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システムアーキテクト試験 2009年 午後1 問03
:システム開発のテスト計画に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
E社は、リース業向けのソフトウェアパッケージ(以下、パッケージという)を自社で開発し、販売している。このたび、F社向けにカスタマイズ開発を行うことになった。現在、システム結合テストを実施中であり、並行してシステム適格性確認テストの計画を作成している。
〔パッケージの機能〕
E社が開発したパッケージの機能は、次のとおりである。
(1)契約機能
リース物件について、契約先への見積書の作成、契約の作成、仕入先への発注書の作成を行う。リース期間は、4年又は5年とする。
(2)料金回収機能
契約先あての請求書を、月次処理で作成する。銀行からの入金データを受け取り、請求データとの照合を行う。
(3)再リース機能
翌々月にリース期間満了となる契約について、契約先への満了通知兼再リース契約申請者を、月次処理で作成する。契約先から再リース契約の申請があれば、契約情報を入力し、再リース契約書を作成する。
(4)会計システム連携機能
会計システムに渡す経理仕訳データを、月次処理で作成する。
(5)取引先管理機能
契約先及び仕入先の風性項目の登録・変更を行う。
(6)その他の機能
解約、物件処分、営業統計。年次集計などの処理を行う。
〔カスタマイズの内容〕
E社では、パッケージの仕様とF社業務とのフィットギャップ分析の結果を基に、パッケージのカスタマイズを行った。カスタマイズの内容は、次のとおりである。
(1)契約情報の展性項目の追加
(2)見積、契約などの出力帳票の式の変更、及び一部帳票への項目の追加
(3)経理仕訳データの勘定科目及びフォーマットの変更
〔サイクルテストの計画〕
E社では、システム適格性確認テストとして、カスタマイスを行わなかった機能を含めたシステム全体の機能について、日々の業務が確実に遂行できることを確認するサイクルテスト、性能及び耐障害性を確認する性能・障害テストなどを行う。
カスタマイズ開発のプロジェクトマネージャであるG氏は、サイクルテストの責任者としてH氏を任命し、サイクルテストの計画を作成するよう命じた。
H氏は、サイクルテストの計画を作成するのは初めてであり、過去の事例を参考にしながらテスト計画書、運営要領及び進捗管理表を作成した。サイクルテストの計画の作成に当たっては、次の点を考慮した。
(1)H氏は、サイクルテストの責任者として、テストケースやテストスケジュールの承認を行い、テスト期間中は、当日のテストの開始、終了などの判断を行う。また、H氏を補佐する管理チームを設置し、管理チームで進捗管理や課題管理を行う。
(2)テストの体制は、管理チームのほか、契約、料金回収などのパッケージの機能ごとに六つの機能検証チーム、テストのオペレーションを実行する実行チーム、テスト環境を維持・管理する環境チームの編成とする。各機能検証チームは、テストケースの作成、テスト結果の検証と発生した障害への対応を行う。
(3)管理チームは、毎日、テスト開始前に行う朝会と、テスト終了後に行う夕会を主催する。朝会、夕会には、各チームのリーダとサプリーダが出席し、管理チームは、各チームからテストの状況や障害対応の状況の報告を受け、また、各チームヘテストに関する指示を伝える。
(4)各チームのリーダ及びサプリーダは、朝会、夕会での指示を、自チームのメンバ全員に周知させるとともに、自チームメンバが担当するタスクの状況を把握する。また、自チーム内で発生した障害について、障害管理票を用いて管理し、障害の対応状況については障害の対応担当者から報告を受け、その内容を把握する。
H氏が作成したテスト計画書の概要の抜粋を表1に、運営要領書の概要の抜粋を表2に、進捗管理表を表3に示す。



〔テストデータ作成の方式の検討)
H氏は、サイクルテストで使用するテストデータのうち、取引先データ及び契約データの作成の方式について、次の二つの方式の比較検討を行った。
方式1:F社が現在の業務で使用している取引先データ及び契約データを、一部の項目のマスク処理や形式の変換など、必要な措置を行って使用する。
方式2:契約データは、テストの中で、新システムの契約機能の新規登録操作によって登録していく。その契約データを登録するために必要な取引先データは、テストケースに合わせて、ツールを用いて、あらかじめ作成しておく。
