システムアーキテクト試験 2012年 午前215


情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
業務層の現状システムを分析し、エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め、これらを基にE-R図を作成し、それを抽象化して、全社のデータモデルを作成する。
全社のデータとその処理過程を分析し、重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に、基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとして捉え、適切な識別名を与える。さらに、基本エンティティと関係あるデータを属性とし、全社のデータモデルを作成する。
企業の全体像を把握するために、主要なエンティティだけを抽出し、それらの相互間のリレーションシップを含めて、鳥瞰図を作成する。次に、エンティティを詳細化し、全てのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。(正解)
管理層の業務から機能を抽出し、機能をエンティティとする。次に、機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに、全社の帳票類を調査して軽理し、正規化された項目に基づいて属性を定義し、全社のデータモデルとする。

解説

情報システムの全体計画立案におけるE-Rモデル作成手順【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:全社のデータモデル作成は、主要エンティティの鳥瞰図作成から詳細化し、全リレーションシップを明確にする手順が正しい。
  • 根拠:E-Rモデルは企業全体のデータ構造を抽象的に捉え、段階的に詳細化することで整合性と網羅性を確保するため。
  • 差がつくポイント:初期段階で全体像を把握し、主要エンティティとリレーションシップを明確にすることが重要で、機能や帳票から直接属性を定義するのは誤り。

正解の理由

選択肢イは、まず企業全体の主要なエンティティを抽出し、それらの相互関係を含めた鳥瞰図を作成します。これにより全体像を把握し、後にエンティティを詳細化して全てのリレーションシップを明確にする段階的な手順を踏んでいます。この方法はE-Rモデルの基本的な作成手順に合致し、全社のデータモデルとして適切です。

よくある誤解

機能や帳票から直接エンティティや属性を定義すると、業務の視点に偏り全体像が見えにくくなります。現状システムの分析だけで全社モデルを作るのも部分最適に陥りやすいです。

解法ステップ

  1. 企業全体の主要なエンティティを抽出し、全体像の鳥瞰図を作成する。
  2. 鳥瞰図でエンティティ間のリレーションシップを明示し、全体の構造を把握する。
  3. 抽出したエンティティを詳細化し、属性やリレーションシップを具体的に定義する。
  4. 全てのリレーションシップを明確にし、整合性のある全社データモデルを完成させる。

選択肢別の誤答解説

  • ア:機能をエンティティとするのは誤り。E-Rモデルのエンティティは業務対象の「もの」や「概念」であり、機能は含まれません。
  • :正解。全体像の鳥瞰図作成から詳細化まで段階的に進める正しい手順です。
  • ウ:現状システム分析から始めるのは部分最適化の恐れがあり、全社の抽象的な視点が欠けています。
  • エ:処理過程や業務をエンティティとするのはE-Rモデルの本質から外れており、データ中心の視点が不足しています。

補足コラム

E-Rモデルは「Entity(実体)」「Relationship(関係)」「Attribute(属性)」の三要素で構成されます。全社データモデル作成では、まず主要な実体を抽出し、それらの関係性を鳥瞰図で把握することが重要です。これにより、システム設計の基盤となるデータ構造の整合性と拡張性が確保されます。

FAQ

Q: なぜ機能をエンティティにしないのですか?
A: エンティティは「もの」や「概念」を表し、機能は業務の動作や処理であるため、E-Rモデルの対象外です。
Q: 鳥瞰図とは何ですか?
A: 鳥瞰図は全体を俯瞰的に見渡せる図で、主要エンティティとその関係を大まかに示したものです。
Q: 属性はいつ定義すべきですか?
A: 主要エンティティとリレーションシップが明確になった後、詳細化の段階で属性を定義します。

関連キーワード: E-Rモデル, データモデリング, 全社データモデル, エンティティ, リレーションシップ, 情報システム設計
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