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システムアーキテクト試験 2016年 午後1 問01
仕入れ納品システムの変更に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
A社は、約500店舗を展開する中堅コンビニエンスストアである。このたび、他社との差別化を図るために、精肉を販売することを決定し、A社の仕入れ・納品の仕組み、及び取引先であるB社の商品加工ラインの仕組みを変更することになった。
〔現在の業務及びシステムの概要〕
A社では、商品を仕入れる取引先は、商品によって一意に決まっている。A社が取引先から仕入れる価格を原価、A社が店舗で販売する価格を売価という。また、商品1個当たりの原価を原単価、商品1個当たりの売価を売単価という。これらの単価及び取引先は商品マスタに登録されている。取引先での処理に必要なマスタ情報は、A社から取引先に送信され、共有されている。
現在の仕入れ納品システム(以下、現行システムという)を用いた、注文から検品に至る各業務の流れは次のとおりである。
(1)注文業務
・店舗では、発注用端末を使って、商品ごとに数量を入力して発注データを作成する。
・店舗から本部への発注データの送信は随時可能である。本部では、毎日、発注データの締め処理を行い、商品マスタを用いて、それぞれの商品に対応した取引先及び納品予定日を決定して、注文ファイルに登録する。また、このとき、取引先ごとに商品別の合計数量を求めて、注文速報データを作成し、取引先に送信する。取引先は、注文速報データを基に、商品をそろえる。生鮮食品については、毎日8時に発注データを締めて取引先に送信し、当日17時までに、店舗に納品してもらう。
(2)納品業務
・本部では、注文ファイルの注文データから、店番、納品予定日、取引先コードごとに、納品伝票データを作成する。生鮮食品については締め処理を行った当日が納品予定日になる。伝票番号は、伝票番号マスタに店舗別に格納されている最終伝票番号に1を加算して付与し、さらに、商品コード単位に行番号を付与した明細行を作り、納品明細データを作成する。1伝票には明細が複数行表示できるが、明細行が1伝票に収まらない場合は、伝票番号に1を加算して次の納品伝票データを作成した後で、納品明細データを作成する。1店舗の処理が終了すると、終了時の伝票番号を伝票番号マスタの最終伝票番号に格納する。
・納品伝票ファイル及び納品明細ファイルから取引先ごとに抽出したデータを、当該取引先に送信し、取引先では、これらのデータを使って納品伝票を印刷する。
・取引先では、納品伝票に記載された商品を記載された数量だけピッキングし、納品伝票を付けて出荷し、店舗に納品する。
(3)検品業務
・店舗では、商品の検品を行い、検品データを本部に送信する。A社では商品が発注どおりに納品される確率が99.9%を超えているので、通常は、修正なしの情報をセットして、検品データだけを本部に送信する。検品時に納品伝票と異なる数量が納品された場合は、修正ありの情報をセットして検品データを本部に送信するとともに、検品差異データを本部に送信する。商品が納品されなかった場合は、実納品数量に0をセットした検品差異データを送信する。
・本部では、納品伝票データ、納品明細データ、検品データ及び検品差異データを使って納品金額を決定し、買掛金システムに渡す買掛金合計データ及び買掛金明細データを作成する。
現行システムの主要ファイルを表1に示す。
〔変更の概要〕 これまでA社で扱ってきた商品は、商品ごとに原単価、売単価が一律に決まる商品(以下、定貫商品という)だけであった。しかし、新たに扱う精肉については、100グラム当たりの単価は決まっているが、個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品(以下、不定貫商品という)になる。 A社で扱っている肉類の商品は、取引先であるB社が購入、加工、包装、店舗別ピッキング及び配送を行っている。B社は、A社以外とも取引を行っており、地方のスーパマーケットには不定貫商品も納品している。 