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システムアーキテクト試験 2012年 午前2 問02
ソフトウェア要求モデルに関する記述のうち、ペトリネットモデルの説明として、適切なものはどれか。
ウ:対象となる問題領域に対して、プロセスではなくオブジェクトを用いて解決を図るというアプローチをとる。
エ:並行して進行する事象間の同期を表すことができ、その構造は2種類の節点をもつ有向2部グラフで表される(正解)
イ:システムの機能を入力データから出カデータへの変換とみなすとともに、機能を段階的詳細化に基づき階層的に分割していく。
ア:外界の事象をデータ構造として表現する、データモデリングのアプローチをとる。その表現は、エンティティ、関連及び属性で構成される。
解説
ソフトウェア要求モデルに関するペトリネットモデルの説明【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:ペトリネットモデルは並行処理の同期を表現し、2種類の節点を持つ有向2部グラフで構成されます。
- 根拠:ペトリネットは状態(プレース)と遷移(トランジション)を用いて、並行動作や同期を視覚的に表現できるため、並行システムのモデリングに適しています。
- 差がつくポイント:他のモデルと異なり、ペトリネットは「並行性」と「同期」を明確に表現できる点が特徴で、これを理解しているかが合否を分けます。
正解の理由
選択肢エは、ペトリネットの基本構造である「プレース(状態)」と「トランジション(遷移)」という2種類の節点を持つ有向2部グラフで表されることを正確に述べています。さらに、並行して進行する事象間の同期を表現できる点もペトリネットの本質を捉えています。これにより、複雑な並行処理や同期問題をモデル化できるため、ソフトウェア要求分析に有効です。
よくある誤解
ペトリネットを単なるデータ構造やオブジェクト指向のモデルと混同し、並行性や同期の表現能力を見落とすことが多いです。
解法ステップ
- ペトリネットの基本構造を確認する(プレースとトランジションの2種類の節点)。
- 並行処理や同期を表現できるモデルであることを理解する。
- 選択肢の説明とペトリネットの特徴を照合する。
- 並行性や同期に言及している選択肢を優先的に検討する。
- 他の選択肢が示すモデル(データモデリング、機能分割、オブジェクト指向)と比較し、ペトリネットに該当しないことを確認する。
選択肢別の誤答解説
- ア:エンティティ・関連・属性で構成されるのはERモデルであり、ペトリネットとは異なります。
- イ:機能を階層的に分割するのは機能分割モデルやDFD(データフロー図)に近く、ペトリネットの説明ではありません。
- ウ:オブジェクト指向のアプローチを示しており、ペトリネットの並行性や同期の特徴とは異なります。
- エ:ペトリネットの特徴を正確に表現しており、正解です。
補足コラム
ペトリネットは1960年代にカール・アダム・ペトリによって提案され、分散システムや並行処理の解析に広く使われています。状態(プレース)にトークンを置くことでシステムの状態を表し、遷移がトークンを移動させることで動作をモデル化します。これにより、デッドロックや競合状態の検出にも役立ちます。
FAQ
Q: ペトリネットはどのような場面で使われますか?
A: 並行処理や同期が必要なシステムの動作解析、ワークフロー管理、通信プロトコルの設計などで使われます。
A: 並行処理や同期が必要なシステムの動作解析、ワークフロー管理、通信プロトコルの設計などで使われます。
Q: ペトリネットの「2種類の節点」とは何ですか?
A: 「プレース(状態)」と「トランジション(遷移)」の2種類で、これらが有向辺で結ばれています。
A: 「プレース(状態)」と「トランジション(遷移)」の2種類で、これらが有向辺で結ばれています。
関連キーワード: ペトリネット, 並行処理, 同期, ソフトウェア要求モデル, 有向2部グラフ