二つの方式の比較検討結果の抜粋を、表4に示す。

H氏は、これらを検討した結果、方式2を採用することを決定した。
〔サイクルテスト計画のレビュー〕
テストデータ作成の方式が決定され、テスト計画が完成されたのを受けて、G氏がサイクルテスト計画のレビューを実施し、次の問題点を指摘した。
(1)今回決定した方式でテストデータを作成すると、システム全体の機能を確認する上で、システム日付の設定に問題がある。
(2)サイクルテストを円滑に運営する上で、障害発生時の対応に問題がある。
設問1(1):〔サイクルテストの計画〕について、(1),(2)に答えよ。
表1中の(a)、表2中の(b)に入れる適切な確認事項を、それぞれ25字以内で述べよ。
模範解答
a:パッケージの仕様どおりに動作すること
b:対応期限が到来している障害が解決していること
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
解答がそうなる理由の論理的説明
aの解答:「パッケージの仕様どおりに動作すること」
問題文の表1「テストの実施と検証の内容」には次のように記載されています。
「カスタマイズを行っていない機能については a を含めて確認する。」
ここでカスタマイズしていない機能についても検証が必要とされており、仕様通りの動作確認を実施することが明確です。
また、テストの目的としては、
「カスタマイズを行っていない機能を含め、システム全体の機能について、業務が確実に遂行できることを確認する。」
とあり、「仕様通りに動作すること」はテストの大前提であることが読み取れます。
したがって、aには「パッケージの仕様どおりに動作すること」という表現が適切です。
bの解答:「対応期限が到来している障害が解決していること」
表2「朝会の開催」には、
「H氏は各チームが管理している障害管理票の内容の報告によって、bを確認し、当日のテストが開始できる状態になっているかどうかを判断する。」
さらに「障害発生時の対応と管理」には、
「障害管理票には対応の要否、対応の内容、予定工数、優先度、<c>、<d> を追記する。」
と障害管理が厳格に行われている様子が分かります。
テスト開始前に「対応期限が到来している障害が解決しているか」を確認しなければ、未解決の障害によりテストの信頼性や進行に支障が出るため、朝会での重要な判断材料になることは明白です。
よってbには「対応期限が到来している障害が解決していること」が入ります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの理由
-
aの設問で「仕様どおりに動作すること」を確認する対象がカスタマイズしなかった機能も含むことを見落とす
→「カスタマイズしていない機能も含めて確認する」という記述を正確に理解していないと、変更部分のみ検証すれば良いと誤解しやすい。 -
bの設問で単に「障害がないこと」や「障害の状況の報告」で満足する誤り
→「対応期限が到来している障害の解決が必須」という具体的な条件を確認することがポイント。単に障害が存在するとか報告されているだけでは不十分。
試験対策として覚えておくべきポイント
-
システム適格性確認テスト(サイクルテスト)の目的は、カスタマイズ部分だけでなくパッケージ全体の仕様どおりの動作確認も含むこと。
→「カスタマイズしなかった機能も含めて」検証対象だと理解する。 -
テスト運営において、テスト開始前は「対応期限の迫った障害が適切に解決しているか」を必ず確認する。
→未解決障害があるとテスト進行に支障をきたすため、この確認は必須。 -
障害管理票には詳細な情報を記入し、関係者全員で管理・共有することが品質管理上重要。
-
テストの朝会・夕会は、進捗管理や課題管理、障害対応の指示伝達の重要な場であることを認識する。
これらは午後1試験の「ソフトウェアテスト計画・運用」の典型的な論点であり、確実に押さえておきましょう。
設問1(2):〔サイクルテストの計画〕について、(1),(2)に答えよ。
障害理票には、表2に従ってテストを進めていくために必要不可欠な項目がある。表2中の(c),(d)に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
c:対応期限
d:対応担当者
解説
模範解答の核心キーワード・論点
- c:対応期限
- d:対応担当者