A社の情報システム部に所属するC氏は、次のような変更を行うことにした。 ・精肉の商品には、大パックは300グラム、小パックは100グラムという目安の重量を設け、商品マスタに、大パック、小パックを別々の商品として登録する。 ・商品マスタで、不定貫商品を取り扱うようにするために、ある属性を新たに追加する。また、既存の属性の二つについて、現在と別の意味をもたせる。 ・B社では、納品明細データを基に、後述する計量値付機を使って、包装、計量、値札発行、値札貼付を行い、納品伝票データ及び納品明細データを更新する。 ・B社は、更新した納品伝票データ及び納品明細データを用いて納品伝票を印刷するとともに、納品伝票データ及び納品明細データをA社に送信する。 ・A社の本部では、B社から送信されてきた納品伝票データ及び納品明細データで、本部のファイルを更新する。

〔変更の概要〕 これまでA社で扱ってきた商品は、商品ごとに原単価、売単価が一律に決まる商品(以下、定貫商品という)だけであった。しかし、新たに扱う精肉については、100グラム当たりの単価は決まっているが、個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品(以下、不定貫商品という)になる。 A社で扱っている肉類の商品は、取引先であるB社が購入、加工、包装、店舗別ピッキング及び配送を行っている。B社は、A社以外とも取引を行っており、地方のスーパマーケットには不定貫商品も納品している。 A社の情報システム部に所属するC氏は、次のような変更を行うことにした。 ・精肉の商品には、大パックは300グラム、小パックは100グラムという目安の重量を設け、商品マスタに、大パック、小パックを別々の商品として登録する。 ・商品マスタで、不定貫商品を取り扱うようにするために、ある属性を新たに追加する。また、既存の属性の二つについて、現在と別の意味をもたせる。 ・B社では、納品明細データを基に、後述する計量値付機を使って、包装、計量、値札発行、値札貼付を行い、納品伝票データ及び納品明細データを更新する。 ・B社は、更新した納品伝票データ及び納品明細データを用いて納品伝票を印刷するとともに、納品伝票データ及び納品明細データをA社に送信する。 ・A社の本部では、B社から送信されてきた納品伝票データ及び納品明細データで、本部のファイルを更新する。
〔B社の商品加工ラインでの作業の概要と変更要件〕
B社では、商品加工ラインで、商品の加工、包装、値札発行、値札貼付、店舗別ピツキングを行っている。値札には、商品名の他、消費期限、売価、税込売価及びバーコードを印字する。バーコードには、商品コード及び原価・売価情報を含める。
現在、A社向けには、加工肉類などの定貫商品だけを扱っている。本部から送られてきた注文速報データを基に、値札発行機で、商品ごとに、当日A社から発注された数量分の枚数の値札を発行し、手作業で商品に貼付している。その後、店舗別に、値札が貼付された商品を、納品伝票に記載された数量分ピッキングしている。
B社では不定貫商品の加工に当たり、現在、他社に納品している不定貫商品で用いている計量値付機を使用することにした。計量値付機とは、パックした商品をベルトコンベアで流し、量り部分で計量し、それを基に値札を発行し、値札を自動貼付する機械である。不定貫商品の値札には、従来のA社向け定貫商品の値札に印字している項目に加え、販売する店舗の店舗名、100グラム当たりの金額、内容量を印字する。PCで受信した納品明細データを計量値付機に送り、計量結果を反映させた納品明細データを送り返してもらい、PCの納品明細データ及び納品伝票データを更新する。計量値付機で行う作業は、次のとおりである。
(1)事前作業として、注文速報データを基に、商品単位に、それぞれの目安重量に応じたパックを、当日A社から発注された数量分準備する。
(2)PCから、当該商品の商品コード、商品名、消費期限、100グラム当たりの金額を計量値付機に送る。
(3)当該商品について、1店舗分の店番、店舗名、数量の情報を計量値付機に送る。
