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システムアーキテクト試験 2010年 午前2 問15
情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
エ:全社のデータとその処理過程を分析し、重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に、基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとしてとらえ、適切な識別名を与える。さらに、基本エンティティと関係あるデータを属性とし、全社のデータモデルを作成する。
イ:企業の全体像を把握するために、基本的なエンティティだけを抽出し、それらの相互間のリレーションシップを含めて、鳥瞰図を作成する。次に、エンティティを詳細化し、すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。(正解)
ア:管理層の業務から機能を抽出し、機能をエンティティとする。次に、機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに、全社の帳票類を調査して整理し、正規化された項目に基づいて属性を定義し、全社のデータモデルとする。
ウ:業務層の現状システムを分析し、エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め、これらを基にE-R図を作成し、それを抽象化して、全社のデータモデルを作成する。
解説
情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:全社のデータモデル作成は、基本エンティティの鳥瞰図作成から詳細化まで段階的に進めることが重要です。
- 根拠:企業全体の構造を把握し、エンティティ間の関係を明確にすることで、整合性のある全社データモデルが完成します。
- 差がつくポイント:業務機能や現状システムの分析に偏らず、まず全体像を俯瞰し、段階的に詳細化する手順を理解しているかが問われます。
正解の理由
選択肢イは、まず企業の全体像を把握するために基本的なエンティティを抽出し、それらのリレーションシップを含めた鳥瞰図を作成します。これにより全体の構造を俯瞰でき、その後にエンティティを詳細化し、すべてのリレーションシップを明確にすることで、整合性のある全社のデータモデルを作成します。この段階的なアプローチは、E-Rモデルの全社的な適用において最も適切な手順です。
よくある誤解
業務機能や現行システムの詳細分析から始めると、部分最適に陥りやすく全社的な整合性が取れません。全体像の把握を飛ばすと、後で修正が多発します。
解法ステップ
- 企業全体の基本的なエンティティを抽出し、全体像の鳥瞰図を作成する。
- エンティティ間のリレーションシップを含めて全体構造を把握する。
- 鳥瞰図を基にエンティティを詳細化し、すべてのリレーションシップを明確にする。
- 詳細化したモデルを全社のデータモデルとして確定する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 業務機能をエンティティとするのは誤り。エンティティは「物」や「事象」であり、機能ではありません。
- イ: 正解。全体像の鳥瞰図作成から詳細化まで段階的に進める正しい手順です。
- ウ: 現状システム分析から始めるのは部分最適に陥る恐れがあり、全社的な視点が不足しています。
- エ: 処理過程や業務をエンティティとするのは誤りで、エンティティはデータの対象物に着目します。
補足コラム
E-Rモデルは「Entity(実体)」「Relationship(関係)」「Attribute(属性)」の3要素で構成されます。全社データモデル作成では、まず実体の抽出と関係の把握が重要で、これにより情報の整合性と再利用性が高まります。段階的な詳細化は、モデルの複雑さを管理しやすくするための基本的な設計手法です。
FAQ
Q: なぜ業務機能をエンティティにしないのですか?
A: エンティティは「物」や「事象」を表すため、機能は対象外であり、機能は別のモデルで扱います。
A: エンティティは「物」や「事象」を表すため、機能は対象外であり、機能は別のモデルで扱います。
Q: 鳥瞰図とは何ですか?
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、全体構造の把握に役立ちます。
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、全体構造の把握に役立ちます。
Q: 属性はいつ定義すべきですか?
A: 基本エンティティとリレーションシップが明確になった後、詳細化の段階で属性を定義します。
A: 基本エンティティとリレーションシップが明確になった後、詳細化の段階で属性を定義します。
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