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情報処理安全確保支援士試験 2024年 秋期 午前2 問05
PQC(Post-Quantum Cryptography)はどれか。
ア:量子アニーリングマシンを用いて回路サイズ、消費電力、処理速度を飛躍的に向上させた実装性能をもつ暗号方式
イ:量子コンピュータを用いて効率的に素因数分解を行うアルゴリズムによって暗号を解読する技術
ウ:量子コンピュータを用いても解読が困難であり安全性を保つことができる暗号方式(正解)
エ:量子通信路を用いた鍵配送システムを利用し大容量のデータを高速に送受信する技術
解説
PQC(Post-Quantum Cryptography、ポスト量子暗号)についてわかりやすく解説します。
ポスト量子暗号(PQC)とは何か?
現在私たちが使っている多くの暗号方式(例えばRSAや楕円曲線暗号)は、数学的に計算が難しい問題に基づいています。特にRSAは「大きな整数の素因数分解」が難しいという性質に依っています。
しかし、量子コンピュータの一部のアルゴリズム(代表的なものにショアのアルゴリズム)があれば、これらの難しい問題を非常に効率よく解いてしまうため、今の暗号方式は将来的に破られてしまう危険があります。
これに対応するために研究されているのが ポスト量子暗号(PQC) です。
PQCのポイント
- 量子コンピュータが登場しても破られにくい暗号方式を指します
- 主に量子コンピュータに対して安全な数学的問題(格子問題、多変数多項式問題など)を基盤にしています
- 既存の公開鍵暗号と同様に、古典コンピュータで実装可能であり、量子コンピュータがなくても安全性を確保できます
問題の選択肢と解説
まとめ
- PQCは「量子コンピュータ登場後も安全な暗号方式」のことであり、攻撃技術やハードウェアの性能向上手法ではありません。
- PQCは量子コンピュータに強い新しい数学的難問を利用しているので、将来の情報セキュリティにとって重要な技術です。
もし暗号方式を数学的に理解するときは、以下のような問題が鍵になります:
このような性質を持つ暗号を作ることがPQСの目的です。