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システムアーキテクト試験 2014年 午前2 問01
ソフトウェアの要求分析や設計に利用されるモデルに関する記述のうち、ペトリネットの説明として、適切なものはどれか。
イ:システムの機能を入力データから出力データへの変換とみなすとともに、機能を段階的詳細化に基づき階層的に分割していく。
ウ:対象となる問題領域に対して、プロセスではなくオブジェクトを用いて解決を図るというアプローチをとる。
エ:並行して進行する事象間の同期を表す。その構造は2種類の節点をもつ有向2部グラフで表される。(正解)
ア:外界の事象をデータ構造として表現する、データモデリングのアプローチをとる。その表現は、エンティティ、関連及び属性で構成される。
解説
ソフトウェアの要求分析や設計に利用されるモデルに関する問題【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:ペトリネットは並行処理の同期を表現するモデルで、2種類の節点を持つ有向2部グラフで表されます。
- 根拠:ペトリネットは状態(場所)と遷移(トランジション)という2種類の節点を用い、並行動作や同期を視覚的に表現可能です。
- 差がつくポイント:ペトリネットと他のモデル(ER図、機能分割、オブジェクト指向)の違いを正確に理解し、用途や構造の特徴を押さえることが重要です。
正解の理由
選択肢エはペトリネットの本質を正しく説明しています。ペトリネットは「場所(プレース)」と「遷移(トランジション)」という2種類の節点を持つ有向2部グラフで、並行して進行する事象の同期や競合状態を表現するために用いられます。これにより、複雑な並行処理の動作をモデル化できるため、ソフトウェアの要求分析や設計で有効です。
よくある誤解
ペトリネットを単なるデータ構造やオブジェクト指向のモデルと混同しやすいですが、ペトリネットは動的な並行処理の振る舞いを表すモデルである点が異なります。
解法ステップ
- ペトリネットの基本構造(節点の種類とグラフ構造)を確認する。
- 選択肢の説明がペトリネットの特徴(並行処理の同期、2種類の節点)に合致するかを検証する。
- 他の選択肢が示すモデル(ER図、機能分割、オブジェクト指向)との違いを整理する。
- ペトリネットの用途が並行処理のモデリングであることを踏まえ、最も適切な説明を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: ER図の説明であり、ペトリネットとは無関係です。エンティティや属性はデータモデリングの概念です。
- イ: 機能分割や階層的詳細化の説明で、機能モデル(ファンクションモデル)に該当し、ペトリネットの特徴ではありません。
- ウ: オブジェクト指向のアプローチを示しており、ペトリネットの構造や目的とは異なります。
- エ: ペトリネットの特徴を正確に表現しているため正解です。
補足コラム
ペトリネットは1962年にカール・アダム・ペトリによって提案されたモデルで、分散システムや並行処理の解析に広く利用されています。状態遷移の可視化だけでなく、デッドロック検出や性能評価にも応用されるため、ソフトウェア設計だけでなくシステム工学の分野でも重要です。
FAQ
Q: ペトリネットはどのような場面で使われますか?
A: 並行処理や同期が必要なシステムの動作解析、ワークフロー管理、通信プロトコルの設計などで利用されます。
A: 並行処理や同期が必要なシステムの動作解析、ワークフロー管理、通信プロトコルの設計などで利用されます。
Q: ペトリネットの「2種類の節点」とは何ですか?
A: 「場所(プレース)」と「遷移(トランジション)」の2種類で、場所は状態や条件を、遷移はイベントや動作を表します。
A: 「場所(プレース)」と「遷移(トランジション)」の2種類で、場所は状態や条件を、遷移はイベントや動作を表します。
関連キーワード: ペトリネット, 並行処理モデル, 有向2部グラフ, 状態遷移, ソフトウェア設計, 要求分析