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システムアーキテクト試験 2016年 午前2 問04
並列に動作する事象間の同期を表現することが可能な、ソフトウェアの要求モデルはどれか。
ア:E-Rモデル
エ:有限状態機械モデル
イ:データフローモデル
ウ:ペトリネットモデル(正解)
解説
並列に動作する事象間の同期を表現することが可能な、ソフトウェアの要求モデル【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:並列動作や同期を表現できるのはペトリネットモデルである。
- 根拠:ペトリネットはトークンの流れで状態遷移を表し、並列や同期を自然に表現可能。
- 差がつくポイント:有限状態機械やE-Rモデルは並列同期表現が苦手で、ペトリネットの特徴を理解することが重要。
正解の理由
ペトリネットモデルは、状態(プレース)と事象(トランジション)を結びつけ、トークンの流れで並列処理や同期を直感的に表現できます。これにより、複数の事象が同時に起こる場合や、ある事象が複数の条件を満たすまで待つ同期処理をモデル化可能です。対して、E-Rモデルはデータ構造の表現、データフローモデルは処理の流れを表すが並列同期の詳細表現は不得意です。有限状態機械モデルは状態遷移を表すが、並列動作の表現力は限定的です。したがって、並列に動作する事象間の同期を表現できるのはウ: ペトリネットモデルです。
よくある誤解
ペトリネットは単なる状態遷移モデルと誤解されがちですが、並列や同期の表現に特化したモデルです。有限状態機械モデルと混同しやすい点に注意しましょう。
解法ステップ
- 問題文の「並列に動作する事象間の同期」というキーワードに注目する。
- 各モデルの特徴を整理する。
- E-Rモデルはデータ構造、データフローモデルは処理の流れ、有限状態機械は単一の状態遷移を表す。
- ペトリネットモデルはトークンの流れで並列や同期を表現できることを確認。
- 並列同期表現が可能なモデルとしてペトリネットモデルを選択する。
選択肢別の誤答解説
- ア: E-Rモデル
データベースの構造を表すモデルであり、並列や同期の動作表現はできません。 - イ: データフローモデル
処理の流れやデータの流れを表現しますが、並列の同期を詳細に表現するのは苦手です。 - ウ: ペトリネットモデル
並列動作や同期をトークンの流れで表現できるため正解です。 - エ: 有限状態機械モデル
状態遷移を表現しますが、並列動作や複雑な同期表現は限定的です。
補足コラム
ペトリネットは1962年にカール・アダムによって提案され、分散システムや並列処理の解析に広く用いられています。トークンの有無で状態を管理し、複数のトランジションが同時に発火可能なため、並列性の表現に優れています。ソフトウェアの要求分析だけでなく、製造業の工程管理や通信プロトコルの検証にも活用されています。
FAQ
Q: ペトリネットモデルはどのように同期を表現するのですか?
A: 複数の入力プレースにトークンが揃うことでトランジションが発火し、これが同期を意味します。
A: 複数の入力プレースにトークンが揃うことでトランジションが発火し、これが同期を意味します。
Q: 有限状態機械モデルとペトリネットモデルの違いは何ですか?
A: 有限状態機械は単一の状態遷移を表すのに対し、ペトリネットは複数の状態や事象の並列・同期を表現可能です。
A: 有限状態機械は単一の状態遷移を表すのに対し、ペトリネットは複数の状態や事象の並列・同期を表現可能です。
関連キーワード: ペトリネット, 並列処理, 同期, 状態遷移, ソフトウェア要求モデル, トークン, 分散システム