この2つは障害管理票に記載することで、障害対応のスケジュール管理と責任者の明確化を図り、効率的かつ確実な障害解決を促進するために不可欠な項目です。
解答になる理由の論理的説明
【問題文】表2「障害発生時の対応と管理」の記述抜粋を再掲します。
「障害管理票には、障害が発生した時点で、発生日時、発見者、障害の状況、影響範囲を記入する。
その後、原因、対応の要否、対応の内容、予定工数、優先度、c、d を追記する。
対応が終了した時点で…」
この説明から、障害対応における管理票の必要記載事項として、「予定工数」「優先度」に続く情報が重要であることがわかります。
障害対応で確実に管理すべき事項は以下です:
障害対応で確実に管理すべき事項は以下です:
-
対応期限(c)
障害対応の期限を明確にすることで、いつまでに障害を解決すべきかの目標を設定し、プロジェクトの遅延を防ぎます。 -
対応担当者(d)
実際に障害対応を担当する責任者を明示することで、対応の漏れや責任の曖昧さを防ぎます。
上記2つは障害管理の基本であり、【問題文】の後段「障害が発生したテストケースは、障害が解決するまで確認完了とはしない」という記述とセットで考えると、障害対応の進捗と完了を効果的に管理するために不可欠です。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ選択肢
-
「障害内容」や「障害の状態」などの項目との混同
障害内容や状態は発生時や進捗管理で扱う項目ですが、さらに「対応期限」「対応担当者」を管理票に必ず掲げなければ障害対応の指示や管理が機能しません。
これらは問題文で「予定工数、優先度」に続いて、障害対応の管理のため不可欠と明言されています。 -
対応期限と優先度の混同
「優先度」は障害の重要度や緊急度を示す指標で、「対応期限」は具体的な対応終了予定日です。問題文では両方別々に記載されているため、両者は異なる管理項目です。 -
役割の混同
時として「対応者」ではなく「報告者」や「発見者」など他の関係者と混同しやすいですが、ここで求められているのは「対応担当者」、実際に障害対応を行うチームメンバーを指します。
試験対策として覚えておくべきポイント
- 障害管理票に記載すべき基本項目は、「発生日時」「発見者」「障害状況」「影響範囲」「原因」「対応要否」「対応内容」「予定工数」「優先度」「対応期限」「対応担当者」などがある。
- 特に、「対応期限」と「対応担当者」は障害の対応管理で絶対に欠かせない情報。
- 障害管理票は単なる記録ではなく、進捗管理や対応漏れ防止の手段。必須項目をもれなく記入できているかを意識する。
- 問題文の記述に「予定工数」「優先度」と並列されているため、それに準じた管理指標が連続した書き方で求められる。
参照:問題文抜粋(表2の障害発生時の対応と管理)
これらを踏まえ、c:対応期限、d:対応担当者が適切です。
設問2
〔テストデータ作成の方式の検討〕について、表4中の(e)に入れる適切な字句を30字以内で述べよ。
模範解答
e:テストケースを網羅するデータがない可能性がある
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
- テストデータの網羅性の不足
- 「方式1」は現行業務で使用している実データを活用するが、すべてのテストケースをカバーするための多様なデータが不足する可能性がある
- 「方式2」はテストケースに合わせたデータを作成できるため機能確認が十分できると評価されている
なぜ「テストケースを網羅するデータがない可能性がある」が適切な解答なのか
問題文の表4抜粋は以下の通りです。
ここで、方式1は「現行業務の実データ」を利用するとありますが、実データは実際の業務で発生した取引を元にしているため、全てのパターンや条件を網羅しているとは限りません。特に例外的な条件やエラーケース等のテストケースに必要なデータが含まれていない可能性があります。
一方で、方式2は必要なテストケースに対応するため、テスト環境で「契約機能の新規登録操作」を使って意図的にデータを作成するため、網羅性が高くなり、機能確認は十分できると判断できます。
したがって、方式1の機能確認上の問題点として、
「テストケースを網羅するデータがない可能性がある」
が適切な表現となります。
「テストケースを網羅するデータがない可能性がある」
が適切な表現となります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの選択肢
-
