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情報処理安全確保支援士試験 2023年 春期 午前2 問23
プログラムの著作権管理上, 不適切な行為はどれか。
ア:公開されているプロトコルに基づいて,他社が販売しているソフトウェアと同等の機能をもつソフトウェアを独自に開発して販売した。
イ:使用,複製及び改変する権利を付与するというソースコード使用許諾契約を締結した上で,許諾対象のソフトウェアを改変して製品に組み込み,当該許諾契約の範囲内で製品を販売した。
ウ:ソフトウェアハウスと使用許諾契約を締結し,契約上は複製権の許諾は受けていないが,使用許諾を受けたソフトウェアにはプロテクトが掛けられていたので,そのプロテクトを外し,バックアップのために複製した。(正解)
エ:他人のソフトウェアを正当な手段で入手し,試験又は研究のために逆コンパイルを行った。
解説
プログラムの著作権管理に関する問題では、著作権者の権利を正しく理解し、契約や法律に違反しない範囲でソフトウェアを利用することが重要です。各選択肢の適不適を確認しながら解説します。
【問題のポイント】
プログラムの著作権は、ソースコードの複製(コピー)、改変、配布などを制限する権利を持っています。これらの行為を行うには著作権者の許諾が必要です。契約で許可された範囲外の複製や改変は著作権侵害となります。
選択肢の解説
ア:公開プロトコルに基づく独自開発
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解説
公開されているプロトコル(通信の手順やルール)を独自に実装して他社と同等の機能をもつソフトを開発、販売すること自体は認められています。
プロトコル自体はアイデアや方法論であり、著作権で保護されるのは「コードの表現」であるため、同様の機能を独自に開発すれば問題ありません。 -
結論
適切な行為です。
イ:使用許諾契約の範囲内で改変・販売
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解説
ソースコード使用許諾契約により、使用・複製・改変権を契約で付与された場合、その範囲内で改変や製品組み込み販売を行うことは許されます。 -
結論
契約に準じた適切な行為です。
ウ:複製権の許諾なしにプロテクトを外して複製
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解説
使用許諾契約で複製が許されていない場合は、たとえバックアップ目的でも複製は著作権侵害です。
さらに、ソフトウェアにかけられたプロテクト(コピーガード)を外すための回避措置は、不正競争防止法や著作権法に抵触する可能性が高いです。
「プロテクトを外す行為」自体が不適切であり、複製権の許諾がないのに複製すると著作権侵害になります。 -
結論
不適切な行為であり、著作権管理上違反です。
エ:正当な入手後の試験・研究目的の逆コンパイル
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解説
著作権法ではソフトウェアの動作試験や相互運用性確保のために正当な条件のもと逆コンパイルを認めるケースがあります。
正当な入手後、契約などに制限がなければ試験・研究目的の逆コンパイルは違反ではありません。 -
結論
適切な行為です。
【まとめ】
著作権管理で特に注意すべきポイント
- 複製権は著作権者が唯一持つ権利。無断で複製が禁止されているなら許諾なしにコピー不可。
- **プロテクト(コピー防止技術)**を解除する行為は違法になることが多い。
- **契約の範囲を超えた利用は違法行為。**必ず契約内容を確認してください。
- 逆コンパイルは試験や研究、相互運用性確保のために限定的に認められている場合があります。
このように、著作権管理上の「不適切な行為」は契約の範囲や著作権法、関連法規に照らして厳しく判断されます。ソフトウェアを取り扱う際は必ず契約や法律を確認し、正しい手続きを踏まえることが大切です。今回の問題の正解は ウ である理由も納得いただけたかと思います。