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システムアーキテクト試験 2017年 午後1 問01
生命保険会社のシステムの構築に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
A社は、多くの個人保険の契約を保有する大手生命保険会社である。保険金などを顧客に支払った場合に支払調書を税務署に提出している。社会保障・税番号制度(以下、マイナンバー制度という)の導入に伴い、支払調書にマイナンバーの記載が必要になることから、マイナンバーを含むデータを処理するための専用の情報システム(以下、新システムという)を構築することにした。
〔現在の業務と関連システムの概要〕
A社では、顧客から保険金請求の連絡があった場合、保険金部で契約管理システムを利用して手続書類を印刷し、送付する。顧客から記入済みの手続書類の提出を受け、内容を確認して保険金を支払う。一定金額以上の保険金を支払った顧客については、契約管理システムを利用して支払調書を作成し、CDに格納して税務署に提出する。支払調書には、契約者の氏名、契約者の住所、受取人の氏名、受取人の住所、支払金額、支払年月日などが記載されている。
現在のシステム概念図を図1に示す。

〔マイナンバーに関する業務とシステム化の方針〕 マイナンバー制度導入後は、現在の支払調書に契約者及び受取人のマイナンバーを記載するマイナンバー記載欄が追加される。それに伴い、A社では、マイナンバーに関する業務とシステム化の方針を、次のように決定した。 ・顧客のマイナンバーを取り扱う部署として、マイナンバー管理部を新設する。 ・一定金額以上の保険金を支払った顧客については税務署に支払調書を提出する必要があるので、保険金請求の連絡を受けた際に、契約者及び受取人双方にマイナンバーの提供を依頼する。そのために、マイナンバー提供のお願い、マイナンバー申告書、マイナンバー申告書記入例、返信用の封筒などを含んだマイナンバーの提供に関する書類(以下、マイナンバー提供依頼書類という)をA社から顧客に送付する。 ・顧客からのマイナンバーの提供が遅れても、手続書類を確認でき次第、保険金を顧客に支払う。 ・マイナンバーを含むデータは、新システムだけで扱うこととする。また、マイナンバー管理部だけが新システムを利用できることとし、業務はセキュリティレベルの高い執務室で行う
〔マイナンバー制度導入後の業務概要〕
A社では、マイナンバー制度導入後、現在の業務に加えて次のような業務を実施することを検討している。
(1)マイナンバー取得業務
契約管理システムで、顧客番号と顧客氏名を記載したマイナンバー申告書を印刷する。既に新システムにマイナンバーを登録済みの顧客のマイナンバー申告書は印刷しない。顧客番号は、A社の顧客を一意に特定する値であり、1人の顧客が複数の保険契約に関係している場合でも、顧客番号は一つである。
保険金額は、保険金の支払に必要な手続書類に、マイナンバー提供依頼書類を同封して顧客に送付する。顧客は、送付されたマイナンバー申告書にマイナンバーを記入してA社に提出する。マイナンバー管理部は、顧客から提出されたマイナンバ一申告書の内容に不備がないことを確認した後、新システムにマイナンバーを登録する。不備があった場合は、マイナンバー管理部で顧客に連絡し、対応する。
顧客からマイナンバーが変更になった旨の連絡があった場合は、新システムで管理しているマイナンバーを即時削除し、再度マイナンバー提供依頼書類を顧客に送付する。支払調書を税務署に提出した後にマイナンバーの変更があっても、支払調書の再提出は行わない。
(2)マイナンバー申告書進捗管理業務
マイナンバー管理部は、マイナンバー申告書の状態(以下、申告書ステータスという)を新システムで照会し、進捗状況を管理する。
(3)支払調書提出業務
