システムアーキテクト試験 2013年 午前210


学生レコードを処理するプログラムをテストするために、実験計画法を用いてテストケースを決定する。学生レコード中のデータ項目(学生番号、科目コード、得点)を二つの状態で表す。テスト対象のデータ項目から任意に二つのデータ項目を選び、二つのデータ項目がとる状態の全ての組合せが必ず同一回数ずつ存在するように基準を設けた場合に、次の8通りのテストケースの候補のうち、最少で幾つを採択すればよいか。
問題画像
2
3
4(正解)
6

解説

学生レコードのテストケース選定に関する問題【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:二つのデータ項目の全組合せを均等にカバーするには、最少で4つのテストケースが必要です。
  • 根拠:3つのデータ項目それぞれが2状態を持ち、任意の2項目の組合せ(計3組)で全4通りの状態を均等に含む必要があるためです。
  • 差がつくポイント:実験計画法の「直交配列表(直交表)」の理解と、ペアワイズテストの考え方を正確に適用できるかが鍵となります。

正解の理由

本問題は、3つのデータ項目(学生番号、科目コード、得点)がそれぞれ2つの状態を持ち、任意の2項目の組合せで全状態の組合せを均等に含むテストケースの最小数を問うています。
この条件は「2因子2水準の直交配列表(L4直交表)」に該当し、最小のテストケース数は4です。
8通りの候補から4つを選べば、任意の2項目の全組合せが同一回数ずつ現れるため、ウの4が正解となります。

よくある誤解

  • 全ての状態を網羅するために8通りすべて必要と考えがちですが、ペアワイズで均等にカバーするには4通りで十分です。
  • 2つの項目の組合せだけを考え、3つ同時の組合せを無理に網羅しようとすると混乱します。

解法ステップ

  1. 3つのデータ項目がそれぞれ2状態であることを確認する。
  2. 任意の2項目の組合せは3通り(学生番号×科目コード、学生番号×得点、科目コード×得点)であることを把握する。
  3. 各2項目の組合せで2状態×2状態=4通りの組合せがあることを理解する。
  4. これら3組合せの4通りを均等に含むテストケースの最小数を考える。
  5. 直交配列表(L4)を用いると4通りで条件を満たせることを知る。
  6. よって、最少4つのテストケースを選べばよいと結論づける。

選択肢別の誤答解説

  • ア(2):2つでは全ての2項目の組合せを均等にカバーできず不十分です。
  • イ(3):3つでは一部の組合せが欠けるため条件を満たしません。
  • ウ(4):正解。直交配列表により全ての2項目組合せの状態を均等に含みます。
  • エ(6):6つ選べば条件は満たせますが、最少ではないため過剰です。

補足コラム

実験計画法の中でも「直交配列表」は、複数の因子の組合せを効率的にテストするための表です。
特にペアワイズテストは、任意の2因子の全組合せを網羅することでテストケース数を大幅に削減しつつ効果的なテストを実現します。
今回の問題は2水準3因子の典型的な直交配列表(L4)問題であり、ソフトウェアテスト設計で頻出のテーマです。

FAQ

Q: なぜ全8通りのテストケースを使わなくてよいのですか?
A: ペアワイズテストの考え方により、任意の2因子の全組合せを均等にカバーする最小のテストケース数は4で十分だからです。
Q: 直交配列表とは何ですか?
A: 複数因子の組合せを効率的にテストするために、因子の水準の組合せを均等に分散させた表のことです。
Q: 3因子すべての組合せを均等にカバーするにはどうすればよいですか?
A: 3因子すべての組合せを完全に網羅するには23=82^3=8通りのテストケースが必要ですが、ペアワイズでは2因子の組合せのみを均等にカバーします。

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