「方式1は入力データの準備が容易」との記載から、「方式1で十分テストできる」と誤解しやすい
→ 実データを利用するため入力準備は容易でも、カバーできるテストケースの範囲には限界があることを理解することが重要 -
「機能の確認は十分にできるか」で「X」とあるため「十分できない」が正解だが、その理由を「作業工数の問題」や「手間の問題」と誤解しないこと
-
逆に「方式2は入力データ作成の負荷がある」が理由で「機能確認が不十分」と混同しない
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
- 実業務データをテストに使う場合、網羅性に欠けるのでカバーできないテストケースが存在する可能性がある
- テストデータ作成の方式は「業務効率(準備しやすさ)」と「テスト品質(網羅性・正確性)」のバランスを考慮する
- 機能確認の十分性を評価する際は、網羅性とテストケースの対応が重要な観点
- テスト計画では、テストデータの作成方式、準備負荷、テスト品質向上のポイントを理解した上で検討する必要がある
以上を踏まえて、今回の設問における表4の(e)に入る適切な字句は
テストケースを網羅するデータがない可能性がある
となります。
設問3
〔サイクルテスト計画のレビュー]においてG氏が指摘した二つの問題点について、具体的にどのような問題が発生するかを、それぞれ40字以内で述べよ。
模範解答
システム日付の設定に関する問題点:想定している1年分のシステム日付では再リース機能の確認ができない。
障害発生時の対応:他チームに影響が及ぶ重大な障害の発生時に,即座に情報が連携されない。
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
なぜその解答になるのか(問題文の引用を交えた論理的説明)
1.システム日付の設定に関する問題点
問題文の「サイクルテストの計画書(表1)」には、
「システム日付を年度の初日である4月1日に設定し、1週間は1日ずつ進め、以降は月次処理などのイベントに合わせてシステム日付を設定し翌年度4月に行う年次集計処理まで行う」
とあります。これはシステム日付を1年間でシミュレーションする計画です。
一方、再リース機能は「翌々月にリース期間満了となる契約に対し満了通知兼再リース契約申請書を作成」する機能(〔パッケージの機能〕の(3))で、リース期間は「4年又は5年」((1)契約機能)とされています。つまり再リースの確認には、単なる1年分のシステム日付のシミュレーションでは不十分で、4年または5年にわたる期間を再現する必要があります。
したがって、
- 1年分の期間設定では、再リース機能の「翌々月の満了通知」および契約の継続(最大5年)を含む状態の確認ができず、カスタマイズに関わらず重要な業務シナリオを網羅できません。
これが「想定している1年分のシステム日付では再リース機能の確認ができない」という指摘の根拠です。
2.障害発生時の対応に関する問題点
問題文「表2の運営要領書(障害発生時の対応)」には、
- 機能検証チームが障害管理票で障害を管理し、対応終了後に再テストを行う。
- 障害は発生したテストケースごとに管理され、対応期限も明確に管理されている。
- しかし、複数チームの朝会・夕会での障害情報の共有は行われているものの、具体的に重大な障害が発生した場合に他チームへ「即座に」情報連携をする仕組みが明示されていません。
サイクルテストでは複数チームが機能ごとに分かれています(表記(2)参照)。
重大な障害発生時、対応が遅れると他チームのテスト進行に悪影響が及びます。G氏の指摘は、
- 重大な障害の発生をリアルタイムに関係チームへ通知・連携する体制やルールがなく、遅延や混乱が生じるリスクがある点にある。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの注意点
-
システム日付の設定問題で「1週間の逐次進行が短すぎる」という誤解
→ 問題は進行期間の長さにあるので、1週間単位のテスト進め方自体は問題ではない。年間シミュレーションが必要な理由を整理すること。 -
障害対応では「障害管理票の活用状況のみ確認すれば十分」と考える点
→ 個々のチーム内での管理はできていても、テスト全体に影響を及ぼす重大障害については、即時の横断的連携が欠かせない。 -
カスタマイズ範囲の認識不足