契約管理システムで作成した支払調書に、新システムでマイナンバーを追記して、毎月1回、CDに格納して税務署に提出する。まだマイナンバーが提供されていない場合又は書類に不備があった場合は、該当する契約者又は受取人のマイナンバー記載欄を空白で提出する。その後、マイナンバーが提供されたら、マイナンバーを記載した支払調書を、訂正支払調書として再度提出する。マイナンバーの誤登録によって、提出済みの支払調書を訂正する必要があった場合は、担当者が個別に確認して対応する。
(4)マイナンバー申告書督促業務
支払調書提出時までにA社にマイナンバー申告書が届かず、支払調書の契約者又は受取人のマイナンバー記載欄を空白で提出した場合は、対象の顧客にマイナンバ一申告書の提出を促する。新システムから促対象の顧客リストを出力し、マイナンバー管理部から顧客に督促書類を送付する。その際、顧客に督促書類を送付したことを把握するために、新システムに督促履歴を登録する。
(5)マイナンバー削除業務
顧客から提供されたマイナンバーは、支払調書を最後に提出してから7年経過した際に新システムで一括削除する。また、提出後7年を経過した支払調書も削除する。
〔新システムの設計〕
マイナンバー制度導入後の業務を踏まえ、新システムの設計を次のように検討している。マイナンバー制度導入後のシステム概念図を図2に、新システムで利用する主要なデータを表1に示す。
(1)システム間連携機能
・マイナンバー提供依頼書類を送付した顧客の顧客番号、送付年月日、顧客氏名及び送付先住所をマイナンバー提供依頼書類情報として契約管理システムから受領し、申告書データに登録する。
・マイナンバーを登録又は削除した顧客の顧客番号を、契約管理システムに送信する。
・現在の支払調書情報に契約者及び受取人の顧客番号を追加した支払調書情報(以下、支払調書基本情報という)を、毎月1回契約管理システムから受領する。
(2)マイナンバー取得管理機
・マイナンバー申告書に記入されている情報を用いて、登録画面からマイナンバーデータのレコードを登録する。
・マイナンバーデータのレコードを登録する際、①該当する顧客の支払調書データのレコードが存在し、最新のレコードのマイナンバーが空白である場合に、再度、支払調書データのレコードを作成し、登録する。支払調書データは、レコードを履歴で保存する。
(3)マイナンバー申告書進捗管理機能
・申告書データに申告書ステータスを保有し、画面から照会、変更する。申告書ステータスの値は、“取得中”、“不備対応中”、“登録済み”又は“削除済み”である。申告書ステータスの初期値は“取得中”である。不備があった場合は、画面から申告書ステータスの値を“不備対応中”にする。不備がなくマイナンバーが登録された場合は、申告書ステータスは”登録済み”になる。
(4)支払調書提出機能
・契約管理システムから支払調書基本情報を受領後、支払調書番号を採番し、支払調書データのレコードを作成して、登録する。その際、契約者及び受取人のマイナンバーを設定する。登録した支払調書データのレコードから、税務署に提出する支払調書を格納したCDを作成する。
・支払調書データから訂正支払調書として税務署に提出するレコードを抽出し、訂正支払調書を格納したCDを作成する。
(5)マイナンバー申告書督促機能
・支払調書提出機能の処理完了後に、支払調書データの各支払調書番号について最新の履歴であるレコードを対象に、促が必要な願容番号を抽出する。抽出した顧客番号に該当する申告書データを参照し、②申告書ステータスが特定の値であるレコードを除外し、督促対象の顧客リストとして帳票に出力する。
・促書類を送付した願客については、画面から促履歴情報を促履歴データに登録する。
(6)削除機能
・削除予定年月日を過ぎているマイナンバーデータのレコードを一括で削除し、対応する顧客の申告書ステータスを“削除済み”にする。なお、削除予定年月日は、マイナンバーデータのレコードを登録する際、システムで計算して設定する。また、削除予定年月日は、ある機能で変更する。
・マイナンバーデータのレコードを一括で削除する処理に加えて、画面から1件ずつ削除可能とする。
・提出後7年経過している支払調書データのレコードを一括で削除する。


設問1
