システムアーキテクト試験 2009年 午前216


システムの機能要件を定義する上で、前提となる要件定義作業はどれか。
対象業務の業務モデルから業務機能を支援するシステム化機能を整理し、その実現のために必要なシステム方式を策定する。
対象業務の具体的な業務上の問題点を分析し、解決方向を明確化するとともに、システムを用いて実現すべき課題を定義する。
利害関係者からのニーズを整理し、新しい業務の在り方や運用をまとめた上で、業務上実現すべき要件を明らかにする。(正解)
利害関係者要件のシステム要求が技術的に実現可能であるかを検証し、システム設計が可能な技術要件に変換する。

解説

システムの機能要件を定義する上で、前提となる要件定義作業はどれか【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:システムの機能要件を定義する前提としては、利害関係者のニーズを整理し業務上実現すべき要件を明確にする作業が必要です。
  • 根拠:機能要件は具体的なシステム設計の基礎となるため、まず業務の目的や利害関係者の要求を正確に把握し整理することが不可欠です。
  • 差がつくポイント:業務モデルや技術的検証は後工程であり、要件定義の初期段階では「ニーズの整理と業務要件の明確化」が最重要である点を理解しましょう。

正解の理由

選択肢ウは「利害関係者からのニーズを整理し、新しい業務の在り方や運用をまとめた上で、業務上実現すべき要件を明らかにする」と述べています。これは要件定義の最初の段階であり、システムの機能要件を決めるための土台となる作業です。利害関係者の要求を整理し、業務の本質的な課題や目標を明確にしなければ、後の設計や開発が的外れになるため、最も重要な前提作業です。

よくある誤解

業務モデルの整理や技術的検証を要件定義の前提と考えがちですが、これらは要件定義の後段階や設計段階の作業です。まずは利害関係者のニーズを正確に把握することが先決です。

解法ステップ

  1. 問題文の「前提となる要件定義作業」に注目する。
  2. 各選択肢の内容を「要件定義の初期段階かどうか」で分類する。
  3. 利害関係者のニーズ整理や業務要件の明確化が初期段階であることを確認。
  4. 業務モデル整理や技術的検証は後工程であるため除外。
  5. 最も初期の要件定義作業を示す選択肢ウを選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 業務モデルからシステム化機能を整理しシステム方式を策定するのは要件定義の後、設計段階に近い作業です。
  • イ: 業務上の問題点分析や解決方向の明確化は企画や業務分析に近く、要件定義の前段階に位置しますが、システム要件の定義としてはまだ具体性が不足しています。
  • ウ: 利害関係者のニーズ整理と業務要件の明確化は要件定義の基本であり、機能要件定義の前提となる作業です。
  • エ: 技術的実現可能性の検証や技術要件への変換は設計段階の作業であり、要件定義の前提とは言えません。

補足コラム

要件定義はシステム開発プロセスの中で最も重要なフェーズの一つで、ここでのミスは後工程での手戻りやコスト増大につながります。利害関係者のニーズを正確に把握し、業務の本質的な要件を明確にすることが成功の鍵です。また、業務モデルの整理や技術検証は要件定義の後に行われることが多い点も押さえておきましょう。

FAQ

Q: 要件定義と業務分析は同じですか?
A: 業務分析は業務の現状や問題点を把握する作業で、要件定義はその分析結果を基にシステムに必要な要件を明確にする作業です。段階が異なります。
Q: 技術的な実現可能性はいつ検証すべきですか?
A: 要件定義の後、設計段階で技術的な実現可能性を検証し、技術要件に落とし込みます。初期段階での検証は限定的です。

関連キーワード: 要件定義, 利害関係者ニーズ, システム機能要件, 業務要件, システム開発プロセス
← 前の問題へ次の問題へ →

©︎2025 情報処理技術者試験対策アプリ