→ システム全体の機能テストを網羅するために、カスタマイズしていない機能の検証も含めて計画する必要がある点に注意。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
システムテストにおけるシステム日付設定の重要性と業務期間の網羅性
- 業務の自然な流れを正確に検証するには、必要な期間をカバーしたシステム日付の設定が必須。特に契約期間や複数年をまたぐ処理は要注意。
-
複数チームで進めるテストにおける障害連携の仕組みの必要性
- 重大障害発生時は、即座に全関係者へ情報共有し、影響範囲の把握と対策を講じることが大切。
-
障害管理票はチーム内の障害管理だけでなく、横断的な情報共有の起点となることも重要。
-
テスト計画のレビューでは網羅性(業務プロセス・期間)と運営管理(障害対応フロー)をチェック。
これらのポイントは午後1試験のシステム開発におけるテスト計画系の問題で頻出の論点です。しっかり整理しておきましょう。
設問4(1):表3について、次の二つの判断を行うことができるのはどのような場合か。判断を行うのに最も必要な数値を表3中のア〜ケの中からそれぞれ二つ選び、判断の根拠となるそれらの大小関係を、15字以内で述べよ。
テストケースの確認が、予定したスケジュールに遅れることなく進んでいることの判断
模範解答
判断を行うのに最も必要な数値:ウ、オ
大小関係:オがウ以上であるとき
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
-
テストケース確認完了件数の「予定」と「実績」の比較による進捗管理
→ 予定通りにテストが進んでいるかを判断するには、計画(予定件数)と現状(実績件数)を比較することが重要。 -
表3「進捗管理表」における「予定累計件数(オ)」と「実績累計件数(ウ)」の関係
→ 「実績累計」が「予定累計」以上 (ウ ≧ オ) であれば、遅れなく進んでいると判断できる。 -
「ウ」「オ」の値は、テストケース確認完了の累積件数を示す。
2. なぜその解答になるのか(論理的説明)
テストの進捗を管理するためには、計画したテストケース数およびその完了状況を日単位で把握する必要があります。これに関連する表の抜粋は以下の通りです。
進捗管理のロジックは以下の通りです:
- 計画(予定)では、第n日で「合計オ件」のテストケース完了を見込んでいる。
- 実績では、第n日までに「合計ウ件」のテストケースが完了している。
- したがって、予定に対して遅れていない(つまりスケジュール通り、もしくは前倒しで進んでいる)とは、「実績累計(ウ)」が「予定累計(オ)」以上であるとき。
これにより、模範解答の判定条件は、
判断を行うのに最も必要な数値:ウ、オ
大小関係:オがウ以上であるとき
は誤植の可能性があるものの、意味としては「ウ ≧ オ」が正しく、すなわち「実績累計(ウ)が予定累計(オ)以上であれば遅れがない」と判断できます。
【問題文】の関連部分は、表2の「進捗管理」項目に書かれています。
「テストの消化状況、障害の解決状況は…進捗管理表にまとめ、全員で共有する。」
「進捗管理表にはあらかじめ、テストケースの総件数と毎日の確認完了予定件数を記入しておく。」
「それぞれのテストケースについて、結果が正しいことが確認できたら確認完了とする。」
この記述により、進捗管理表の予定件数と実績件数比較が進捗判断の根拠です。
3. 受験者が誤りやすいポイント、ひっかけの選択肢の解説
-
「予定累計」と「実績累計」のどちらが上位か判断するか混同する
よくある誤りは「予定値が実績値より大きければ進捗良好」と考えてしまうことですが、実際には「実績値が予定値を超えていれば計画どおり」に進んでいると判断します。 -
「予定」だけを見て判断するミス
単に当日予定の件数だけを見て進捗良否を判断するのは不十分で、累積で見て遅れが発生しているかどうかを判断すべきです。 -
「障害発生件数」や「障害解決件数」と混同する
進捗の判断はテストケースの確認完了件数であり、障害発生や解決件数ではありません。混同しないように注意が必要です。
4. 試験対策として覚えておくべきポイントや知識
-
進捗管理は「累積値」を比較して判断する
テストケース進捗計画では「予定累計」と「実績累計」の大小関係で遅延の有無を把握する。 -
テスト計画・管理における用語の整理
- 「予定」:計画上のスケジュール数値
- 「実績」:実際に終了した数値
- 累計:試験開始日からの合計件数
-
表や管理票(例:進捗管理表、障害管理票)の読み取り能力を高めること