システム間連携機能について、マイナンバーを登録又は削除した顧客の顧客番号を契約管理システムに送信する目的を、35字以内で述べよ
模範解答
契約管理システムでマイナンバー申告書の印刷を制御するため
解説
模範解答の核心キーワードと論点整理
- マイナンバー申告書の印刷制御
- 契約管理システムと新システム間の連携
- 顧客番号の送信
- マイナンバー登録・削除の反映
なぜその解答になるのか(論理的説明)
問題文の〔システム間連携機能〕の説明に次の記述があります。
・マイナンバーを登録又は削除した顧客の顧客番号を、契約管理システムに送信する。
一方、〔マイナンバー取得業務〕では、
顧客番号と顧客氏名を記載したマイナンバー申告書を印刷する。既に新システムにマイナンバーを登録済みの顧客のマイナンバー申告書は印刷しない。
ここから読み取れるのは、契約管理システムは顧客のマイナンバー登録状況を認識することで、マイナンバー申告書の印刷を「必要な顧客だけ」に制御しています。つまり、
- 新システムでマイナンバーが登録された顧客は申告書の印刷が不要
- マイナンバーを削除した場合は再度申告書が必要になる可能性があるため、契約管理システムにその情報を伝える必要がある
この連携がなければ、契約管理システムは誰にマイナンバー申告書を印刷送付すべきか判断できません。
したがって、マイナンバーの登録・削除状況を契約管理システムに通知し、申告書印刷業務を正確に制御することが主な目的です。
受験者が誤りやすいポイントと注意点
-
「マイナンバーを契約管理システムで直接管理する」と誤解しやすい
→ 契約管理システムはマイナンバーを直接扱わず、あくまで新システムの情報をもとに申告書印刷制御を行う。マイナンバーの管理は新システムが行う。 -
連携の目的を「データの同期」など曖昧に理解すると、具体的な目的がつかみづらい
→ 送信目的は「印刷制御」に限定されていることを明示的に押さえることが大切。 -
契約管理システムに渡すのは「顧客番号」のみであり、マイナンバーの情報自体は送らない点にも注意。
試験対策として覚えておくべきポイント
-
マイナンバーを含む個人情報は厳格な管理が求められるため、マイナンバー情報を扱えるシステムを限定し、それ以外はその情報の有無で業務調整(例:申告書印刷の要否)を行う場合が多い。
-
システム間の連携では、「どの情報を誰に伝えるのか」「その目的は何か」を明確に把握することが重要。
-
一般に、個人番号(マイナンバー)制度対応では、顧客番号などのID情報をキーにして関連業務の調整情報を提供し、業務システムの動作制御を行うことが多い。
-
設問は「目的」を問うているので、表層的な機能説明ではなく「なぜ連携が必要か=業務上の理由・意図」を意識して答えること。
まとめ
これらを理解した上で「契約管理システムでマイナンバー申告書の印刷を制御するため」と端的に表現することがポイントです。
設問2
本文中の下線①で登録した支払調書データのレコードの利用目的を、25字以内で述べよ
模範解答
訂正支払調書を格納した CD を作成するため
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
-
キーワード:
- 「支払調書データのレコード」
- 「登録」
- 「訂正支払調書」
- 「CD作成」
-
論点:
- 登録される支払調書データのレコードは単に保存のためではなく、「訂正支払調書」を作成するために必要な履歴データの活用を目的としている。
- 支払調書データは履歴として保存され、マイナンバーが未記載又は誤記の場合に訂正支払調書として再提出される。
- このように、訂正支払調書を作成し、税務署へ提出するために利用される。
2. なぜその解答になるのか(問題文抜粋と論理的説明)
問題文(新システムの設計の(2)マイナンバー取得管理機能)には、次のような記述があります。
「支払調書データは、レコードを履歴で保存する」
「①該当する顧客の支払調書データのレコードが存在し、最新のレコードのマイナンバーが空白である場合に、再度、支払調書データのレコードを作成し、登録する。」