(4)1パックずつベルトコンベアに流し、まず、量り部分で計量し、内容量及び売価を計算する。次に、消費税率を用いて税込売価を計算する。その結果を基に値札を発行し、ベルトコンベアを流れる商品に自動貼付する。
(5)1店舗の数量分の作業が終了すると、計量結果データは計量値付機からPCに送信される。
(6)一つの店舗の作業が終わったら、(3)~(5)を、全ての店舗が終わるまで繰り返す。
(7)一つの商品の作業が終わったら、(2)~(6)を、全ての商品が終わるまで繰り返す。
定貫商品と不定貫商品の値札の例を図1に示す。

また、B社では、不定貫商品をA社店舗に納品する際の店舗別ピッキングについて、①従来の定貫商品と同じ店舗別ピッキングでは、A社の買掛金の処理に不都合を生じさせてしまうので、②店舗別ピッキングの方法を変更することにした。
〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕
店舗から送られてくる検品データ、検品差異データと、A社にある納品伝票データ、納品明細データを使って、買掛金システムに渡すデータを作成している。現在の処理の流れを表2に示す。

今回、不定貫商品を扱うに当たって、検品業務において、不定貫商品の納品数量が異なるケースを想定して、③検品差異データに、実納品原価、実納品売価の二つの属性を追加する。実納品原価、実納品売価は、実際に納品された商品の原価、売価を商品単位に合計して算出する。また、不定貫商品の検品差異データが発生した場合を考慮し、表2の検品差異データの処理を、不定貫商品については表3のように変更する。

設問1(1):〔変更の概要〕について、(1)~(3)に答えよ。
不定貫商品について、B社から納品伝票データ及び納品明細データを送信してもらうように変更したのはなぜか。その理由を25字以内で述べよ。
模範解答
不定貫商品の価格を確定させる必要があるから
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- 不定貫商品の価格
- 価格の確定
- 納品伝票データ及び納品明細データの送信
- 計量値付機の利用による包装・計量・値札発行
- B社での価格計算の必要性
なぜ「不定貫商品の価格を確定させる必要があるから」という解答になるのか
問題文の変更概要とB社の業務説明を見ると、以下のポイントが明確です。
-
今までのA社の商品は定貫商品で、商品1個あたりに一律の原単価、売単価が設定されていました。すなわち、1個の商品には固定価格が割り当てられており、価格にブレがありませんでした。
-
しかし今回、新たに扱う不定貫商品(精肉)は、100グラム当たりの単価が決まっていますが、個包装ごとに「内容量」及び「販売価格」が異なります。つまり商品1個ごとに重量や価格が異なり、一定ではありません。
-
B社の加工ラインで不定貫商品を扱うにあたり、包装済み商品をベルトコンベアで流し、量り部分で計量し、内容量と売価を計算して値札を自動的に貼付けます。
-
そのため、B社で「包装・計量・値札発行」を行い、不定貫商品の正確な価格(売価)を確定した後に、その確定した内容を反映した納品伝票データ・納品明細データをA社に送信する必要があります。
-
この仕組みによって、A社側の管理システムも##正確な内容量と価格を把握し、買掛金計算及び検品を適正に行うことができる##のです。
したがって、「不定貫商品の価格は個包装ごとに異なるため、B社から確定した価格を反映した納品伝票・納品明細を送ってもらう必要がある」ため、この変更が必須となりました。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ選択肢への注意
-
「納品数を確定させるため」
→ 不定貫商品の個数自体は注文速報データにより店ごとに既に確定しています。問題は商品の重さや価格が個包装で異なることです。 -
「納品時間や納品先の変更」
→ 本問の主眼は価格の確定に関わる変更であり、納品先や時間の話ではありません。 -
「計量値付機の導入」だけが理由ではない
→ 計量値付機の導入自体は作業効率化や自動化に関する話で、価格が確定しなくてはならないという点が本質です。計量値付機の送り返すデータに価格情報を含める必要があるからです。
