価可能なアクセスコントロールは、利用者が直接操作・管理できるアプリケーションの利用者IDに限定されます。DBMS管理者IDやサーバOS利用者ID、ストレージ管理者IDはサービス提供者側の管理範囲であり、被監査企業の監査人が直接評価できません。よって「イ: アプリケーションの利用者ID」が正解です。

よくある誤解

SaaS利用時にサーバやDBMSの管理者IDも利用者側で管理できると誤解しがちですが、これらはサービス提供者側の管理範囲です。利用者はアプリケーションIDのみが評価対象となります。

解法ステップ

  1. SaaSのサービスモデルを理解し、管理責任の範囲を確認する。
  2. 被監査企業が管理できるIDの種類を特定する。
  3. 利用者環境からアクセスコントロール評価可能なIDを絞り込む。
  4. 選択肢のIDがどの層に属するかを判別し、利用者管理のIDを選択する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: DBMSの管理者ID
    → DBMSはSaaS提供者側で管理されるため、利用者環境からの評価対象外です。
  • イ: アプリケーションの利用者ID
    → 利用者が直接操作しアクセス制御を受けるIDであり、監査評価対象として正しいです。
  • ウ: サーバのOSの利用者ID
    → OSはSaaS提供者が管理するため、利用者側で評価できません。
  • エ: ストレージデバイスの管理者ID
    → ストレージ管理もサービス提供者側の責任範囲であり、利用者環境からは評価不可です。

補足コラム

SaaSの責任分界点(責任共有モデル)は、利用者が管理するのはアプリケーションの利用者IDやデータのみであり、インフラやプラットフォームの管理はサービス提供者が担います。監査時にはこの分界点を正確に理解し、評価範囲を明確にすることが重要です。

FAQ

Q: SaaS利用時にサーバOSの利用者IDを監査できない理由は?
A: サーバOSはサービス提供者が管理しており、利用者はアクセス権限を持たないため監査対象外です。
Q: PaaSやIaaSの場合はどう違う?
A: PaaSやIaaSでは利用者がOSやミドルウェアを管理する場合があり、監査対象IDの範囲が広がることがあります。

関連キーワード: SaaS, アクセスコントロール, ID管理, クラウドサービス, システム監査
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