さらに(4)支払調書提出機能の記述には、
「支払調書データから訂正支払調書として税務署に提出するレコードを抽出し、訂正支払調書を格納したCDを作成する。」
つまり、新たに登録される支払調書データのレコードは、マイナンバーが空白で提出された既存の支払調書に対し、後日マイナンバーが提供された際に「訂正支払調書」を作成するために存在する履歴であり、「訂正支払調書を格納したCDを作成する」ことが目的です。
このため、
下線①で登録した支払調書データのレコードの利用目的は「訂正支払調書を格納したCDを作成するため」
が適切な解答となります。
3. 受験者が誤りやすいポイントやひっかけの理由
-
誤りやすいポイント:
「支払調書データ」と聞くと単に提出するためのデータと思いがちで、「訂正支払調書」のために複数の履歴レコードを管理し再提出するイメージを持ちにくい点。 -
ひっかけになりやすい選択肢例:
「税務署に提出する支払調書を作成するため」
これは正しいが、設問の下線①の文脈は「レコードを再度作成し登録する場面」。この場面はマイナンバー空白時に訂正用として作成するものであり、単に初回提出用ではない。したがって、より正確には「訂正支払調書」のための利用目的を問うている。 -
マイナンバー管理の重要性を軽視しやすい点:
登録された支払調書レコードがマイナンバーの有無で区別されていることに注意。
4. 試験対策として覚えておくべきポイントや知識
-
支払調書データは単一の提出用データではなく、「履歴データ」としての性格を持つこと。マイナンバーの提供状況に応じて複数の調書データを管理する仕組みが必要。
-
マイナンバー記載の問題による「訂正支払調書」の再提出が義務付けられており、そのために訂正用レコードを新規登録・管理する。
-
「登録」したデータの利用目的を問う問題では、単に作成・提出だけでなく「訂正」や「履歴管理」の目的があることを理解する。
-
個人番号(マイナンバー)等の重要情報を伴うシステムは、関連業務フローと機能の連携を正確に把握し、業務要件に合致した処理の意図を読み取る力が求められる。
以上の理解を踏まえることで、設問の意図に沿った適切な回答ができるようになります。
設問3(1):マイナンバー申告書促機能について、(1),(2)に答えよ。
支払調書データの最新の履歴であるレコードの中から、督促が必要な顧客番号を抽出する。促が必要な顧客番号の抽出条件を、表1の属性を用いて35字以内で述べよ。
模範解答
契約者マイナンバー又は受取人マイナンバーが空白である顧客番号
解説
模範解答の核心キーワード・論点整理
-
督促が必要な顧客番号の条件
→ 支払調書データの最新レコードにおいて
→ 「契約者マイナンバー」または「受取人マイナンバー」が空白である -
関連データ
支払調書データ(最新履歴)から対象顧客番号を抽出 -
督促理由
マイナンバー未提供または不備のため、マイナンバー記載欄が空白となっている
なぜこの解答になるのか:論理的解説
問題文から以下の重要な記述を参照します。
- 【マイナンバー申告書督促業務】では以下が示されています。
支払調書提出時までにマイナンバー申告書が届かず、支払調書の契約者又は受取人のマイナンバー記載欄を空白で提出した場合は、対象の顧客に督促を行う。
- 【新システムの設計(5)マイナンバー申告書督促機能】には、
支払調書データの各支払調書番号について最新の履歴であるレコードを対象に、促が必要な顧客番号を抽出する。
促が必要な顧客番号とは申告書ステータスにより除外されるものがあるが、基本はマイナンバー未提供の顧客を抽出する意図である。
- **支払調書データ表(表1)**には以下の主要属性があります。
マイナンバーが空白であることが、督促の対象であることがわかります。
受験者が誤りやすいポイント・ひっかけ選択肢
-
契約者マイナンバーと受取人マイナンバーの両方が空白の場合に限定する誤り
→ 問題文では「契約者又は受取人のマイナンバー」が空白であれば督促対象です。どちらか片方だけでも空白なら督促が必要です。 -