試験対策として押さえておくべきポイント・知識
-
定貫商品と不定貫商品の違い
- 定貫商品:個数で価格が一定、単価が固定
- 不定貫商品:重量や内容量により価格が変動(特に100g単位の単価)
-
不定貫商品の価格設定には実測重量が必須であること
-
計量値付機による計量後の価格確定と、それに伴う伝票情報の更新処理は必須であること
-
買掛金計算や検品処理においても正確な単価や数量のデータが必要不可欠となるため、実際に渡される納品伝票データ・納品明細データの内容が変わる点を理解しておく
まとめ
以上の理解があれば、本問の解答「不定貫商品の価格を確定させる必要があるから」が明確に納得できます。
設問1(2):〔変更の概要〕について、(1)~(3)に答えよ。
商品マスタに新たに追加する属性がある。その内容を20字以内で述べよ。
模範解答
定貫商品か不定貫商品かを表す区分
解説
コアキーワードと論点整理
- 区分属性の追加
商品マスタに「定貫商品か不定貫商品か(区分)」を示す新たな属性を追加することが変更点の核心。 - 定貫・不定貫商品の違いを識別する必要性
変更概要で、不定貫商品は100グラム単位で単価が決まり、個包装ごとに内容量や価格が異なると説明。 - 既存の属性の意味変更も行うが区別用の属性は追加が必要。
なぜ「定貫商品か不定貫商品かを表す区分」が答えになるか
問題文の〔変更の概要〕に次の記述があります。
・商品マスタで、不定貫商品を取り扱うようにするために、ある属性を新たに追加する。
・また、既存の属性の二つについて、現在と別の意味をもたせる。
ここで追加する属性が、定貫商品と不定貫商品を区別するための「区分」であることは明確です。
また、定貫商品と不定貫商品では価格計算方法や管理方式が異なるため、この区分はマスタで商品を正しく扱ううえで不可欠となります。
また、定貫商品と不定貫商品では価格計算方法や管理方式が異なるため、この区分はマスタで商品を正しく扱ううえで不可欠となります。
要するに、この「区分属性」によって、仕入れ・納品処理や価格計算処理で適切なロジックや計算式を選択できるようにするのです。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
「単価」や「内容量」などの他の属性と混同する誤り
「不定貫商品だから単価が変わる」「内容量を登録する」などの具体的な数値属性と混同してしまう場合があります。しかし設問は「追加する属性」を問うており、単価や内容量は既に存在するか、別途管理されます。 -
「既存属性の意味の変更」に注意
新しい区分のための属性を追加するとともに、既存属性(二つ)に別の意味を持たせるとあります。ここで既存属性の変更を答えるのが誤答になります。設問は「新たに追加する属性」について問うています。 -
属性名の表現の誤解
「不定貫商品フラグ」「重量可変フラグ」など具体的かつ詳細な名称を答える必要はなく、「不定貫商品かどうかの区分」など概要の理解で十分です。
試験対策まとめ
-
商品マスタなどマスタファイルに新属性追加の意図は「区分」による分類が多いことを押さえる
新機能追加の際は、区分(種類)を示す属性が最も多く追加されることを覚えておきましょう。 -
問題文の「変更の概要」や「目的」を必ず根拠にして回答を書くこと
「新たに追加する属性」=「定貫・不定貫の区分」であることが記載されているため、必ず問題文から理由を説明できるようにしましょう。 -
似た用語の違いに注意する
「単価」「重量」「数量」など具体値の属性ではなく、「商品区分」のような“分類”属性であることを混同しないようにしましょう。 -
マスタの役割を理解する
商品マスタの役割は商品特性を表すこと。商品の種類によって処理やルールが変わる場合、区分属性を設けることが定石です。
以上から、今回の設問の正解は
定貫商品か不定貫商品かを表す区分
となります。
この理解をベースに、システム変更に伴うマスタ設計の役割を押さえておくことが午後試験の対策に有効です。
この理解をベースに、システム変更に伴うマスタ設計の役割を押さえておくことが午後試験の対策に有効です。