表の各列の意味・役割を正確に理解し、判断基準を明確にする力が求められる。 -
障害管理と進捗管理は別々の管理指標である
それぞれを混同せずに理解すること。
以上を踏まえ、
【問題の解答】にある「判断を行うのに最も必要な数値」は「実績累計(ウ)」と「予定累計(オ)」であり、
「予定累計(オ)」が「実績累計(ウ)」以下(つまり、「ウ ≥ オ」)の場合、テストは計画どおり進んでいると判断します。
【問題の解答】にある「判断を行うのに最も必要な数値」は「実績累計(ウ)」と「予定累計(オ)」であり、
「予定累計(オ)」が「実績累計(ウ)」以下(つまり、「ウ ≥ オ」)の場合、テストは計画どおり進んでいると判断します。
設問4(2):表3について、次の二つの判断を行うことができるのはどのような場合か。判断を行うのに最も必要な数値を表3中のア〜ケの中からそれぞれ二つ選び、判断の根拠となるそれらの大小関係を、15字以内で述べよ。
サイクルテストが完了していることの判断
模範解答
判断を行うのに最も必要な数値:ア、オ
大小関係:アとオが等しいとき
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
- 判断に必要な数値:ア(総テストケース数)、オ(当日までのテストケースのすべてについて正しい結果が得られたことの確認件数)
- テスト完了の条件は、「当日実施予定のすべてのテストケースについて、正しい結果が得られたことを確認できた場合」
- 「ア」と「オ」が等しいことが、サイクルテスト完了の判断基準となる
2. なぜその解答になるのか(問題文の記述を引用しつつ論理的説明)
表1「テスト計画書の概要」から、
テストの完了当日実施予定のすべてのテストケースについて、正しい結果が得られたことが確認できた場合、当日のテストが完了したと判断する。
この記述が最も重要な根拠です。テストの完了は、すべてのテストケースに対して合格した結果(正しい結果の確認)が得られて初めて判断されます。したがって、総テストケース数(ア)と、当日までに確認完了したテストケース件数(オ)が等しいことが合格判断の基準となります。
進捗管理表(表3)では、「総テストケース数 ア件」と明示されており、その中で「テストケース確認完了件数」の「予定累計」「実績累計」が管理されています。ここで「当日までのテストケースのすべて」=「テストケース確認完了累計(オ)」が「総テストケース数(ア)」に一致すれば、すべてのテストケースの検証が完了したことを表します。
つまり、
- 「ア」=「総テストケース数」→テスト対象全体の件数
- 「オ」=「テストケース確認完了の実績累計件数」→合格したテスト件数の累計
両者が同数なら、すべてのテストが合格していることを示し、テスト完了と判断できるのです。
3. 受験者が誤りやすいポイントやひっかけ選択肢について
-
テスト完了の判断に「障害発生件数」や「障害解決件数」と混同しやすい:表3には「障害発生件数」や「障害解決件数」もありますが、テスト完了の判断基準には直接用いません。障害対応中は、そのテストケースは「確認完了とはしない」と明記されているため、障害が残っていれば「確認完了件数」は増えません。
-
単に「予定されたテストケースを実施した件数」と「確認が済んだ件数」の混同テストケースを実施した件数(エ・実績など)と、それが合格し正しい結果が確認できたか(オ)では意味が異なります。完了判断は正しい結果の「確認完了件数」が基準です。
-
「ウ」や「イ」など予定と実績の累計を混合して判断しがち特に当日の判断では「実績累計(オ)」を見て判断します。予定値はあくまで目安であり、完了には「実績累計」が総テストケース数に等しいことが必要です。
4. 試験対策として覚えておくべきポイントや知識
- サイクルテストの完了条件は「すべてのテストケースで正しい結果が得られたことの確認」である
- 進捗管理では「総テストケース数」と「確認完了件数(実績)」を絶対に比較し、両者が一致していることを確認する
- 障害が発生し、解決していないテストケースは「確認完了」として扱わないため、障害件数と解決件数の管理も重要だが完了判断の直接基準ではない
- テスト計画書や運営要領書に書かれた「完了判断の条件」の文言を正確に読み取り、その基準を理解することが合格のカギ
以上を踏まえると、本問においては、表3の「総テストケース数 ア件」と「テストケース確認完了件数 実績累計 オ」が完全に一致したときに「サイクルテストが完了した」と判断するのが正解です。