申告書データや督促履歴データの属性を条件に絡める誤り
→ 督促対象抽出の条件は「支払調書データ(最新)」のマイナンバー空白で判断します。申告書ステータスや督促履歴情報は除外条件や記録用であり、抽出条件には含まれません。 -
支払調書の履歴全件を対象にする誤り
→ 最新の履歴のみが対象です。古い履歴は除外されます。
試験対策として覚えておくべきポイント
-
マイナンバー制度導入に伴う督促業務は、マイナンバー未提供の顧客(契約者または受取人)を把握し、督促することが目的である。
-
最新の支払調書データのマイナンバー欄が空白かどうかが督促対象抽出の基本条件
-
申告書ステータスや督促履歴は業務管理のための情報で、「抽出条件」と混同しないようにする
-
マイナンバー管理システムでは履歴管理が重要だが、督促対象抽出は常に最新の履歴を対象に行う
-
マイナンバーは契約者・受取人両面で管理されるため、両者のマイナンバーの空白チェックが必要
以上を踏まえ、本問題の短く的確な解答
「契約者マイナンバー又は受取人マイナンバーが空白である顧客番号」
は論理的かつ問題文の記述と整合する正解であると理解してください。
設問3(2):マイナンバー申告書促機能について、(1),(2)に答えよ。
本文中の下線②で除外しているレコードの申告書ステータスの値を答えよ。また、除外している理由を35字以内で述べよ
模範解答
申告書ステータスの値:不備対応中
理由:A社にマイナンバー申告書が届いていない顧客を対象とするから
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点の整理
- 申告書ステータスの値:「不備対応中」
- 除外理由:「A社にマイナンバー申告書が届いていない顧客を対象とするから」
- 対象業務は、「マイナンバー申告書督促機能」における、督促対象顧客リスト作成時のレコード抽出条件
- 申告書ステータスによって督促対象が制御されていること
- 「不備対応中」の顧客の申告書は督促リストから除外されている
2. なぜその解答になるのか(問題文の引用を交え論理的に説明)
問題文の新システム設計の記述によると、
- 申告書ステータスの種類は以下の通り:
- “取得中”
- “不備対応中”
- “登録済み”
- “削除済み”
- マイナンバー申告書督促機能の説明部分(設計(5))では、
「申告書データを参照し、②申告書ステータスが特定の値であるレコードを除外し、督促対象の顧客リストとして帳票に出力する」
とある。
ここで、問題文の意図は「督促が必要なのは、申告書が未提出の顧客」であり、すでに提出済みや不備対応中の顧客は督促不要と判断している。
また、マイナンバー申告書の進捗管理では、
- 「不備があった場合は、画面から申告書ステータスを“不備対応中”にする」
- つまり「不備対応中」は、顧客から申告書が既に届いているが、不備があるため修正・再提出を促している状態。
従って、督促対象は「申告書未提出」の顧客であって、「不備対応中」は既に申告書が届いている段階のため、督促リストから除外される。
このことから、
つまり、除外している理由は「マイナンバー申告書がA社に届いていない顧客を督促対象にする」という考え方に合致します。
3. 受験者が誤りやすいポイントやひっかけ選択肢
-
「取得中」というステータスの誤解
「取得中」は初期状態で、申告書をまだ提出していない可能性が高い状態です。督促対象となるのは「取得中」の顧客であるため、誤ってこれを除外対象と考えると誤答になります。 -
「登録済み」は提出済みで問題なしとして除外される可能性が高い
ただし問題文では「不備対応中」を除外したとありますので、「登録済み」は督促不要として除外だが「不備対応中」も除外対象であることに注意。 -
「削除済み」は管理上の区分であり、督促の対象外で当然
これは除外されて当然と理解しやすいが、「不備対応中」も除外されることを見落とさないことが重要。 -
