システムアーキテクト試験 2014年 午前219


アクセス時間10ナノ秒のキャッシュメモリとアクセス時間50ナノ秒の主記憶を使用した処理装置において,主記憶の実効メモリアクセス時間が25ナノ秒以下になるためには、キャッシュメモリのヒット率が少なくとも何%あればよいか。
50
60
70(正解)
80

解説

アクセス時間10ナノ秒のキャッシュメモリとアクセス時間50ナノ秒の主記憶を使用した処理装置において,主記憶の実効メモリアクセス時間が25ナノ秒以下になるためには、キャッシュメモリのヒット率が少なくとも何%あればよいか。【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:キャッシュメモリのヒット率は70%以上であれば実効アクセス時間が25ナノ秒以下になる。
  • 根拠:実効アクセス時間は「ヒット率×キャッシュアクセス時間+ミス率×主記憶アクセス時間」で計算されるため。
  • 差がつくポイント:問題文の数値を正確に代入し、ヒット率を求める式変形ができるかが重要。

正解の理由

実効メモリアクセス時間(Effective Access Time, EAT)は以下の式で求められます。
EAT=(ヒット率)×(キャッシュアクセス時間)+(1ヒット率)×(主記憶アクセス時間)EAT = (ヒット率) \times (キャッシュアクセス時間) + (1 - ヒット率) \times (主記憶アクセス時間)
問題の条件を代入すると、
25h×10+(1h)×5025 \geq h \times 10 + (1 - h) \times 50
これを解くと、
2510h+5050h255040h2540h40h25h2540=0.62525 \geq 10h + 50 - 50h \\ 25 - 50 \geq -40h \\ -25 \geq -40h \\ 40h \geq 25 \\ h \geq \frac{25}{40} = 0.625
つまり、ヒット率は62.5%以上必要ですが、選択肢の中で最も近くてかつ条件を満たすのは70%(ウ)です。したがって、正解はです。

よくある誤解

ヒット率の計算でミス率を忘れたり、単純にキャッシュアクセス時間だけを考えてしまうことがあります。実効アクセス時間は両方のアクセス時間を加味する必要があります。

解法ステップ

  1. 実効アクセス時間の式を確認する。
  2. 問題の数値を式に代入する。
  3. ヒット率を変数として不等式を立てる。
  4. 不等式を解いてヒット率の最小値を求める。
  5. 選択肢の中から条件を満たす最小の値を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア(50%):ヒット率50%では実効アクセス時間が25ナノ秒を超えるため不正解。
  • イ(60%):60%では計算上24ナノ秒を超えるため条件を満たさない。
  • ウ(70%):ヒット率70%で実効アクセス時間は23ナノ秒となり条件を満たす。
  • エ(80%):80%でも条件は満たすが、最小値ではないため不適切。

補足コラム

キャッシュメモリのヒット率はシステム性能に直結する重要な指標です。ヒット率が高いほど主記憶へのアクセスが減り、処理速度が向上します。実効アクセス時間の計算は、キャッシュの効果を定量的に評価する基本的な手法です。

FAQ

Q: 実効アクセス時間が25ナノ秒以下になるとはどういう意味ですか?
A: キャッシュと主記憶のアクセス時間を加味した平均的なアクセス時間が25ナノ秒以下であることを意味します。
Q: ヒット率が高いほどなぜ性能が良くなるのですか?
A: キャッシュは主記憶より高速なので、ヒット率が高いと高速なキャッシュアクセスが増え、全体のアクセス時間が短縮されます。

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