設問1(3):〔変更の概要〕について、(1)~(3)に答えよ。
商品マスタの中に、従来と異なる意味をもたせる属性が二つある。新たにもたせる意味は、二つの属性に共通している。属性名を二つ答えよ。また、どのような意味をもたせるか、20字以内で述べよ
模範解答
属性名:
①:原単価
②:売単価
意味:100 グラム当たりの金額を表す。
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
-
属性名:
① 原単価
② 売単価 -
意味:
「100グラム当たりの金額を表す」ことが新たな意味付け
解答の理由と論理的説明
問題文の中で、変更の概要として次の記述があります。
「今回、不定貫商品(精肉)を導入するにあたって、
商品マスタで不定貫商品を取り扱うようにするために、ある属性を新たに追加する。
また、既存の属性の二つについて、現在と別の意味をもたせる。」
また、
「これまでA社で扱ってきた商品は、商品ごとに原単価、売単価が一律に決まる商品(定貫商品)だけであったが、
新たに扱う精肉(不定貫商品)は、100グラム当たりの単価は決まっているが、個包装ごとに内容量・販売価格が異なる。」
この背景から、商品マスタにある「原単価」「売単価」の属性は、従来は「1商品あたりの単価」を示すものだったのに対し、不定貫商品を表すために「100グラムあたりの金額」を示す属性へと意味が変わります。
具体的に問題文の引用箇所:
「精肉の商品には、大パックは300グラム、小パックは100グラムという目安の重量を設け,商品マスタに、大パック、小パックを別々の商品として登録する。」「商品マスタで、不定貫商品を取り扱うようにするために、ある属性を新たに追加する。また、既存の属性の二つについて、現在と別の意味をもたせる。」
ここで「ある属性の二つ」とは、「原単価」と「売単価」が該当することが読み取れます。
また、20字以内の意味としては、まとめて「100グラム当たりの金額」と表現すれば適切です。
また、20字以内の意味としては、まとめて「100グラム当たりの金額」と表現すれば適切です。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ
-
属性名の取り違え
「原単価」と「売単価」はどちらも変更される属性なので併せて答える必要があります。片方だけや、他の属性(例:消費期限、取引先コードなど)を答える誤答を避けましょう。 -
意味の解釈ミス
従来の「1個あたり」単価と混同しがちです。不定貫商品では「100グラムあたり」の単価に変わるため、「パックごとの単価」という表現はやや異なります。
20字以内で簡潔に「100グラム当たりの金額」とまとめることが合格の要点です。 -
属性の追加と既存属性の意味変更を混同
「ある属性を新たに追加」と「既存属性の意味変更」は別のポイントなので、新しい属性名については別設問等で問われることが多いですが、本設問では意味変更される既存属性2つが対象です。
試験対策まとめ
- 「定貫商品」と「不定貫商品」の違い(単価の単位)を正確に理解する。
- 商品マスタ属性の意味変更は変更の根幹に関わるため、問題文の説明を丁寧に読み解く。
- 20字以内の表現で、簡潔かつ正確に表現する力が求められる。
以上のポイントを押さえれば、本設問の正しい解答を導けます。
設問2(1):(B社の商品加エラインでの作業の概要と変更要件]について、(1),(2)に答えよ。
本文中の下線①で生じる不都合とは何か。その内容を40字以内で述べよ。
模範解答
実際に納品された商品の価格が,納品伝票に記載された価格と不一致となる。
解説
解説:下線①で生じる不都合の内容について
1. 模範解答の核心キーワード・論点整理
- 実際に納品された商品の「価格」が問題
- 納品伝票に「記載された価格」との「不一致」
- 不定貫商品の「個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる」点
- これにより生じる「買掛金の処理上の不都合」
2. 解答になる理由の論理的説明
問題文の下線①の箇所は次の通りです。