抽出対象外とする申告書ステータスの説明部分が曖昧に感じて混乱しやすいので、どの段階で督促対象になるか明確に認識することが重要。
4. 試験対策として覚えておくべきポイントや知識
- マイナンバー申告書の進捗管理で利用されるステータス(取得中、不備対応中、登録済み、削除済み)それぞれの意味と状態を正確に理解すること。
- 督促業務のためのリスト作成では、既に申告書が届いている段階(不備対応中、登録済みなど)は督促対象から除外し、「未提出(取得中)」状態の顧客のみ督促対象とする。
- 業務プロセスやシステム設計において、「ステータスによる処理分岐」がある場合は、それぞれのステータスがどのような意味を持つかを押さえておくこと。
- 問題文中に「除外しているのは②申告書ステータスが特定の値であるレコード」と書かれている場合は、その値(「不備対応中」)に注目し、なぜ除外されるか論理的に説明できるように準備する。
この問題は「業務フローとシステムステータスの連動理解」が鍵となり、誤答を避けるためには状態ごとの意味付けをしっかり押さえることが合格のポイントとなります。
設問4(1):削除機能について、(1),(2)に答えよ。
画面から1件ずつ削除可能とした目的は、二つある。一つは、誤登録時に再度登録可能とするためである。もう一つの目的を35字以内で述べよ。
模範解答
機能:支払調書提出機能
理由:支払調書を提出してから7年後の日付を設定する必要があるから
解説
1. 模範解答の核心となるキーワードや論点
- 機能名:支払調書提出機能
- 削除予定年月日の設定はこの機能が行う
- 削除予定年月日は「支払調書を提出してから7年後」の日付であることが必要
- 理由:マイナンバーや支払調書データの保管期間が「7年」で法的に定められているため
2. 解答理由の論理的説明
問題文の「〔新システムの設計〕(6)削除機能」によると、
「削除予定年月日は、マイナンバーデータのレコードを登録する際、システムで計算して設定する。また、削除予定年月日は、ある機能で変更する。」
また、「(4)支払調書提出機能」では、
「契約管理システムから支払調書基本情報を受領後、支払調書番号を採番し、支払調書データのレコードを作成して登録する。その際、契約者及び受取人のマイナンバーを設定する。」
さらに、マイナンバー及び支払調書は、
「顧客から提供されたマイナンバーは,支払調書を最後に提出してから7年経過した際に新システムで一括削除する。」
これらの記述を合わせると、
- 削除予定年月日は「支払調書提出時点」を基準に計算・設定する必要があり、
- このタイミングは「支払調書提出機能」の中で支払調書作成時に定めるのが自然である。
したがって、削除予定年月日を設定し、また必要に応じて変更する機能は「支払調書提出機能」であると判断されます。
3. 受験者が誤りやすいポイントと注意点
- 誤りやすいひっかけ:
- 削除機能が「削除予定年月日を設定・変更する」と勘違いしがち
- マイナンバー取得管理や進捗管理機能など、「マイナンバーに関する処理を行う」機能群と混同する
- なぜ誤るか:
- 削除機能は「一括削除や1件削除を実行」する機能であり、「削除予定日の設定」は行わないことを本文で明示
- 削除予定日は支払調書の提出年月日を基準に計算するので、「支払調書提出機能」と関連する
- 対策:
- 機能の役割や処理タイミングに注目すること
- 表示されたステップやコメントを根拠に落ち着いて判断することが重要
4. 試験対策ポイントまとめ
この問題では、「削除予定年月日」はマイナンバーや支払調書の保管ルールに基づく重要な期限管理日であり、その設定は支払調書の提出タイミングに密接に関連するため「支払調書提出機能」が担当することを理解しましょう。
ミスを避けるため、業務フローや機能範囲を正確に把握することが合格のカギとなります。
ミスを避けるため、業務フローや機能範囲を正確に把握することが合格のカギとなります。
設問4(2):削除機能について、(1),(2)に答えよ。
