システムアーキテクト試験 2010年 午前218


スーパコンピュータの特徴として適切なものはどれか。
処理装置内の演算器で一度に扱えるビット数を非常に大きくして、文字列処理の性能向上を図っている。
大容量の磁気ディスク装置及び仮想記憶技術を用いることによって、非常に大きなメモリ空問を実現し、性能向上を図っている。
動的に再構成可能なハードウェア演算器を多数用意し、実行する命令に応じて最適化することによって、性能向上を図っている。
ベクトル命令を備えたプロセッサを数個~数千個、又はマイクロプロセッサを数百~数十万個結合することによって、性能向上を図っている。(正解)

解説

スーパコンピュータの特徴として適切なものはどれか【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:スーパコンピュータは多数のベクトルプロセッサやマイクロプロセッサを結合し、並列処理で性能を向上させる。
  • 根拠:高性能計算を実現するために、単一の演算器性能向上よりも多数のプロセッサを連携させる設計が主流である。
  • 差がつくポイント:ベクトル命令の活用と大規模な並列処理構成がスパコンの本質であり、単純なビット幅拡大や仮想記憶技術とは異なる点を理解すること。

正解の理由

選択肢エは「ベクトル命令を備えたプロセッサを数個~数千個、またはマイクロプロセッサを数百~数十万個結合することによって性能向上を図っている」と述べています。これはスーパコンピュータの基本的な設計思想に合致しています。スパコンは大量の演算を高速に処理するため、ベクトル演算や並列処理を活用し、多数のプロセッサを連結して計算能力を高めています。これにより科学技術計算やシミュレーションなどの大規模処理が可能となります。

よくある誤解

スパコンは単に演算器のビット数を大きくしたり、大容量の仮想記憶を使うだけで性能が上がるわけではありません。並列処理の仕組みとベクトル演算の活用が重要です。

解法ステップ

  1. スーパコンピュータの目的は「大規模かつ高速な計算処理」であることを確認する。
  2. 選択肢の特徴をスパコンの設計思想と照らし合わせる。
  3. 「ビット数拡大」や「仮想記憶技術」は一般的なコンピュータの性能向上策であり、スパコンの特徴とは異なると判断。
  4. 「動的再構成可能なハードウェア演算器」はFPGAなどの特殊用途であり、スパコンの主流技術ではないと理解。
  5. 「多数のベクトルプロセッサやマイクロプロセッサの結合」による並列処理がスパコンの本質であるため、選択肢エを正解とする。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 演算器のビット数を大きくすることは処理速度向上に寄与しますが、スパコンの特徴は並列処理であり、単純なビット幅拡大は該当しません。
  • イ: 大容量磁気ディスクや仮想記憶はメモリ管理技術であり、スパコンの性能向上の主因ではありません。
  • ウ: 動的再構成可能なハードウェア演算器はFPGAの特徴であり、スパコンの一般的な構成とは異なります。
  • エ: ベクトル命令を備えた多数のプロセッサ結合による並列処理はスパコンの基本的な特徴であり正解です。

補足コラム

スーパコンピュータは「ベクトル型」と「並列分散型」の2つのアーキテクチャに大別されます。ベクトル型は長いデータ列に対して一括演算を行い、並列分散型は多数のプロセッサでタスクを分割して同時処理します。近年はGPUを活用した並列処理も注目されています。

FAQ

Q: スパコンと一般的なパソコンの違いは何ですか?
A: スパコンは多数のプロセッサを連結し、並列処理で大規模計算を高速に行う点が異なります。パソコンは単一または少数のCPUで処理します。
Q: ベクトル命令とは何ですか?
A: ベクトル命令は複数のデータを一括で処理する命令で、科学技術計算など大量の数値演算に適しています。

関連キーワード: スーパコンピュータ, ベクトルプロセッサ, 並列処理, 高性能計算, 演算器, 仮想記憶, FPGA, ベクトル命令
← 前の問題へ次の問題へ →

©︎2025 情報処理技術者試験対策アプリ