B社では、不定貫商品をA社店舗に納品する際の店舗別ピッキングについて、
①従来の定貫商品と同じ店舗別ピッキングでは、A社の買掛金の処理に不都合を生じさせてしまう
ここでポイントは「定貫商品と不定貫商品の価格設定の違い」にあります。
定貫商品
- 商品1個あたりの原単価、売単価が商品マスタで一律に決まっている(問題文冒頭)。
- よって「納品伝票に記載された数量 × 単価」で正確な金額算出が可能。
- 納品伝票と実際の納品数量で買掛金の計上が可能。
不定貫商品
- 不定貫商品は「100グラム当たりの単価」が決まっているが、
個包装ごとに「内容量と販売価格が異なる」(問題文の「〔変更の概要〕」部分参照)。 - B社が計量値付機を使って、一つひとつのパックごとに内容量の計量、値札の発行、価格を個別に設定している。
- 納品時に実際に納品される商品の価格 (売価、原価) が、納品伝票に事前記載の金額と異なる可能性が高い。
この状態で「従来の定貫商品の店舗別ピッキングと同じ方法」(すなわち納品伝票の価格情報をそのまま買掛金処理に反映するやり方)を適用すると、
- 実際の納品価格と納品伝票の価格が「一致しない」ため、
- 買掛金の額面計上に不整合が起き、処理が正確に行えなくなる、
という不都合が生じます。
3. 受験者が誤りやすいポイント
-
「不一致」が「数量違い」ではなく「価格違い」によるものである点
→ 数量は検品時に差異があれば修正処理が入るが、価格が変動する不定貫商品では単価のばらつきにより、納品伝票の単純数量×単価での価格計算は成立しない。 -
「伝票の価格がない、間違い」というより、伝票の価格は「事前予定価格」で、実際は計量値付機の計測結果で個別に異なるという仕組みのため、処理方法自体を変えなければならない。
-
「不都合」を「検品差異」と混同せず、買掛金処理上の「価格の不一致」によるシステム上の問題と認識すること。
4. 試験対策で覚えておくべきポイント
-
定貫商品と不定貫商品の違い:
定貫商品は「一律単価×数量」で価格計算、購入取引に利用可能。
不定貫商品は「内容量×単価」で価格が変動し、個別包装ごとに異なる価格となる。 -
不定貫商品を扱う場合、従来の「数量管理中心」の仕組みでは価格計算に不整合が生じるため、伝票や買掛金処理の仕組みを変更・補完する必要がある。
-
問題文で「買掛金処理に不都合が生じる」とあれば、納品伝票上の価格情報が実際の納品価格と異なることを指すことが多いと理解する。
-
類似問題では「納品伝票記載情報と実際納品情報の不一致」の意味が問われることが多いため、基本用語の違いを正確に押さえること。
まとめ
このように整理し、問題の趣旨に合わせて「価格が異なるから買掛金処理に不具合が生じる」と理解できれば、正答にたどり着けます。
設問2(2):(B社の商品加エラインでの作業の概要と変更要件]について、(1),(2)に答えよ。
本文中の下線②で、変更したピッキング方法を25字以内で述べよ。
模範解答
値札に印字された店舗名を見てピッキングする。
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- ピッキング方法の変更
- 「値札に印字された店舗名を見てピッキングする」
- 変更前のピッキングは「店舗別ピッキング」と表現されているものの、精肉など不定貫商品の導入にあたり問題発生
- 店舗名が値札に印字されることで、それを見て正確に店舗ごとに商品を仕分け(ピッキング)する方法へ変更
なぜこの解答になるのか(問題文引用を交えた論理的説明)
本文中、B社の商品加工ラインの作業と変更要件には以下の記述があります。
「不定貫商品の値札には、従来のA社向け定貫商品の値札に印字している項目に加え、販売する店舗の店舗名、100グラム当たりの金額、内容量を印字する。」
さらに、変更要件として以下が述べられています。
「B社では、不定貫商品をA社店舗に納品する際の店舗別ピッキングについて、①従来の定貫商品と同じ店舗別ピッキングでは、A社の買掛金の処理に不都合を生じさせてしまうので、②店舗別ピッキングの方法を変更することにした。」
値札に店舗名を印字することは、店舗ごとに商品を確実に分ける根拠として用います。つまり、