画面から1件ずつ削除可能とした目的は、二つある。一つは、誤登録時に再度登録可能とするためである。もう一つの目的を35字以内で述べよ。
模範解答
顧客からマイナンバーの変更の連絡があった場合に削除するため
解説
模範解答の核心となるキーワードや論点
- 「画面から1件ずつ削除可能とした目的」
- 「誤登録時に再度登録可能とするため」(既に問題文で示されている目的の一つ)
- もう一つの目的は、「顧客からマイナンバーの変更の連絡があった場合に削除するため」
- マイナンバーの変更対応のための個別削除の必要性
なぜその解答になるのか(問題文の引用に基づく論理的説明)
本問題のポイントは、「新システムでのマイナンバー削除機能」で画面から1件ずつ削除可能とする目的について問われています。
まず、問題文の関連部分を引用します。
(〔マイナンバーに関する業務とシステム化の方針〕)
「顧客からマイナンバーが変更になった旨の連絡があった場合は、新システムで管理しているマイナンバーを即時削除し、再度マイナンバー提供依頼書類を顧客に送付する。」
つまり、マイナンバーの変更は業務上発生しうる事象であり、それに対応するために即時削除機能が必要となります。
また、削除機能の詳細説明には、
(〔新システムの設計〕)
「マイナンバーデータのレコードを一括で削除する処理に加えて、画面から1件ずつ削除可能とする。」
このように、個別削除が可能な作りになっています。
この個別削除は、誤登録に対応するだけでなく、「顧客からマイナンバー変更の連絡があった場合に、その顧客に対応するレコードを迅速に削除する目的」にも必要不可欠です。
まとめると、
- マイナンバー誤登録の修正に個別削除が必要
- そして顧客からのマイナンバー変更連絡を受けて、即時かつ個別に該当マイナンバーを削除することが必要だが、これも個別削除機能の目的である
このことから、解答の「顧客からマイナンバーの変更の連絡があった場合に削除するため」がもう一つの目的になります。
受験者が誤りやすいポイントとひっかけ選択肢
-
一括削除があるため個別削除は不要と誤認する点
新システムでは7年経過したマイナンバー等を一括削除する運用もありますが、変更があった場合は即時かつ個別に対応しなければならないため、一括だけでは不十分です。一括削除は期限管理に基づく削除であり、個別の変更には対応できません。 -
誤登録対応だけが目的と誤解する点
誤登録対応は個別削除の目的の一つですが、顧客からの変更連絡に対応することも重要な目的です。問題の問われ方で「二つある」と指示されているのに一つしか答えない誤りを注意してください。 -
マイナンバーの変更があっても支払調書の再提出がないため削除不要と誤解する点
「支払調書を税務署に提出した後にマイナンバーの変更があっても、支払調書の再提出は行わない」という文と混同し、システムから削除する必要がないと誤解することがあります。提出済み支払調書への反映はしませんが、システム内の個人情報保護や更新上は変更時の削除が必須です。
試験対策として覚えておくべきポイント・知識
-
マイナンバーの厳重管理と変更対応は別建ての重要な業務要件である。
システムは誤登録対応と顧客からの変更対応の双方を支援する必要があるため、削除機能は一括だけでなく個別も可能にする。 -
マイナンバー削除は、税務署提出とは独立した運用管理である。
つまり、支払調書の提出後に変更があっても再提出はしないが、システム内データの更新(削除)は行う。 -
システム設計上、「画面から1件ずつ削除する機能」の存在意義は、誤登録・変更対応など個別ケースに即応するため。
-
企業の個人情報管理やマイナンバー制度対策では、変更・削除の履歴管理や即時対応が求められる点は非常に重要。
まとめ
この二つが「画面から1件ずつ削除可能とした目的」です。
受験時は、問題文の「二つある」という指示を見逃さないことと、マイナンバー取扱いに関する制度上・業務上の要件を正確に把握することが重要です。
受験時は、問題文の「二つある」という指示を見逃さないことと、マイナンバー取扱いに関する制度上・業務上の要件を正確に把握することが重要です。