- 不定貫商品は個包装ごとに内容量や価格が異なるため、
- 従来の注文数量だけでピッキングする「従来の店舗別ピッキング」では、
- 買掛金処理に不具合が生じるからです。
そこで、
「値札に印字された店舗名を見てピッキングする」
という新しい方法に変更し、目視またはシステム連携で正確に店舗ごとに商品を分けて納品できるようにしています。
よくある誤りやひっかけポイントの解説
- 「店舗別ピッキング」自体は変更前も記述されているため、単に『店舗別ピッキング』と答えるのは誤り。重要なのは方法の「変更」であること。
- 「値札を貼ってピッキングする」や「値札を発行する」だけでは不適切。値札の特徴のうち特に「店舗名印字」に着目すべき。
- 「店舗コードでピッキング」などシステム的な表現より、図示されているものや本文に明確に記載された内容を用いることがポイント。
- ピッキングを完全に自動化する機械の話も出ていますが、問われているのは「ピッキング方法の変更内容」なので、過剰な機器の名称や細かすぎる説明は不要。
試験対策ポイント
- 本文中の変更点を問う問題では、本文で明示的に述べられているキーワードを正確に理解し、使うこと。
- 不定貫商品の扱いや加工、納品の流れを整理し、何が新しく、何が変わったかを押さえる。
- 変更理由と結果のセットで覚えると良い。
- 「値札に店舗名が印字される」ことが不定貫商品の取り扱いにおける重要な仕組みの一つであることを意識する。
- 表やマスタ情報などのファイルの主キーや属性も重要だが、設問がピッキング方法に関する場合は業務フローや処理の変更点に注目。
このように、問題文の本文にある変更内容を正確に把握して、解答に反映させることが重要です。
設問3(1):〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕について、(1),(2)に答えよ
本文中の下線③で,二つの属性を追加した理由を、35字以内で述べよ。
模範解答
商品ごとに原価,売価が異なり,数量だけでは算出できないから
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
- 「原価」「売価」が商品ごとに異なる(一定でない)
- 「数量」だけから原価や売価を算出できない
- 不定貫商品の特性(1パックごとに内容量が異なり、価格も異なる)
- 検品差異データに実際の原価・売価情報を追加する必要性
解答の論理的説明
問題文で指摘されているように、これまでの定貫商品は、商品1個あたりの「原単価」と「売単価」が一定であり、単に数量を掛けることで原価合計や売価合計を計算できます。例えば、
「これまでA社で扱ってきた商品は、商品ごとに原単価、売単価が一律に決まる商品(定貫商品)」
しかし、今回新たに扱う「不定貫商品」は、
100グラム当たりの単価は決まっているが、個包装ごとに内容量及び販売価格が異なる商品。
とあります。つまり、同じ商品コードでも重量や価格がパックごとに異なり、単純に「数量 × 原単価」で原価や売価を算出できません。
このため、
「不定貫商品の検品差異データに、実納品原価,実納品売価の二つの属性を追加する。」
必要があります。検品差異データにこれらの属性を設けることで、実際の納品原価・売価を正確に把握し、誤差訂正や買掛金処理での金額差異を反映できるようにする目的です。
受験者が誤りやすいポイント
-
「実納品数量」だけで原価や売価を算出可能と考える誤り
→ 不定貫商品は内容量が異なるため、数量だけでは価格を特定できない。 -
「原単価」「売単価」が商品ごとに固定と誤解すること
→ 不定貫商品は内容量によって価格が変動するため、単価は100g当たりの基準値であり、個々のパック価格は異なる。 -
検品差異データに「数量」のみ修正情報を持たせれば十分と考える誤り
→ 個々の商品ごとの価格も異なるため、価格情報を持たせなければ、買掛金金額の正確な計算ができない。
覚えておくべきポイント・試験対策
-
不定貫商品の特徴
→ 重量や内容量が個包装ごとに違い、価格もそれに連動して変わること。 -
「数量」+「単価情報」で価格計算できる定貫商品と、そうでない不定貫商品の違いを明確に理解する。
-
システム変更では、これら価格差異を取り扱うために、「実納品原価・売価」追加などの属性追加や処理変更が必要になる点。
-
検品差異データの役割
→ 商品の納品数量だけでなく、原価・売価の差異も記録して本部のファイルや買掛金システムに反映させる。
まとめ
以上より、「商品ごとに原価,売価が異なり,数量だけでは算出できないから」が適切な理由となります。
設問3(2):〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕について、(1),(2)に答えよ
表3中の(a)~(e)に入れる適切な字句を答えよ。(a,bは順不同、d,eは順不同)
模範解答
a:実納品原価
b:実納品売価
c:納品明細
d:原価
e:売価
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点
2. なぜその解答になるのか
検品差異データの属性追加と処理の変更
問題文の〔買掛金システムに渡すデータの作成処理〕の部分では、不定貫商品の取り扱いに当たり、次のように明確に述べられています。
- 「③検品差異データに、実納品原価,実納品売価の二つの属性を追加する。実納品原価,実納品売価は、実際に納品された商品の原価、売価を商品単位に合計して算出する。」
- 表3の処理内容の抜粋(問題文):
「検品差異データの実納品数量で納品明細データの数量を書き換える。検品差異データの
a、b で c データの d、e を書き換えるとともに、書換え前後の原価の差額、売価の差額を納品伝票データに反映する。」
ここで、
- a, b は検品差異データに新設された「実納品原価」「実納品売価」
- c は「納品明細」データ(数量、原価、売価を管理している)
- d, e は納品明細で金額関係の属性である「原価」「売価」
という対応になります。
整合的な解釈
検品差異データには「実納品原価」「実納品売価」が追加され、実際に納品された商品単位での原価・売価金額を反映するための属性です。これにより、納品明細データの「数量」「原価」「売価」が修正され、納品差額処理や買掛金計上が正確になるわけです。
つまり、実際の納品状況を正しく反映するため、検品差異データの「実納品原価」「実納品売価」を使い、納品明細の「原価」「売価」を更新する運用となります。
3. 受験者が誤りやすいポイント・ひっかけの理由
- 「a, b」に何を入れるかの混乱
「実納品数量」と間違いやすいですが、問題文は「実納品数量で納品明細の数量を書き換える」と明記していますので、(a),(b)は数量以外の属性です。 - 「c」に入れるデータ名
「納品」だけでなく、「納品明細」が正解です。納品明細は、納品単位の商品ごとの明細行を表します。 - 「d, e」が「原単価」「売単価」などの単位単価ではない点
実際に更新されるのは「原価」「売価」(数量×単価)です。したがって「原単価」「売単価」ではなく、「原価」「売価」が妥当です。 - 用語の正確な区別が必要
「実納品原価」「原単価」「原価」はそれぞれ異なる段階・内容の数字です。用語を混同しないことが重要です。
4. 試験対策として覚えておくべきポイントや知識
- 不定貫商品の取り扱いでは「計量結果」を基に「実納品原価」「実納品売価」などの金額情報を正確に管理する必要があり、検品差異処理にも新属性が追加されます。
- 「検品差異データ」は納品明細データの数量と金額を実態に合わせて更新するデータとなる。
- 「納品明細データ」における「原価」「売価」は「単価×数量」で算出され、修正時はこれらを更新し、関連する他のデータ(納品伝票や買掛金データ)にも反映させる。
- 属性名やファイル名は問題文の用語に忠実に理解すること。特に「マスタ」「明細」「伝票」「差異」などは明確な区別が求められる。
- 表中の主キー設定や属性の関係を把握したうえで、新たな属性追加の役割を説明できるようにする。
以上のポイントを理解すれば、表3の(a)〜(e)の正しい用語選択が納得できます。定義や処理の流れを文中から正しく読み取ることが合格への鍵です。